クリュイタンス&パリ音楽院管によるビゼーの「アルルの女」第1組曲、第2組曲と「カルメン」組曲といえば、これまでに「旧EMI」から復刻されたSACDハイブリッド盤とエソテリック盤の2種類が存在している。そこに今回タワーレコード企画の「Definition SACD Series」から復刻されたSACDハイブリッド盤が加わることとなる。以前取り上げたボールト&ニュー・フィルハーモニア管によるホルストの「惑星」同様の最新デジタル機器を用いた192kHz/24bitリマスター音源が使用されているのも大きなポイントと言えるだろう。
・ビゼー:劇音楽「アルルの女」第1組曲、第2組曲
録音:1964年1月13,15&21日
・・・重量感のある重々しいテンポからなる演奏となっている「アルルの女」第1組曲、第2組曲。その1曲ごとが非常に印象深い演奏となっており、ダイナミック・レンジの幅広さが増しているのもそうだが2023年最新マスタリングが施されているからこそ味わえるこの名盤の素晴らしさを聴くだけでもどこかインパクトを感じ取ることのできる演奏と言えるだろう。特徴的な金管楽器の音色、弦楽器と一体感のある木管楽器の美しさと鋭いサウンドは非常に功を奏する演奏と言える。最後の畳み掛けるようなテンポ感も勢いの良さを体感できるだろう。
・ビゼー:歌劇「カルメン」組曲
録音:1964年1月13,15&21日
・・・従来演奏される第1組曲、第2組曲よりも曲数が少ない今回の組曲。歯切れの良さと明確なアタックからなるダイナミクス変化がなんとも印象的となっている。2023年最新マスタリングが施されたことによるダイナミック・レンジの幅広さが増していることが非常に素晴らしく、打楽器の音の飛び具合や鋭く研ぎ澄まされた弦楽器のサウンドがなんとも言えないかっこよさを感じさせてくれる。
・グノー:歌劇「ファウスト」よりバレエ音楽
録音:1958年10月1〜4&6〜9日
・・・歌劇「ファウスト」の第5幕にて演奏される7曲。切れ目なしで演奏される。優雅であり古風な印象を受ける美しい音色と軽快な足運びなどは聴いていて清められるかのような印象だろうか。各曲ごとにテンポの緩急も明確になっており、ダイナミック・レンジの幅広さが増している分オーケストラ全体の感覚を掴みやすいので聴いていて非常に面白い演奏となっている。木管楽器と弦楽器の美しい旋律を奏でるサウンドが聴いていて功を奏する形となっているので聴いていて誰も虜もなることに違いない。