第1783回「スメタナ生誕200年、ビシュコフ&チェコフィルによる《我が祖国》」 | クラシック名盤ヒストリア@毎日投稿中!!

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 みなさんこんにちは😃本日3月2日はベドルジハ・スメタナの誕生日です。今年で生誕200年となります。そんな本日ご紹介していくのはスメタナの代表作である連作交響詩「わが祖国」です。数多くの名盤が存在していますが今回は3月中旬に発売されるセミヨン・ビシュコフ&チェコ・フィルハーモニー管弦楽団との演奏を取り上げていきます。Apple Music Classicalのニューリリースにあったので先行して聴くことができるようになっていたので、今のチェコ・フィルによる「わが祖国」を堪能していきます。


「セミヨン・ビシュコフ指揮/チェコ・フィルハーモニー管弦楽団」

スメタナ作曲:
連作交響詩「わが祖国」



 スメタナはチェコ国民楽派の開祖とも言われており、数多くの歌劇作品と今回取り上げる「わが祖国」は今でもなお人気のある名曲の数々である。後にドヴォルザークに大きな影響を与えることにも繋がるのだが、その曲を聞いているだけで美しい情景や世界観が広がっていくのは作品としても理解しやすく聴きやすさがある。


・スメタナ:連作交響詩「わが祖国」

録音:2021年1月25〜29日


 ヴィシェフラト・・・冒頭より透明度の高い美しいハープから演奏が開始される。その後テンポの緩急が加わりながら木管楽器と弦楽器中心に美しさがより極まったサウンドを楽しむことができる。今回ハイレゾロスレスで聴くことができることもあってそれなりにダイナミック・レンジの幅広さが増しているのがよくわかる音質となっており、個々の楽器がすごいというよりもオーケストラ全体としてバランスが整われた深みのある音色を「ヴィシェフラト」で楽しめるようになっている。


 ヴルタヴァ(モルダウ)・・・「わが祖国」で一番有名な曲である。今回の演奏ではテンポの緩急が駆使された広々とした情景からなる世界観をたっぷり味わえるようになっている。曲が始まってからは木管楽器や弦楽器によって美しい旋律がスケールを伴いながら奏でられる。終結部に関してはややテンポに重さが加わってチェコ・フィルの金管楽器の存在感がより一層増す。この時点で大分聴きごたえのある演奏が展開されているのは間違いない。


 シャールカ・・・金管楽器と弦楽器によるエネルギッシュかつ躍動的な演奏を聴くことができるようになっている「シャールカ」。「緩→急」という流れで変化しているため、効果的な音楽の変化を堪能することができるようになっているのは間違いない。ダイナミック・レンジの幅広さも増しているためオーケストラ全体から奏でられる音圧とダイナミクス変化は聴いていてしびれるくらいのかっこよさがあると言える。


 ボヘミアの野と森から・・・ダイナミック・レンジの幅広さが生かされた空間的にも美しい弦楽器と木管楽器が奏でる世界観を堪能することができるようになっており、繊細に描かれていることもあって細かいダイナミクス変化がなんとも印象深いものとなっている。「シャールカ」では活発だった金管楽器のサウンドも豊かで奥深い音色となっている。


 ターボル・・・フス派の讃美歌「汝ら神の戦士」が「ターボル」、「ブラニーク」では中心として奏でられる中今回の「ターボル」はここまでに演奏された曲の優雅さや緩な音楽の流れを受け継ぎながらも金管楽器と打楽器によるインパクトのある打撃と咆哮を味わえるようになっている。それもダイナミック・レンジの幅広さが増している分キツくは聴こえないというのも良い点である。


 ブラニーク・・・「ターボル」からの流れを受け継ぎ演奏されるため緊迫感がありつつ、細かいダイナミクス変化が聴いていてパワーだけになっていないというのも聴きやすくなっているポイントと言えるだろうか。テンポの緩急があるため、「急→緩」になった際の伸びやかで美しい音色の流れや「緩→急」の盛り上がりも申し分ない仕上がりとなっており圧巻の演奏を楽しむことができるようになっている。


 ノイマン、クーベリック、スメターチェクに続くビシュコフ&チェコ・フィルによる「わが祖国」を楽しむことができるようになっているのは非常に良かった。ビシュコフ&チェコ・フィルは現在マーラーの交響曲全曲録音を同時に進行していることもあって両者の間は大分深まっているのだろう。今回の「わが祖国」でそれを多少なりとも垣間見ることができたので個人的に大分満足している。中旬に発売されるCDとの音質比較も気になるところ。

https://classical.music.apple.com/jp/album/1729445870?l=ja-JP