小澤さんは日本を代表する指揮者であり、幅広いレパートリーの曲を演奏してきた現代を代表する指揮者だった。ブザンソン国際指揮者コンクール第1位やカラヤン指揮者コンクール第1位など輝かしい功績を残している。齋藤秀雄、カラヤンやミュンシュ、バーンスタインに師事しており、1964年にはトロント交響楽団の指揮者に就任、1973年にはボストン交響楽団の音楽監督に就任している。1792年には日本フィルハーモニー交響楽団の解散後自主運営オーケストラとして新日本フィルハーモニー交響楽団を設立した。以降様々なオーケストラと共演をしている。
・マーラー:交響曲第2番「復活」
録音:2000年1月2〜5日(ライヴ)
第1楽章・・・明確な足運びと勢いの良さが功を奏している演奏で、テンポの緩急に関しても激しさを増す形で展開されているため聴いていて迫力を大きく感じ取ることのできる演奏であると言える。オーケストラ全体の音色は統一されており、暗い音ではあるが重厚的で第1楽章における世界観とぴたりと当てはまる形となっているため、非常に聴きやすい印象を受ける。弦楽器群によるズシンとした重みある深いサウンドがあるからこそ全体の像を掴むことができるのだろう。
第2楽章・・・優美さのある緩やかな流れと第1楽章と同じような重厚感のある分厚いスケールが交互にテンポの緩急からなるダイナミクス変化によって演奏されている。それぞれで演奏されている音色が変わっていることもあって、非常に聴きやすく美しさを体感できるようになっているのは間違いない。特に緩やかで伸びやかな弦楽器、木管楽器の軽快さのある演奏は、非常に透明度の高い音色を感じながら演奏を聴くことができる。
第3楽章・・・推進力からなるダイナミクス変化と緊迫感のある演奏は非常に素晴らしいインパクトとなっており、オーケストラの音色に関してもそこまでキツさを感じることなく演奏されている。弦楽器と金管楽器の統一された攻撃的とまではいかないが、エネルギッシュなサウンドはこの楽章にぴたりと当てはまっている。重厚的で分厚いサウンドからなる音圧も楽しめるのは大きなポイントと言える。
第4楽章・・・コントラルトはナタリー・シュトゥッツマンが歌い上げており、その伸びやかで太さのある歌声は聴いていて美しさを感じながらも深みを確かに感じることができる。オーケストラも楽器数を減らしているが、ダイナミック・レンジの幅広さが多少あるため音の広がりとしても充分に確保された空間的な芸術が広がっている。
第5楽章・・・オーケストラのみでの前半と、合唱や歌手が加わってからの後半で聴こえ方が大分違う第5楽章、前半ではまさに混沌としたインパクトのあるテンポの緩急からなるダイナミクス変化を聴くことができ、爆発的なエネルギーや金管楽器の咆哮、弦楽器によるまとまりある伸びやかなスケールは美しさを感じながら強烈な演奏を聴くことができるようになっているのでこれこそライヴならではの臨場感であると言える。