今までバーンスタインによるレスピーギの録音がないかとなぜ考えなかったのか。カラヤンは「ローマの祭」以外の2曲を録音しているが、バーンスタインは「ローマの祭」と「ローマの松」を録音している。しかも、若き日のニューヨーク・フィルハーモニックとの演奏ということで、期待値も大分上がるというもの。「Apple Music Classical」で「ローマの祭」を探していなかったらこれには気づかなかったかもしれない。
・レスピーギ:交響詩「ローマの松」
録音:1970年2月17日
・・・各曲ごとに明確なまでのテンポの緩急を作り上げており、加速する際はより速く加速し、ゆっくりとしたテンポではたっぷりとそれぞれの楽器が歌い上げている。第2曲、第3曲に関しては特に遅めなテンポで演奏されているが、それに伴うスケールが非常に素晴らしく、伸びやかさと濃厚さが重なって美しい世界観を作り上げていると言える。「緩→急」へと変化した際のダイナミクス変化も効果抜群となっており、オーケストラ全体のテンションが上がっていく瞬間がよくわかる演奏となっている。この時代におけるニューヨーク・フィルハーモニックによる金管楽器は大分好みなところがあり、それを体感するには充分な演奏と言えるかもしれない。
・交響詩「ローマの祭」
録音:1968年3月19日
・・・冒頭よりバンダ・トランペットによる荒々しい音色を聴くことができる演奏となっているが、その後もそれは変わることなく演奏されていく。第4曲ではテンポの緩急が連続して変化されるため。それが余すことなく発揮されているという印象が強く、しつこいくらいのねっとりとした演奏と特徴な音色や後押しにも聴こえなくはないだろう。クレッシェンドなど人によっては聴き難いように感じるとなっているかもしれないが、私個人としては大分どストライクに聴こえた。というのも、後ほどブログでも取り上げるが、3月に「ローマの祭」を吹奏楽編曲版ではあるが演奏する。これまでの聴き慣れたバティスやバッティストーニによる演奏も良いが、どこか濃い演奏を探していたという時に「Apple Music Classical」がリリースされ、音源を探していたところ当盤に巡り合った。この演奏は、トランペットもそうだが若き日のバーンスタインによる熱量とテンションの高さからなる快速調のテンポと、勢いの良さを感じることのできる爆発力を存分に味わえるようになっているため、アプローチもその分過剰に聴こえなくはない。それによって、オーケストラ全体のテンションが一貫性のあるものとなって演奏されている。個人的にはトランペット以外として、第4曲でのトロンボーンの演奏が本当に酔っ払っている状態で演奏しているのではないか?とすら感じてしまうユーモアからなる演奏を聴くことができるので、多くの人にこの演奏は聴いてほしいと今は考えている。