元々この「アイーダ」は、2018年にタワーレコード企画の「Definition SACD Series」から第18弾としてタワーレコードから復刻された。しかし、発売して間もなく廃盤となってしまったSACDハイブリッド盤こともあって、多くのクラシックファンは購入することができなかった代物でもある。私も当時購入を逃した側だった。それが2023年12月に再プレスされたこともあり、ようやく手に入れることができたのである。
・ヴェルディ:歌劇「アイーダ」
録音:1974年7月2〜9&11日
・・・ムーティ初のオペラ録音となった今回の「アイーダ」は、豪華歌手陣の絶頂期における圧倒的な歌唱力で楽しむことができる歌声を聴くことができるため、まさに万全の布陣で行われた演奏であると言えるだろう。各配役を含めてみていきたい。
・アイーダ:モンセラ・カバリエ(ソプラノ)
・ラダメス:プラシド・ドミンゴ(テノール)
・アムネリス:フィオランツァ・コッソット(メゾ・ソプラノ)
・ランフィス:ニコライ・ギャウロフ(バス)
・アモナスロ:ピエロ・カプッチッリ(バリトン)
・エジプト王:ルイジ・ローニ(バリトン)
・使者:ニコラ・マルティヌッチ(テノール)
・巫女の長:エステル・カサス(ソプラノ)
コヴェント・ガーデン王立歌劇場合唱団(合唱指揮:ダグラス・ロビンソン)
王立軍学校のトランペッター達
2018年に復刻されたため、マスタリングは2018年最新マスタリングとなっているが、タワーレコード企画の「Definition SACD Series」からなるSACDハイブリッド仕様の高音質盤であることは変わらないので、ダイナミック・レンジの幅広さが増していることはもちろん、それに伴う音質の向上と、明確なダイナミクス変化や豪華歌手陣における伸びやかで力強さを感じ取ることのできる歌声をたっぷりと味わうことができるのは非常に大きい。有名な第2幕第2場での「凱旋行進曲」も、単品で聴くのとオペラ本編内で聴くのとでは大分違う効果をもたらしていることを改めて実感させてくれる。若き日のムーティによるエネルギッシュでいて、活発なテンポの緩急ながら、緩やかと優雅さを兼ね備えた演奏には誰しもが酔いしれてしまうことに違いない。