第1737回「チェリビダッケ/フランス国立放送管 INAライヴ録音大集成:Disc 3,4」 | クラシック名盤ヒストリア@毎日投稿中!!

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 みなさんこんにちは😃本日ご紹介していくのは、「チェリビダッケ/フランス国立放送管弦楽団 INAライヴ録音大集成」の続きとなります。先日取り上げたDisc 1,2も中々に素晴らしい演奏ばかりでしたが、今回のDisc 3,4も負けていません。Disc 3ではベートーヴェンの交響曲第7番、ドヴォルザークのスラブ舞曲集第1番、ミヨーの「ブラジルの郷愁」より第11曲「ラランジェイラス」、ラヴェルの高雅で感傷的なワルツ、ストラヴィンスキーの小管弦楽組曲第2番より「ギャロップ」と、Disc 4ではブラームスの「悲劇的序曲」、アルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリとのベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」が収録されています。やはり注目的なのは、ミケランジェリを迎えてのピアノ協奏曲第5番「皇帝」でしょうか。非常に気になる曲ばかりと言えます。



〜チェリビダッケ/フランス国立放送管弦楽団 INAライヴ録音大集成:Disc 3,4〜


[Disc 3]
「セルジュ・チェリビダッケ指揮/フランス国立放送管弦楽団」

ベートーヴェン作曲:
交響曲第7番 イ長調作品92

ドヴォルザーク作曲:
スラヴ舞曲集 第1番

ミヨー作曲:
「ブラジルの郷愁」より第11曲「ラランジェイラス」

ラヴェル作曲:
高雅で感傷的なワルツ

ストラヴィンスキー作曲:
小管弦楽組曲第2番より「ギャロップ」


[Disc 4]
「セルジュ・チェリビダッケ指揮/フランス国立放送管弦楽団」

ブラームス作曲:
悲劇的序曲 作品81


「アルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリ(ピアノ)、セルジュ・チェリビダッケ指揮/フランス国立放送管弦楽団」

ベートーヴェン作曲:
ピアノ協奏曲第5番 変ホ長調作品73「皇帝」



 Disc 3,4を取り上げていく中で、目を引くのはやはりDisc 4に収録されたミケランジェリとのベートーヴェンピアノ協奏曲第5番「皇帝」だろうか。貴重な録音であることには変わらないこの録音だけでなく、ベートーヴェンやブラームス、ドヴォルザークなど今回2枚のディスクには様々な作曲家の曲が収録されている。


[Disc 1]

・ベートーヴェン:交響曲第7番
録音:1974年9月17日(ライヴ)
・・・近年におけるベートーヴェン像と比べてみると、ずっしりとした重みのあるテンポによって演奏が行われていることもあり、俊敏さや推進力などはそれほどないかもしれない。しかし、オーケストラ全体として奏でられるサウンドとしての重みはあるが、個々の楽器の音色としては軽快で的を得た明確な演奏が行われているため、非常に素晴らしい聴きごたえのある交響曲第7番を聴くことができるようになっている。各楽章で聴くことができるチェリビダッケの声が力の入れ具合をよくわかるようにさせてくれているのは、まさにライヴならではと言えるかもしれない。

・ドヴォルザーク:スラヴ舞曲集第1番
録音:1974年9月17日(ライヴ)
・・・やや重心が低めの演奏だからこそ体感できるこの曲の優美さであったり、テンポの緩急からなるダイナミクス変化が聴いていて非常に面白い。オーケストラ全体が一体感のあるサウンドを奏でながらも、個々の楽器における特徴を見失うことなくバランスの良い演奏を聴くことができるようになっているため、第1番のみだがこの続きも聴きたくなるような面白さが演奏にはあると言える。

・ミヨー:ブラジルの郷愁より第11曲「ラランジェイラス」
録音:1974年9月17日(ライヴ)
・・・全曲ではなく、抜粋のため演奏時間は短いものとなっているが、ユーモアさもありつつクラシックとしての枠組みを一つ飛び越えた面白い演奏を聴くことができる。トロンボーンのジャズ的な演奏も聴いていてキャッチーで面白い。木管楽器と弦楽器による一体感も素晴らしいもので、これがあるからこそトロンボーンの特徴的な演奏が生かされていると言えるかもしれない。

・ラヴェル:高雅で感傷的なワルツ
録音:1974年9月17日(ライヴ)
・・・素朴に感じるかもしれないが、木管楽器や弦楽器による相性は非常に良く、フランス国立放送管だからこそフランス音楽との相性が良いと言っても過言ではないくらいに幻想的で非常に美しさ溢れる演奏を聴くことができる。テンポもどちらかと言えば遅めとなっているため、たっぷりとしていて濃厚さのある演奏となっているのは間違いない。

・ストラヴィンスキー:小管弦楽組曲第2番より「ギャロップ」
録音:1974年9月17日(ライヴ)
・・・今回収録された曲の中で一番勢いからなる推進力のエネルギーが凄まじかった演奏と言えるかもしれない。爆発的なテンポの緩急によって前向きでぐんぐん進められていく演奏となっており、時折り金管楽器が暴走気味ではあるものの、弦楽器の鋭さからなる研ぎ澄まされた演奏が非常に素晴らしい「ギャロップ」を聴くことができる。

[Disc 4]
・ブラームス:悲劇的序曲
録音:1974年10月16日(ライヴ)
・・・テンポの緩急が大きくあるわけではないが、わかりやすく付けられている面があるのは明白な部分となっており、中間部をここまでたっぷりと重厚的に演奏した録音も中々ないのではないだろうか。圧倒的なスケールが出来上がっており、分厚いサウンドと音圧が金管楽器だけでなく弦楽器からも味わえるようになっている。まるで交響曲を演奏しているかのようなテンションであり、叫びをあげるチェリビダッケに対して落ち着いたサウンドでいて、豪快な演奏を奏でるフランス国立放送管には思わず痺れてしまう。

・ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番「皇帝」
録音:1974年10月16日(ライヴ)
・・・ここまでに聴いてきたライヴと同じではなく、重々しさよりも勢いからなるエネルギーの多さが明確化されており、曲全体としてミケランジェリが先導している印象を強く受けた。第1楽章冒頭からミケランジェリがその世界観を作り上げ、チェリビダッケ率いるフランス国立放送管もそれに合わせる形で演奏が展開されていく。ダイナミック・レンジの幅広さがあることによって、ライヴならではの素晴らしい演奏を聴くことができるのが個人的には大分嬉しいし、これは多くのクラシックファンにとっても同様のことかと思う。

 Disc 3,4はまさに多種多様な曲が盛りだくさんと言った曲目だったこともあって、個人的には楽しめた部分が多い。さて、次回このBOXを取り上げる際はDisc 5,6を取り上げていくのだが、Disc 6ではDisc 3で「ラランジェイラス」のみ抜粋されたミヨーの「ブラジルの郷愁」が収録されている。加えて、レスピーギの「ローマの松」があるので、これも目が離せない。


https://tower.jp/item/5103660/チェリビダッケ-フランス国立放送管弦楽団---INAライヴ録音大集成<完全限定生産盤>