ヤンソンスはバイエルン放送響と複数の交響曲録音を残している。選集がすでに発売されており、一部交響曲に関してはSACDハイブリッド仕様の高音質盤として楽しむことができるのも非常に良い点である。濃厚かつ壮大なスケールを持って演奏される圧巻のブルックナーは、2024年におけるブルックナーのアニバーサリー・イヤーにおいてふさわしいと言えるだろう。
・ブルックナー:交響曲第4番「ロマンティック」
録音:2008年11月26〜28日(ライヴ)
第1楽章・・・弦楽器群による分厚いスケールが功を奏する形となっており、それによって形成されたどっしりとした安定感のある土台によって金管楽器のたっぷりとした濃厚かつ美しさ溢れるホルンの音色や響きを体感することができると言えるだろう。木管楽器に関しては、芯のある明確でスッキリとした音色によって演奏されているため、弦楽器群の音色と合わさって透き通るような透明度の高さが大分引き立てられている。テンポもやや重めとなっているため、第1楽章からたっぷりと演奏を味わえるようになっているのは間違いない。
第2楽章・・・重心がどっしりとしている緩徐楽章であり、弦楽器や金管楽器、木管楽器などオーケストラ全体から非常に濃厚かつ分厚いスケールを感じ取ることのできるサウンドが完成されている。テンポの緩急よりも、ダイナミクス変化が重視されているため、伸びやかに演奏と同時に行われている印象である。演奏時間も多少長いかもしれないが、それほど気になることはないので充実した時間を楽しむことができた。
第3楽章・・・スケルツォ楽章ではあるが、それほど推進力がわかるようなテンポの緩急の明確は演奏というわけではない。多少前向きにはなったが、まだ低いたっぷりとした演奏のままとなっている。その分まとまりのある豊かな弦楽器の音色や奥深く濃厚な金管楽器の音色を楽しむことができる。木管楽器が比較的に軽快なアプローチによって演奏されているため、オーケストラ全体としてもバランスが保たれていることがよくわかる。
第4楽章・・・他の楽章と比べれば、第4楽章冒頭から比較的に咳込んでいくかのようなテンポ設定となっており、爆発的なエネルギーを演奏から聴くことができるようになっている。とはいえそれも長くはなく、その後はテンポも落ちて悠然とした濃厚な世界観へと変化している。その際の荘厳さや壮大なるスケールは、ヤンソンスとバイエルン放送響だからこそ奏でることができるであろうサウンドとなっているので、十二分に楽しむことができる。通常CD盤ではあるが、ダイナミック・レンジの幅広さが増しているためダイナミクス変化の盛り上がりや壮大なスケールを体感することができるのは間違いない。
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