第1686回「ミトロプーロスの芸術ライヴレコーディングスwithNYP:Disc 15,16」 | クラシック名盤ヒストリア@毎日投稿中!!

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 みなさんこんにちは😃本日ご紹介していくのは、「ミトロプーロスの芸術 ライヴ・レコーディングスwith ニューヨーク・フィルハーモニック」の続きです。今回は、Disc 15に収録されたベートーヴェンの交響曲第1番、シューマンの「序曲、スケルツォとフィナーレ」、リヒャルト・シュトラウスの交響詩「ドン・ファン」、交響的幻想曲「影のない女」とDisc 16に収録されたベートーヴェンの交響曲第3番「英雄」、ブラームスの「大学祝典序曲」、コープランドの「アパラチアの春」をみていきます。ベートーヴェンの交響曲が収録されているのもそうですが、ミトロプーロスが盛んにリヒャルト・シュトラウス作品をここまで通して比較的に多く録音していたのがどこか意外にも感じます。


〜ミトロプーロスの芸術ライヴ・レコーディングスwithニューヨーク・フィルハーモニック:Disc 15,16〜


「ディミトリ・ミトロプーロス指揮/ニューヨーク・フィルハーモニック」


[Disc 15]
ベートーヴェン作曲:
交響曲第1番 ハ長調作品21

シューマン作曲:
「序曲、スケルツォとフィナーレ」作品52

リヒャルト・シュトラウス作曲:
交響詩「ドン・ファン」作品20

交響的幻想曲「影のない女」


[Disc 16]
ベートーヴェン作曲:
交響曲第3番 変ホ長調作品55「英雄」

ブラームス作曲:
大学祝典序曲 作品80

コープランド作曲:
アパラチアの春



 ベートーヴェン、シューマン、リヒャルト・シュトラウスなどの作品を収録した今回のDisc 15,16。リヒャルト・シュトラウスに関しては「アルプス交響曲」を聴いていたこともあるが、ベートーヴェンの交響曲やシューマン作品を楽しむことができるようになっている。


[Disc 15]

・ベートーヴェン:交響曲第1番

録音:1954年1月31日(ライヴ)

・・・今回のベートーヴェンはスタイルとして冷静でそこまで感情を深く入れ込んでいない印象を受ける演奏となっている。そのため、テンポに関しても比較的に速い印象で、演奏される道もはじめから明確なものとなっているように聴いていると感じられた。オーケストラ全体としても明瞭サウンドであり、統一感と重厚的に感じられは弦楽器群の演奏が壮大なるスケールを生み出しているので聴きごたえおしても充分な演奏だ。


・シューマン:「序曲、スケルツォとフィナーレ」

録音:1951年3月11日(ライヴ)

・・・序曲、スケルツォ、フィナーレそれぞれの特徴を生かした安定感のあるブレのない演奏というように思える演奏となっている。オーケストラ全体としても細部まで細かくこだわり抜かれている演奏となっていることもあって、テンポの緩急やダイナミクス変化も非常に細かい変化のもと演奏されているのでスッキリとした自然的な美しさも楽しめる名演である。


・リヒャルト・シュトラウス:交響詩「ドン・ファン」

録音:1956年10月26日(ライヴ)

・・・演奏として、非常に勢いの良いテンポの緩急からなる前向きな推進力を感じ取ることのできる演奏となっている。それによってニューヨーク・フィルハーモニックによる圧倒的な音圧からなる弦楽器群のスケールをたっぷりと味わえるようになっているのは、誰しもが満足いく仕上がりと言えるだろう。それに加えて活気のある金管楽器や軽快でバランスをうまく整える役割を担っている木管楽器などオーケストラ全体としても一体感のある「ドン・ファン」となっている。ただ勢いにまかせているわけではなく、明確な意志を感じられる素晴らしさが演奏から伝わってくるのは間違いない。


・リヒャルト・シュトラウス:交響的幻想曲「影のない女」

録音:1954年2月11日(ライヴ)

・・・元々は歌劇「影のない女」がもとであり、オペラの旋律に基づいて作曲された曲である。しかし、その世界観はオペラ本編を見ているかのような広大なるスケールと、美しくしさ溢れるダイナミクス変化や各楽器によって奏でられる圧倒的なサウンドをミトロプーロス&ニューヨーク・フィルハーモニックによる演奏でたっぷりと味わうことができる。各場面によって音色や響きが細かく変化しており、煌びやかなサウンドはもちろん一貫性のあるオーケストラサウンドを味わえるようになっている。


[Disc 16]

・ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」

録音:1949年12月11日(ライヴ)

・・・最初から最後まで貫き通すような強い意志を演奏から感じ取ることのできた「英雄」と言っても良い演奏を聴くことができる。フルトヴェングラーやトスカニーニらが作り上げる世界観とはまた違うミトロプーロスの明確なアプローチが光っている。その際何より弦楽器の柔軟性が強く、テンポの緩急が楽章によって細かく変化しているのは非常に聴きごたえのある仕上がりとなっているのは間違いない。


・ブラームス:悲劇的序曲

録音:1958年2月9日(ライヴ)

・・・曲が始まった瞬間にぐんぐん進んでいく活発さとエネルギーに満ち溢れた若々しいような感覚を聴いていて感じ取ることができた。金管楽器や打楽器、木管楽器と弦楽器などほとんどの楽器群においては一体感が出来上がった演奏をしているため、音が押し寄せてくるかのような素晴らしい快活的な感覚を楽しめるというのも非常に良い点と言えるだろうか。ライヴということもあって熱量が高まり、より勢いの良い演奏となっていたのは素晴らしいブラームスだった。


・コープランド:「アパラチアの春」

録音:1954年2月7日(ライヴ)

・・・劇的な物語であり、各場面によってそれぞれの楽器が特徴を生かした音色によって楽しめる演奏を展開している。それは自然的な美しさも楽しめる情景的な面の美しさが重視されている印象で、それを幅広く取られたスケールによって楽しめるコープランドの世界で聴くことができるようになったと言えるだろうか。モノラルのため、ダイナミック・レンジの幅広さはそれほどないが目を閉じるだけでその世界が広がってくるのは非常に面白い点だろう。


 このBOXも残すところ3枚のディスクで全て聴き終えたこととなる。次にどのBOXを聴くかも考えなければならないが、それとしてもミトロプーロスによる他のオーケストラとの録音は何種類かまだまだ存在しているので、引き続きそれらも聴いてみたいところである。次回取り上げる際は、Disc 17,18を取り上げる予定だ。


https://tower.jp/item/5475955/ディミトリス・ミトロプーロスの芸術~ライブレコーディングス-with-ニューヨーク・フィルハーモニック