第1685回「Amazon Musicで聴くネゼ=セガンによるベートーヴェン交響曲全集」 | クラシック名盤ヒストリア@毎日投稿中!!

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 みなさんこんにちは😃みなさんは普段音楽を聴く際はどのような形で聴いているでしょうか?音楽配信サービス、YouTube、CD、ポータブルオーディオなど様々な形で今は音楽を聴くことができるようになっています。私自身としては、CDを購入してパソコンに取り込んだ後スマートフォンに転送してワイヤレスイヤホンや有線イヤホンを接続して聴くことが多いです。

 さて、今回は初めてではありませんが今まで避けて通っていた音楽配信サービスを久しぶりに利用してみたところ想像していた以上に度肝を抜かされる結果となった「Amazon Music」で聴いたヤニック・ネゼ=セガンとヨーロッパ室内管弦楽団によるベートーヴェンの交響曲全集を取り上げていきます。この全集自体まだCDを購入していなかったこともあって、今回良いタイミングだったと言えるかもしれません。


「ヤニック・ネゼ=セガン指揮/ヨーロッパ室内管弦楽団」

ベートーヴェン作曲:
交響曲第1番 ハ長調作品21

交響曲第2番 ニ長調作品36

交響曲第3番 変ホ長調作品55「英雄」

交響曲第4番 変ロ長調作品60

交響曲第5番 ハ短調作品67

交響曲第6番 ヘ長調作品68「田園」

交響曲第7番 イ長調作品92

交響曲第8番 ヘ長調作品93

交響曲第9番 ニ短調作品125「合唱付き」



 ヨーロッパ室内管弦楽団といえば、アーノンクールとのベートーヴェン交響曲全集は衝撃的な名盤として今でもなお語り継がれている代物である。アーノンクールの時以来の交響曲全集となるため、大分久しぶりとも言えるだろう。今回の演奏に関しては、ベートーヴェンの生誕250年記念として行われた録音となっている。また、最初に述べた通りAmazon Musicの「Dolby Atmos」で聴いており、高音質盤における壁を大きく飛び越えた高音質中の高音質であると述べておきたい。ちなみに、「Dolby Atmos」以外での音質には「Ultra HD」となっているのだが、音質に関しては圧倒的に前者が良かったので基本として「Ultra HD」は基本聴いていない。


 「Dolby Atmos」とは、


・ベートーヴェン:交響曲第1番

録音:2021年7月2〜10日

・・・今回の演奏は室内楽編成によるベートーヴェン演奏ではあるが、従来聴かれるような筋肉質でゴツゴツとした固さのある近年におけるベートーヴェン像とまではいかない演奏というようにも感じられる。テンポに関しても第4楽章を除いてそれほど速いわけではなく、音楽の流れとしてもスムーズで迷いが感じられない。また、これは「Dolby Atoms」による効果だが低弦をはじめとしてオーケストラ全体のサウンドはやや重厚的で分厚めな仕上がりとなっている。この点としても室内楽的な面が全面的に押し出されていないようにも聴こえなくはないので、親しみやすい点となっているのかもしれない。何より明瞭で透明度の高い音色と響きとなっているので聴きやすい第1番となっているのは間違いないだろう。


・交響曲第2番

録音:2021年7月2〜10日

・・・第1番の演奏スタイルから多少変化した形となっている今回の第2番では、やや引き締まったサウンドと残響も少なめで全楽章共通して前向きな演奏が仕上げられている。特に弦楽器による統一感のあるサウンドと、分厚めな金管楽器や透き通る透明度の高い木管楽器の美しい音色など聴いていて驚かされる部分が非常に多い。それに加えて安定感もある演奏となっている。また、ダイナミクス変化からなる音の波も凄まじいスケールとなっているので、聴きごたえもある演奏が聴けるのは間違いない。


・交響曲第3番「英雄」

録音:2021年7月2〜10日

・・・フルトヴェングラーやカラヤンによる重厚的でスケールの感じられる「英雄」も良いが、個人的には今回のような室内楽編成による演奏も悪くはないと感じている。というのも快活的で推進力溢れる活発な演奏を聴くことができるのに加えて細部までこだわり抜かれた勢いのある演奏を楽しむことができるからという意味もある。今回の演奏では、金管楽器とティンパニの一体感が素晴らしく、キメどころを逃すことなく演奏されているため、迫力に関しても申し分ない仕上がりとなっている。もちろん弦楽器に関してもやや鋭くキレ味のある印象を受けるが、筋肉質な音色を楽しめるようになっているので聴きごたえは抜群である。


・交響曲第4番

録音:2021年7月2〜10日

・・・疾走感のあるテンポが推進力からなる勢いの良いスタイルを確立しており、やや固めのサウンドということも重なって引き締められた非常に素晴らしい演奏となっている今回の第4番。往年の時代における名盤や名演たちに匹敵すると言っても良い圧倒的なサウンドとなっており、金管楽器とティンパニ、弦楽器のキレ味あるサウンドには聴いているだけで惚れ惚れするものがある。この曲は室内楽編成など古楽器などの演奏で驚かされる面が多々あるのめ、こういった演奏で聴くのも面白い。


・交響曲第5番

録音:2021年7月2〜10日

・・・第1楽章が始まった瞬間の活発さもあるが、第2楽章に入るとどこかおとなしいくらいにまで控えめな演奏のようにも聴こえるくらいにテンポの緩急が徹底されている今回の第5番だが、第4楽章に入った瞬間の開放的な感覚やここまでに溜めてきたエネルギーの放出が非常に功を奏している。「第九」を聴いているかのような気持ちにもなってしまうくらいの心持ちであることには変わらず、オーケストラ全体としても非常に良い音の鳴りをしているので鳥肌が立ってしまうくらいに聴き入ることができる第5番だった。


・交響曲第6番「田園」

録音:2021年7月2〜10日

・・・ここまでに聴いてきた交響曲とは違い、美しい木管楽器と弦楽器によって展開される牧歌的で親しみやすい音色と響きが室内楽編成とは完成なく、幅広いスケールを持って演奏されている。今回の「田園」における世界観の中では強固なサウンドもなければ、筋肉質で引き締められたサウンドも存在しない。ただひたすらに美しさを追求し尽くした演奏があるとだけ述べておきたい。今回の全集の中でも特に美しさ溢れる演奏であると言えるだろう。


・交響曲第7番

録音:2021年7月2〜10日

・・・「田園」と比べると、第1番〜第5番までの交響曲と同様もしくはそれ以上に強固で固さが伝わってくる演奏を聴くことができると言っても良い第7番を今回聴くことができる。第3楽章から多少前向きで推進力の感じられるテンポの速さとなっているが、第4楽章になるとさらに速く速く演奏されるのでこれには驚かされる。カラヤンによる同曲録音も大分速い印象だったがらそれ以上の活発さからなるエネルギーを味わえるのではないだろうか?


・交響曲第8番

録音:2021年7月2〜10日

・・・ベートーヴェンの交響曲第8番に関してはこれまでに何種類もの録音を聴いてきたが、今回の演奏はその中でも群を抜いて分厚いスケールからなる音の波と、オーケストラ全体で強固さが統一されたサウンドとしての仕上がりとなっている演奏で間違いはないだろう。そのため、どの楽器群に関しても非常に強靭的で聴き進めていくだけでも分厚さが充分に伝わってくる。細部まで細かくこだわり抜かれた面もあるが、オーケストラ全体としての統一感からなる圧倒的なサウンドを楽しみたい時にオススメしたい演奏である。


・交響曲第9番「合唱付き」

録音:2021年7月2〜10日

・・・今回の「第九」、全楽章に共通している点とすれば、「Dolby Atmos」による再生となっているためそれぞれの楽章で演奏が始まった瞬間の空間の鮮明さが非常に素晴らしい仕上がりとなっている。これには思わず毎回鳥肌が立ってしまうほどである。室内楽編成や古楽器による「第九」は今日までに何種類も聴いてきたが、個人的に今回の演奏が一番グッと心にささったかもしれない。オーケストラのみで演奏される第1楽章〜第4楽章前半までと第4楽章から合唱が加わった瞬間における音色や歌声、響きにおけるバランスも絶妙であり、想像している以上の音響と勢いの良さ、壮大なるスケールを体感できるので最初から最後までどっぷりとネゼ=セガン&ヨーロッパ室内管による「第九」を堪能することができた。


 さて、今回はAmazon Musicでの「Dolby Atmos」から聴いたので、非常に素晴らしい音響と高音質からなるベートーヴェンの交響曲を楽しむことができた。こうなってくると気になるのはCDとの音質の差という点である。これに関しては購入して聴いてみるしかない。曲間もカットされているのか、余韻があまり楽しめないというのが今回ストリーミングで聴いて感じたところだろうか。大学時代に一定期間Apple Musicを使っていた時期はあったが、記憶が確かならそこまで曲間を狭めることはなかったようにも思えるのだが仕様がそれぞれで変化しているのかもしれない。しかし音質に関してはいうことなしとまでいくような素晴らしい仕上がりだった。ストリーミングでの音楽は以前からあまり個人的に良い音質に感じられなかった分、普段CDを通した音源でしか聴かない私としては大きな衝撃だった。ただ、「Dolby Atmos」の恩恵を受けているクラシック音楽の録音はまだまだ少ないので、我々のようなコアでマニアックなファンにウケるかというと話が変わってくるのかもしれない。


https://tower.jp/item/5464454/ベートーヴェン:-交響曲全集