ホロヴィッツによる最後の正規録音として登場した今回のラフマニノフピアノ協奏曲第3番とピアノ・ソナタ第2番(ホロヴィッツ版)。近いうちにSACDハイブリッド仕様の高音質盤となって復刻されることが確定しているため、これについてもいずれ購入して聴き比べたいと考えているのだが、2016年に発売されたBlu-spec CD2の高音質盤も非常に素晴らしいと言えるだろう。
・ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番
録音:1978年1月8日(ライヴ)
第1楽章・・・大きな溜めなどが演奏に盛り込まれていることもあって、テンポがやや遅い箇所もあるが、豪快かつ壮大なスケールを感じることのできる激しい第1楽章となっている。当盤がBlu-spec CD2となっているため、多少なりともピアノやオーケストラのサウンドは輪郭がハッキリとしており、なおかつ音も固めとなっている。しかし、テンポの緩急からなるダイナミクス変化が明確に演奏されていることもあって、ホロヴィッツによる繊細なピアノも楽しむことができる。
第2楽章・・・中間における緩徐楽章だが、ただ甘さたっぷりに演奏をしているわけではなく、テンポの緩急も付けられているため、メリハリのある演奏を聴くことができる。オーケストラもホロヴィッツによるピアノに合わせる形で音を奏でていることもあって、その場面ごとに切れ味や美しさといった音色、響きを明確かつ明瞭さのある状態で演奏を行なっている。
第3楽章・・・近年演奏されているピアノ協奏曲第3番の第3楽章のようにスピードとピアニストによる技量を全体的に押し出した演奏というよりは、やや重心を低くしたことによる安定感やそれによる豪快なピアノタッチなどが大きく目立っている。もちろん技量的な部分もあるが、それよりもホロヴィッツがこの曲に対する熱量の大きさを改めて再認識させられるような姿勢を感じ取ることができた気がする。
・ラフマニノフ:ピアノ・ソナタ第2番
録音:1980年4月13日、5月2,4,11日(ライヴ)
・・・今回演奏されているのはホロヴィッツ版で、ラフマニノフによる原曲ではない。ピアノ・ソナタではあるが、一つの交響的な大曲を聴いているかのような壮大なるスケールと、豪快なピアノのタッチで描かれていることもあって常に演奏から耳が離れることがない印象である。それほど古い録音ではないということもあって音質もそれなりに良く、ダイナミック・レンジの幅広さからなるダイナミクス変化も非常に素晴らしいピアノ・ソナタ第2番を楽しめるようになっているのは間違いない。
ホロヴィッツのラフマニノフ自体大分久しぶりに聴いたが、まだまだホロヴィッツが残した録音のほとんどは聴けていない。これらについては今後も継続して少し購入し、聴いていきたいところ。とりあえず後日発売されるSACDハイブリッド盤のホロヴィッツによるラフマニノフ作品の録音がどのような仕上がりとなるのか気になるのは変わりないので、それまで何種類かCDは購入して聴きたい思う。
https://tower.jp/item/4343090/ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番-他