第1572回「ジョン・ウィルソン&SOLによるラフマニノフ交響曲第2番」 | クラシック名盤ヒストリア@毎日投稿中!!

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 みなさんこんにちは😃本日ご紹介していくのは、今注目度が大分上がっているジョン・ウィルソンとシンフォニア・オヴ・ロンドンによるラフマニノフの交響曲第2番と「幻想的小品集」より前奏曲(ストコフスキー編)です。本来ならばまず2022年10月に発売された交響曲第3番から取り上げるところではありますが、個人的にはやはり交響曲第2番が出ているのならばそちらから聴きたくなるもの。今年2023年はラフマニノフ生誕150年、没後80年という年の中でどのような世界観が描かれるのか楽しみです。


「ジョン・ウィルソン指揮/シンフォニア・オヴ・ロンドン」

ラフマニノフ作曲:
交響曲第2番 ホ短調作品27

「幻想的小品集」より前奏曲作品3-2(ストコフスキー編)



 ジョン・ウィルソンとSOL(シンフォニア・オヴ・ロンドン)は今回のラフマニノフをはじめとしてこれまでにラヴェルやコルンゴルト、レスピーギなど比較的に近現代作品が多く取り上げられている。ラフマニノフの交響曲は第2番と第3番が現在までに発売されている中で、今後交響曲第1番と交響的舞曲が録音されるかはわからないが、今ここで第2番を聴きたくなるのは多くの人々もそうだと思う。交響曲第3番に関してはまた後日取り上げていくので、今回は交響曲第2番をたっぷり味わいたいと思う。


・ラフマニノフ:交響曲第2番

録音:2022年1月6〜8日


 第1楽章・・・長い映画音楽のオープニングを聴いているかのような世界観であり、オーケストラ全体で描かれている音色はまさに甘く、伸びやかであり非常にロマンティックな演奏を余すことなく味わえるようになっている。弦楽器による壮大なスケールが土台となり、オーケストラ全体を美しいヴェールで包み込んでいる。この時点で聴き手は大分心を鷲掴みなされている。そしてSACDハイブリッド盤ということもあってダイナミック・レンジの幅広さがあるため、残響も想像している以上に足されている印象が強い。その点でいえば演奏よりもダイナミック・レンジの方が強い。しかしそれによって映画音楽を聴いているかのような高音質っぷりを第1楽章から聴くことができるようになっているため、この後に聴くことができる第3楽章が大分楽しみになるのは間違いない。


 第2楽章・・・活発であり、テンポの緩急からなるダイナミクス変化を細かく聴き込むことができるようになったスケルツォ楽章である。ダイナミック・レンジの幅広さが増していることによって、細部まで細かく演奏を聴き分けられるようになっているのは大きい変化である。加えてテンポの変化に関しても細かく演奏が展開されている。特に「緩→急」へと変化する際の加速とダイナミクス変化が抜群に良いというのを聴いていて味わえるようになっている。ティンパニの打撃に関しても程よい演奏で、金管楽器からは歯切れの良さとメリハリを明確に聴くことができるようになっている。


 第3楽章・・・想像していたよりもテンポはやや早めではあるものの、このダイナミック・レンジの幅広さやまとまりある弦楽器によって奏でられるたっぷりとしたスケールは言葉を失うくらいに美しい。弦楽器だけではなく木管楽器もその片鱗を受け継いでおり、芯のある音を聴きながらロマンティックかつ甘さをたっぷりとしている弦楽器によるしっかりとした土台の元演奏が行われているので、もはや言うことはない感動を味わえる。ここ最近何種類もの交響曲第2番を聴いているが、その中でもSACDハイブリッド盤という特性を生かし、圧倒的なまでの演奏を楽しめるようになっているのはこのウィルソンとシンフォニア・オヴ・ロンドンによる演奏で間違いないだろう。


 第4楽章・・・軽やかで美しい身のこなしとなっているような演奏である今回の第4楽章。非常に美しく、柔軟性のある演奏となっており、個々の楽器含めてオーケストラ全体が生き生きとした輝かしい音色を奏でている。この演奏こそ私が第4楽章を聴くたびに思い描いていた映画音楽としてのイメージを特に近い演奏と言えるかもしれない。テンポも止まることなく柔軟性のある美しくまっすぐな演奏が展開されており、聴くもの全てを虜にするような魅力に満ち溢れている。聴いているだけでエネルギーを分けてもらい、テンションが自然と上がってくる素晴らしい演奏と言えるだろう。


・「幻想的小品集」より前奏曲(ストコフスキー編)

録音:2022年1月6〜8日

・・・かつてラフマニノフはストコフスキーと共に自身のピアノ協奏曲を録音しているが、今回の「幻想的小品集」より前奏曲はストコフスキーによる編曲のもと管弦楽版による演奏を聴くことができる。元々はピアノ曲だが、今回の演奏に関しては大分分厚いスケールを演奏から聴くことができるようになっており、金管楽器と打楽器による圧倒的な音圧が非常に凄まじいエネルギーとなっているのがよくわかる。金管楽器特にトロンボーンやチューバによる音色が若干音割れに近いくらいの音圧によって演奏されているのが印象的なものとなっているが、この短い時間の中で大きな印象を残すのは中々ないのではないだろうか?聴いていてこの曲は演奏してみたいと個人的に思ってしまった。


 ジョン・ウィルソンとSOLのコンビによるCDはSACDハイブリッド盤の高音質盤ということもあるのだろうが、高音質だからということも重なってどの演奏も非常に素晴らしい録音ばかりである。当盤の前に発売された交響曲第3番も今回楽しんだ第2番の余韻がなくなる前に聴きたいところ。ぜひともこのコンビには交響曲全集を完成させてほしいと個人的に思ってしまう。今後の情報を待ちたいところだ。


https://tower.jp/item/5660146/ラフマニノフ:-交響曲第2番