第1558回「ハイティンク&バイエルン放送響、マーラーの交響曲第7番2011年ライヴ」 | クラシック名盤ヒストリア@毎日投稿中!!

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 みなさんこんにちは😃本日ご紹介していくのは、ベルナルド・ハイティンクとバイエルン放送交響楽団によるマーラーの交響曲第7番「夜の歌」です。ハイティンクといえばマーラーの交響曲と言っても良いくらいに多くのオーケストラと共に交響曲を録音してきました。今回取り上げるバイエルン放送響とのマーラーは2011年2月14〜18日にフィルハーモニー・イン・ガスタイクにて行われたライヴとなっています。6種類目となるマーラーをみていきたいと思います。


「ベルナルド・ハイティンク指揮/バイエルン放送交響楽団」

マーラー作曲:
交響曲第7番 ホ短調「夜の歌」



 ハイティンクはロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団と1969,1982,1985年に録音を残し、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団とは1992年に録音、録画を残している。そして今回、バイエルン放送交響楽団との2011年ライヴが加わるので6種類目が現れたこととなる。



マーラー:交響曲第7番「夜の歌」
録音:

 第1楽章・・・ややテンポも遅めではあるが、クレンペラーを思い出してみるとそれほど遅いとは言えない。重厚的かつ骨太な始まりとなっており、荒々しさはほとんどなく安定感のある音楽の流れが抜群に良い。テンポの緩急もありつつ、この楽章で細かく演奏される揺らぎも功を奏する形となっているので聴きごたえは十二分にあると言えるだろう。金管楽器や弦楽器をはじめとして音色に関しても決して明るいと言えるものではなく、悲しみが伝わってくる演奏となっているがそれでも不屈の精神と言おうか。前向きに進んでいく強さは演奏から確かに聴くことができる。骨太でしっかりとしている分ダイナミクス変化もわかりやすくなっているので、楽しめるのは間違いない。個人的には通常CD盤ながらに深みのあるバスドラムや歯切れの良さやきらびやかなグロッケンシュピールなどの打楽器が大分好みに聴くことができた。

 第2楽章・・・一曲目の「ナハトムジーク」。ガッツリと遅いわけではないが、踏み込んだ上で重厚感をたっぷりと味わいながら分厚いサウンドを聴かせている。それは決して重々しいわけではなく、あくまで第1楽章から変わらない骨太なサウンドが継続されていることもあるので、聴いている感覚としてはどこか陽気さもある穏やかさと豊かな世界観と言えるかもしれない。普遍的な美しさが垣間見えるので、聴いていて楽しみを味わえるマーラーとなっている。

 第3楽章・・・やや控えめかつテンポも少々遅めに聴こえるかもしれないが、抜群の安定感と安全運転に演奏が進んでいく。ダイナミクスももう少し強打で良かったかもしれないが、これはこれでどこか不気味な世界観が出来上がっている。捻くれているようにも聴こえるかもしれないが、こういったマーラーの交響曲におけるスケルツォ楽章というのも混沌に近いアプローチとなっているので大分ベストな演奏と言えるだろう。

 第4楽章・・・二曲目の「ナハトムジーク」。ここまでの楽章は比較的にテンポの遅い演奏が続いていたが、第4楽章に関しては後ろ向きではなく比較的に前向きで演奏が進んでいく印象である。マンドリンの音に関しても美しさがある。また、この楽章で重要な立ち位置にあるヴァイオリンの存在も大きく、テンポの緩急も加わりながら甘さたっぷりのスケールを余すことなくたっぷり聴くことができる。同時に細かい溜めもあるため、大分聴き入ってしまう。今回の演奏は聴いているだけでうっとりしてしまうポイントが多い。

 第5楽章・・・テンポの緩急が激しい楽章となっている第5楽章。抜群の爆発力からなる演奏は非常に素晴らしく、穏やかでありゆったりとした面と急な加速から俊敏さを感じ取ることのできる細かい変化を聴き取ることができる。たっぷりと重厚感を味わえるアプローチとなっており、次々と変化していく音楽の流れによって、これまでに聴いたことがないくらいの緩急を味わえる。繊細に描かれている金管楽器をはじめとして、群としてスケールをたっぷり味わえる弦楽器の存在は非常に大きく、木管楽器も軽快さと自然的な音色となっていて聴きやすい。オーケストラ全体としてのバランスも素晴らしいので、最後まで楽しめるのは間違いないだろう。

 ハイティンクによるマーラー自体ここ最近聴いていなかったこともあって、今回聴いたバイエルン放送響との「夜の歌」はそれなりに楽しめたと個人的には思っている。同オーケストラとの交響曲第3番はよく聴くこともあって、同じオーケストラによる別のマーラーを聴くことができてよかった。ハイティンクが亡くなって2年経つわけだが、それによってマーラーの交響曲も往年の時代から新しい時代へとバトンタッチされたようにも感じられるため、どこか印象深い歴史の転換だったようにも今になっては思える。