第1210回「ベーム&ウィーンフィルによるシューベルト《未完成》と第5番のSACD」 | クラシック名盤ヒストリア@毎日投稿中!!

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 みなさんこんにちは😃本日ご紹介していくのは2021年1月20日にカール・ベーム没後40年企画としてタワーレコードの「ヴィンテージSACDコレクション」から発売されたシューベルトの交響曲第8番「未完成」、第5番をみていきます。いずれもウィーン・フィルハーモニー管弦楽団と「ドイツ・グラモフォン」に残した録音で素晴らしい名盤として今日に知られています。今回はそんなベームのシューベルトをSACDハイブリッド仕様の高音質盤でみていきたいと思います。


「カール・ベーム指揮/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団」

シューベルト作曲:
交響曲第8番 ロ短調 D759「未完成」

交響曲第5番 変ロ長調 D485



 ベームはすでにベルリン・フィルともシューベルト交響曲全集を完成させている。そちらに関してはSACDシングルレイヤーなどの高音質盤が発売されているのと、通常CD盤が比較的手に入れやすい。ベルリン・フィルとの交響曲全集はまたそのうち取り上げたいと思う。今回はウィーン・フィルとのシューベルトで、「未完成」はベームが82歳の時ホーエネムスのシューベルティアーデ音楽祭にてライヴ録音されたもの、第5番は85歳の時にウィーンのムジークフェラインザールにてセッション録音を行っている。それぞれ晩年に録音された貴重な録音である。


 シューベルト:交響曲第8番「未完成」、1977年6月ライヴ録音

・・・シューベルトの交響曲の中でも比較的演奏される回数が多い人気曲の一つである。今回ライヴ録音されたこの「未完成」は、やや低めの重心に置かれた状態で演奏されており、ウィーン・フィルが奏でるサウンド一つ一つには明確な重みが備わっている。しかし、常に重いというわけではなく軽快さもあるため緩急は失われることなく演奏されている。2020年最新マスタリングが施されたことによるダイナミック・レンジの幅広さは功を奏しており、ライヴならではの臨場感を失うことなく重厚さをうまく演奏にプラスできている。奥深い響きや弦楽器を軸とした美しい音色にも注目しながら聴くとなお面白い演奏となっている。


 交響曲第5番、1979年12月録音

・・・シューベルトの交響曲中でも小規模な交響曲として知られる第5番。ベームはセッション録音含めて3回録音を残している。余談だが、この第5番に関してはエソテリック盤がすでに発売されているためCD紹介文にある世界初SACD化というのは間違っていたりする。聴き始めて感じたのは晩年とはいえ推進力を常に感じることができるようなエネルギーに満ち溢れた素晴らしい演奏であるということ。演奏時間はそれほどないものの、小編成ということもあって機動性には優れたやや筋肉質にもとることができる弦楽器群に対して軽快さを感じることができる木管楽器の自然体そのものである美しい音色などその世界観は完成されている。


 ベームのシューベルトは1979年にシュターツカペレ・ドレスデンとライヴ録音した「ザ・グレイト」以来のことだが、ベートーヴェンやモーツァルト、ブラームスだけでなくシューベルトも非常に聴きやすい研ぎ澄まされた演奏であると聴き終えた今は感じている。このままベルリン・フィルとの交響曲全集を聴いてもいいくらいのテンションまできている。それはまた後日ゆっくりと時間をかけて聴きたいと思うが、今回のウィーン・フィルとのシューベルトが作り出す世界観は十二分に楽しむことができた演奏だったので大切に所持していきたい。


https://tower.jp/item/5143086/シューベルト:-交響曲第8番《未完成》・第5番<タワーレコード限定>