第1204回「イム・ホンジョン&韓国交響楽団によるブルックナー交響曲全集:4番〜6番」 | クラシック名盤ヒストリア@毎日投稿中!!

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 みなさんこんにちは😃本日は昨日から取り上げているイム・ホンジョンと韓国交響楽団によるブルックナー交響曲全集から交響曲第4番「ロマンティック」、第5番、第6番の3曲をみていきます。今回何と言っても注目すべきなのは以前から何度も言っている第5番をようやく触れることができる点でしょうか。どのような仕様となっているのかみていきたいと思います。


〜ブルックナー交響曲全集〜


「イム・ホンジョン指揮/韓国交響楽団」

ブルックナー作曲:
交響曲第4番 変ホ長調 WAB.104(1881年稿 ハース版)「ロマンティック」

交響曲第5番 変ロ長調 WAB.105(シャルク改訂版)

交響曲第6番 イ長調 WAB.106(ノヴァーク版)



 第4番、第5番、第6番というブルックナーの交響曲の中でも中枢を担う上記3曲。ブルックナーの交響曲はどの曲も個性的だ。今回演奏されている第4番、第5番、第6番は特にそれがよくわかると思う。第5番はこの全集を購入するきっかけとなった演奏の一つだが、第1番の「ウィーン稿」のような型破りなシャルク改訂版を久しぶりに聴くことができるので非常に楽しみで仕方ない。


 ブルックナー:交響曲第4番「ロマンティック」、2016年2月25日ライヴ録音

・・・ブルックナーの交響曲の中でも特に人気の高い第4番、今回は1881年稿のハース版が使用されている。1881年にウィーン初演としてハンス・リヒターがウィーン・フィルハーモニー管弦楽団と演奏をしている。今回のハース版はこれまで多くの指揮者たちが取り上げてきた版なだけあって聴きやすいと思われる。演奏として、全体的に幅広く豊かなサウンドが今回は特徴的なものとなっている。ただまろやかすぎるのかイマイチ決め所がうまく決まらない。金管楽器と打楽器が優しすぎるのかもしれない。そのため、個人的に感じたのは今回の演奏は美しい音色と響きを楽しむのが一番であると。パワーによる圧倒よりも美しさによる圧倒は音楽的な理想の姿と言っても良いと思うので、新しい第4番を聴けた気がする。


 交響曲第5番、2016年9月9日ライヴ録音

・・・ブルックナーの数ある交響曲の中でも難易度も高く、対位法が駆使された点がありその情報量の多さには好みが分かれる。現在ではほぼほぼ原典版が主として演奏されるが、今回はシャルク改訂版という珍しい版が使用されている。しかし、実際初演された時は1894年のシャルク版が最初で、その大分後に原典版が初演されている。ちなみにシャルク改訂版での初演の際、ブルックナーは病気のため欠席している。これには改訂版への抗議への意味があったかはわからないが、ブルックナーが改訂版を聴くことはなかった。録音ではクナッパーツブッシュがウィーン・フィルやミュンヘン・フィルと残しており、日本ではロジェストヴェンスキーが読響とライヴ録音を行っている。どの部分が違うのかというと第3楽章、第4楽章の大幅なカットと第4楽章終盤で登場するバンダの金管楽器群やシンバル、トライアングルなどの打楽器が追加されており、神秘的な美しさよりも迫力が重視されている傾向がある。良いか悪いか、第1楽章から第2楽章まではほとんどその他の版とあまり変わりはない。変わった瞬間はやはり第3楽章以降だった。金管楽器の使い方が若干マーラーやショスタコーヴィチのようなファンファーレなど金管楽器の増強が目立つ形になっている。個人的に嬉しかったのは今回の第4番や第6番もそうだったし、昨日取り上げた第1番〜第3番含めてあまりパワーを感じるような場面がなかったのだが、オーケストラ全体の壮大なスケールや芯のある太い音を鳴らす金管楽器の咆哮には思わず言葉を失ってしまうような素晴らしさがある。もちろん原典版などのように複雑な対位法を含んだのも素晴らしいが、シャルク改訂版は普段あまり聴くことがないプラス高音質盤が少ないという点では当盤は非常に貴重な代物であると言えるだろう。終盤のバンダが加わった瞬間の音圧は凄まじい威力を秘めている。


 交響曲第6番、2015年2月26日ライヴ録音

・・・ブルックナーの交響曲の中でも比較的演奏回数が少ない曲だが、その美しさは第4番や第8番などに匹敵するものであると私は考える。版もそれほど多くなく「ハース版」か「ノヴァーク版」のみだ。今回演奏されているのは「ノヴァーク版」で、推進力もありつつ流れるように美しい音色、和音の響きなどがなんとも特徴的と言えるだろう。テンポの緩急が意外にもわかりやすく作り込まれており、勢いに乗った際の押し寄せる瞬間の一体感は凄まじい威力があると感じることができる。それが美しいだけではないと思った瞬間だろうか。分厚い弦楽器、軽やかな木管楽器などたくさんの個性が一つにまとまりあった面白さを体感できたまた新しい名演だった。


 昨日は初期にあたる第1番〜第3番を、本日は第4番〜第6番をみてきた。明日はついに有名な3曲である第7番〜第9番を取り上げることとなる。本日見てきた中では第5番、第6番が特によかった。第5番は期待していた通りだし、第6番は思わぬ方向から驚かされたような気持ちだ。明日取り上げる第7番、第8番、第9番はどのような個性に満ち溢れた演奏となっているのだろうか?今から楽しみで仕方ない。


https://tower.jp/item/4574979/Bruckner:-9-Symphonies