第1203回「イム・ホンジョン&韓国交響楽団によるブルックナー交響曲全集:1番〜3番」 | クラシック名盤ヒストリア@毎日投稿中!!

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 みなさんこんにちは😃ちょうど1週間前の「クラシック音楽館」で放送されたサグラダ・ファミリアにて行われたティーレマンとウィーン・フィルによるブルックナー交響曲第4番「ロマンティック」。それを見て久しぶりにブルックナーを聴きたくなったので、本日から3日間かけてブルックナー交響曲全集を取り上げたいと思います。イム・ホンジョン、韓国交響楽団によるライヴでの全集となっており、第5番では貴重なシャルク改訂版が演奏されています。まず1日目となる本日は交響曲第1番、第2番、第3番「ワーグナー」の3曲をみていきます。


〜ブルックナー交響曲全集:その1〜


「イム・ホンジョン指揮/韓国交響楽団」

ブルックナー作曲:
交響曲第1番 ハ短調 WAB.101(1891年ウィーン稿 G.ブロッシェ版)

交響曲第2番 ハ短調 WAB.102(1877年稿 ノヴァーク版)

交響曲第3番 ニ短調 WAB.103(1889年稿 ノヴァーク版)「ワーグナー」



 ブルックナーの交響曲はそれぞれの曲で複数版が存在しているため、様々な交響曲全集、選集が演奏されてきた。それを踏まえてみると今回の交響曲全集は多種多様という言葉が近いかもしれない。その中でも目玉となるのはやはり第5番のシャルク改訂版だろうか。第5番は明日取り上げるが、まずはそれに引けを取らない存在感を放っている第1番、第2番、第3番を楽しんでいこう。


 ブルックナー:交響曲第1番、2015年10月29日ライヴ録音

・・・この第1番では「リンツ稿」と「ウィーン稿」が存在する。今回に関しては「ウィーン稿」が使用されている。私の記憶が正しければ「ウィーン稿」の第1番を聴くのは初めてのような気がしている。第8番の後に改訂を行った版ということで随所にブルックナーにおける三大交響曲である第7番と第8番、第9番に近い様式をみることができる。そのため評価が分かれており、「ウィーン稿」には「若々しさがない」とも言われている。実際「リンツ稿」を聴いた後にこの「ウィーン稿」を聴いてみるとほとんど変わってしまっているため驚きを隠せない。そして何より今回演奏しているイム・ホンジョンと韓国交響楽団による演奏も割と活発的で推進力を常に感じるものとなっている。しかし低弦などの弦楽器群は重厚的なサウンドとなっているのに加えて金管楽器にはすっきりとした色鮮やかさが、木管楽器には軽やかで透明度の高さを感じることができる。ある意味今回の演奏には驚かされる場面が多かったが、新鮮味があってそれなりに楽しむことができたことは間違いない。


 交響曲第2番、2016年4月26日ライヴ録音

・・・さて、ブルックナーの版に関しては少々手を焼く部分があるが、今回第2番で使用されているのは1877年稿ノヴァーク版となっている。演奏として、緩急がありつつも失われることのない推進力がこの曲をよりエネルギッシュなものにしている。第2番に限ったことではないが、韓国交響楽団が奏でるサウンドにしつこさがないということも注目すべき点であることは間違いないだろう。また、ダイナミクスの変化も非常に細かく行われており、聴き飽きるということはない。音色や響きには深みがあるものの暗すぎることなく明るめに演奏されている。


 交響曲第3番「ワーグナー」、2015年5月12日ライヴ録音

・・・ブルックナーの初期交響曲の中でも特に有名で一番演奏回数が多い作品と言ってもいいこの第3番。今回は1889年稿が使用されている。今回の演奏では他の第1番、第2番と同様にぐんぐん進んでいく推進力がなんと言っても素晴らしい。各楽器だけでなく、オーケストラ全体に重さがなく親しみやすいサウンドの中にスッキリとした透明度の高い音色と和音に合わせた美しい響きを持ってして演奏されている。個人的に今回の演奏は聴いているだけで勇気を分け与えてくれるようなそんな素晴らしいライヴ演奏になっているように思えた。他にも往年の時代におけるブルックナー指揮者たちが残した名演や名盤に引けを取らない素晴らしい第3番になっているので一度は聴いてみる価値がある。


 イム・ホンジョンは韓国においてブルックナー、マーラーブームを巻き起こした指揮者ということで今回の交響曲全集を購入してみたが、実際これまで聴いてきた全集にはない解釈、アプローチなど今のところ第1番から第3番をみてきたが想像していた以上に面白かった。久しぶりに聴いているからなおのことかもしれない。明日は第4番から第6番までの3曲をみていく。ついにお待ちかねの第5番(シャルク改訂版)を久しぶりに聴くのが今から楽しみで仕方ない。


https://tower.jp/item/4574979/Bruckner:-9-Symphonies