クナは1951,52年、54〜64年までの間に13回「パルジファル」を演奏している。今日においてその演奏を聴くことができるのは12回分のみだが、以前当ブログでも取り上げた戦後初のバイロイト音楽祭となった1951年盤は今でもなお多くの人々に愛される名盤として扱われている。今回の1962年盤は唯一のステレオ録音とされており、ライヴの臨場感をたっぷりと約4時間堪能することができるようになっている。
配役は以下の通り。
アンフォルタス:ジョージ・ロンドン(バス)
ティトゥレル:マルッティ・タルヴェラ(バス)
グルネマンツ:ハンス・ホッター(バス)
パルジファル:ジェス・トーマス(テノール)
クリングゾール:グスタフ・ナイトリンガー(バス)
クンドリ:アイリーン・ダリス(ソプラノ)
聖杯騎士Ⅰ:ニールス・メラー(テノール)
聖杯騎士Ⅱ:ゲルト・ニーンシュテット(バス)
小姓Ⅰ:ソナ・ツェルヴェナ(ソプラノ)
小姓Ⅱ:ウルズラ・ベーゼ(アルト)
小姓Ⅲ:ゲルハルト・シュトルツェ(テノール)
小姓Ⅳ:ゲオルク・パスクダ(テノール)
花の乙女Ⅰ:グンドゥラ・ヤノヴィッツ(ソプラノ)
花の乙女Ⅱ:アニア・シリア(ソプラノ)
花の乙女Ⅲ:エルセ=マルグレーテ・ガルデッリ(メゾ・ソプラノ)
花の乙女Ⅳ:ドロテア・ジーベルト(アルト)
花の乙女Ⅴ:リタ・バルトス(アルト)
花の乙女Ⅵ:ソナ・ツェルヴェナ(アルト)
アルト・ソロ:ウルズラ・ベーゼ(アルト)
バイロイト祝祭劇場合唱団(合唱指揮:ヴィルヘルム・ピッツ)
ステレオ音源かつオリジナル・マスターからのリマスタリングが施された盤ということもあって音の広がりや歌手陣の伸びやかな歌声、オーケストラの豪快なサウンドなどダイナミック・レンジの幅広さがより一層増した素晴らしい「パルジファル」を聴くことができるようになっている。「Venias」から発売された「パルジファル」がどのような仕様となっているかはわからないが、少なくともこのタワーレコード盤は間違いなく歴史的録音、名盤である。重厚的で重めの土台がしっかりとした弦楽器群はもちろんのこと、ライヴの臨場感をそのまま味わうことができる。ライヴ録音のためノイズも確かにある。
クナとバイロイト祝祭管による1951年盤の「パルジファル」を取り上げたのはいつのことかあまり覚えていないが、2種類とも想像以上の素晴らしい仕上がりだった。後日「Venias」から発売された「パルジファル」を購入し聴きたいと思うが、その他の年の演奏はどのような凄みがあるのだろうか?すでに市場に出回らない代物となっているため手に入れるのは大分難しいと思うが、それまで1951年盤や1962年盤を聴きつつゆっくりと待ちたいところだ。
https://tower.jp/item/3853336/ワーグナー:-舞台神聖祝典劇「パルジファル」-(1962年録音)<タワーレコード限定>