アーノンクールとグルダはそれぞれモーツァルトを極めたと言ってもいいくらいだ。そんな今回のピアノ協奏曲は両者が共演した際の素晴らしい演奏となっており、グルダ自身今回収録されている第23番と第26番「戴冠式」の録音はお気に入りのものとしてあげている。ジャズ、クラシックを演奏し新しいピアノの形を作り上げたグルダとピリオドアプローチによる当時まだ浸透しきっていなかった古楽奏法を取り入れていたアーノンクール、そして美しい音色と豊かな響きをあわせ持つコンセルトヘボウ管というまさに夢の共演と言っても差し支えない布陣でモーツァルトのピアノ協奏曲を楽しめる。
モーツァルト:ピアノ協奏曲第26番「戴冠式」、1983年9月21〜23日録音
・・・アーノンクールとグルダに「戴冠式」を聴くことができる今回の録音、グルダが気に入った録音というだけあってピアノやオーケストラ全体の完成度だけではなく、色鮮やかで明るいサウンドはまさにこの曲にぴったりのものといえるだろう。SACDハイブリッド仕様となっていることによるダイナミック・レンジの幅広さや細部まで聴き込むことができるマスタリングも功を奏しており、後味はスッキリとしていて聴きやすい印象を受ける。グルダによるピアノも生き生きと軽快かつ重さがない柔軟性のある演奏となっているため、より自由度の高い緩急ある演奏が行われている。コンセルトヘボウ管の木管楽器の音色もピアノをうまく支える形がとられているので決して個が強すぎるということもない。
ピアノ協奏曲第23番、1983年9月21〜23日録音
・・・全楽章通して緩急の差が激しく変化する躍動的かつ美しさと豊かな響きを同時に味わうことができる素晴らしい第23番である。シンプルな構成となっているため、古典派のピアノ協奏曲としても優れた名曲ということに加えてグルダ、アーノンクール、コンセルトヘボウ管が息ぴったりの演奏を繰り広げている。第26番「戴冠式」でも聴こえたが、アーノンクールのハミング?はこの第23番でも聴くことができる。グルダにとってもアーノンクールにとっても理想的な録音となったことに違いない。コンセルトヘボウ管の音色もグルダのピアノも全てが生き生きとした快活な明るいサウンド、タッチとなっているので楽しめる幅が非常に増えている。
アーノンクール、グルダそれぞれのモーツァルト作品の録音は久しぶりに聴いた気がするが、エソテリックSACDハイブリッド盤ということもあるのだろう、ダイナミック・レンジの幅広さも素晴らしい。廃盤かつ市場に中々出回らない代物なだけあって購入した際の金額は確か10000円暗いだったきがするが、金額のことを忘れてたっぷり演奏を楽しむことができた。後日それぞれのモーツァルト作品の録音も聴いてみたいと思う。
http://www.ac2.jp/tp/au_esosacd24.html
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