東京ユヴェントス・フィルは2008年に慶應義塾ユースオーケストラとして高校生、大学生を中心に結成されたオーケストラである。その後2014年に名前を現在の東京ユヴェントス・フィルハーモニーに変更し今日までに多くの演奏を行なっている。数多くの作品を世界初演や日本初演として演奏会で演奏している点も含めて注目度の高いオーケストラとされる。
東京ユヴェントス・フィルによるマーラーは今回の第3番、第4番、第8番が現在までに発売されている。このうち第4番に関しては室内楽編曲版版ではあるが、貴重なライヴ録音を楽しむことができる。「Altus」ではマーラーの交響曲の他にブルックナーやベートーヴェンなどのCDが発売されている。
マーラー:交響曲第3番、2017年1月8日ライヴ録音(ブラームス、ヴォルフも同日)
・・・東京ユヴェントス・フィルによるマーラーは今回が初めて聴く形となる。するとどうだろう、これまで聴いてきた有名な名盤に近い深み、芯のある音色をしている。特によく目立つ立ち位置にある金管楽器や重厚的で壮大なスケールを奏でる弦楽器には第1楽章を聴き始めた瞬間に心の底から驚かされた。強いて言えば持続性が薄く、スタミナ不足な面もあるので、そこがなくなれば非の打ち所がない演奏となるかもしれない。これはアマチュアオーケストラの中でもトップクラスの技術を持っていると言えるだろう。大学時代に私もアマチュアオーケストラに所属し、マーラーの交響曲は第1番と第4番を演奏しているが全体の完成度はここまでに達することはなかった。第1楽章冒頭の力強いホルンやキャッチーな木管楽器、第6楽章では弦楽器を中心にため息が出てしまうような美しさとスケールに満ちている。そして何より打楽器の音が良い。特に重要な位置にあるバスドラムの深みある打撃は個人的にベストなものと思えた。
ブラームス:アヴェ・マリア、ヴォルフ:妖精の歌
・・・マーラーの交響曲第3番のカップリングにぴたりと当てはまる2曲が選曲されている。それぞれの曲にソプラノ歌手や女声合唱が加えられているが、オーケストラとの相性も非常に良いのか重厚的な弦楽器群に対して透明度の高い美しい歌声を聴くことができる。ライヴ録音ということもあってダイナミック・レンジの幅広さが明確にあり、この後に交響曲第4番を聴きたくなるような心の底から感動することができる美しさを味わえるだろう。
東京ユヴェントス・フィルのマーラー3種類はすでに購入しており今日までに聴いていなかったわけだが、今回こうして第3番を聴いて想像以上の素晴らしさに言葉を失っている。元々はバーンスタインとNYP(ニューヨーク・フィルハーモニック)による2回目の録音を聴こうと思っていたが、坂入さんと東京ユヴェントス・フィルのマーラーを聴いていてよかったと思えた。このまま流れで第8番、第4番と聴いていきたい。そして、あわよくば今後も他の番号付き交響曲の録音をCD化してくださることを願いたい。
https://tower.jp/item/4523479/Mahler:-Symphony-No-3;-Brahms:-Ave-Maria;-Wolf:-Elfenlied
![](https://ssl-stat.amebame.com/pub/content/9477400408/amebapick/item/picktag_autoAd_301.png)