2021年5月21,22日録音。原田さんとN響によるCD第二弾となった今回はピアソラ、ファリャ、グアルニエリ、ヒナステラの4人による代表的な作品が収録されている。N響が上記4人の曲を演奏しているというのも非常に貴重で面白いと感じるが、何より東京芸術劇場の臨場感を残しながら高音質盤であるUHQCD盤でオーケストラを細部まで細かく聴き込むことができるようになっているのは非常に嬉しい仕様と言えるだろう。
ピアソラ:バンドネオン協奏曲「アコンカグア」
・・・昨年2021年はピアソラの生誕100年という年でもありクラシック音楽館でも特集が組まれ、再放送されるくらいに話題となった。今回収録されているバンドネオン協奏曲「アコンカグア」はバンドネオンとオーケストラによる唯一無二と言ってもいいくらいの協奏曲で、従来のクラシック音楽から枠を飛び越えてタンゴ、ジャズにより近いものとなっている。私自身この曲を聴くのは過去に当ブログでも取り上げた小松亮太さんによるバンドネオンでの演奏による録音以来の2回目となる。今回バンドネオンは三浦一馬さんが演奏している。三浦さんによるバンドネオンと原田さん率いるN響による熱量多めながら繊細さも含まれるこの名演は若々しさ溢れるエネルギッシュな演奏と言えるだろう。各楽章ごとに緩急も備わっており、バンドネオンとオーケストラの音色や響きも融合して一つの形にまとまりをみせている。音質に関してもUHQCD仕様の高音質盤ということもあってダイナミック・レンジの幅広さも申し分なく、各楽器の音をよりリアルに細部まで聴き込むことができるようになっている。
ヒナステラ:協奏的変奏曲
・・・ヒナステラはピアソラと同じアルゼンチンの作曲家であり、コープランドに学んでいる。今回の協奏的変奏曲はヒナステラの代表作の一つで、各楽器の美しい音色をより細かく聴き込むことができるようになっている。これもUHQCD仕様となっていることによってダイナミック・レンジが幅広くなっていることが強く影響している。ダイナミクスやアーティキレーションはもちろんのこと、アンサンブルなど聴きごたえがあるのに加えて緩急も明確なものとなっているので聴いていて非常に良い演奏と言えるだろう。
グアルニエリ:弦楽器と打楽器のための協奏曲
・・・グアルニエリはブラジルの作曲家である。今回の協奏曲は全楽章通して短い作品ながら緩急が細かく設定されており、抜群の聴きごたえを誇る。音質が良いことによる弦楽器群の統一感と柔軟性のある生々しさと打楽器のメリハリかつリズミックな打撃が非常に良くとれている。現代的ではないが、近年でいえば打楽器がメインとなる場面もあるのでマーチングに近い要素も含まれていて大ボリュームで聴きたくなるような面白さと聴いていて興奮がある演奏となっている。
ファリャ:バレエ組曲「三角帽子」第1組曲
・・・ファリャの代表作である「三角帽子」、私自身普段からバレエ音楽での全曲版を聴くことが多いのだが、今回はバレエ組曲の第1組曲が収録されている。短いながら躍動感のある弦楽器や木管楽器などオーケストラ全体の生々しさが演奏から十二分に伝わってくる。これもUHQCD仕様の高音質盤となっていることが大きく影響を与えていると思うのだが、個人的にはバレエ音楽全曲版を聴きたかったと思っていたりいなかったりする部分がある。
当盤が発売されたのは昨年の12月だったが、それから半年経ってようやく演奏を聴いてみると想像していた以上に素晴らしい演奏だったので、正直なところもう少し早くから聴いておけば良かったと若干後悔している。「コロンビア」からは今後もこのコンビによるCDがまた発売されるようなのでまたその情報がわかり次第CDを積極的に購入したいと思う。
https://tower.jp/item/5267332/Aconcagua---Piazzolla,-Falla,-Ginastera,-Guarnieri
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