アルゲリッチがベートーヴェンのピアノ協奏曲を録音しているのは第1番〜第4番までで、第5番は録音されていない。今回のアバド&マーラー・チェンバー・オーケストラとの第3番、第2番は「ドイツ・グラモフォン」に残された録音である。以前から発売されておりフォーマットも複数存在しているのだが、今回はその中でも高音質盤であるUHQCD盤の高音質フォーマットで演奏を楽しむことができるようになっている。
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第3番、2004年2月録音
・・・ベートーヴェンが作曲したピアノ協奏曲の中でも第5番「皇帝」に続いて有名なこの曲。アルゲリッチが録音でははじめて取り上げる形となった第3番なわけだが、各楽章ごとに緩急のある豪快かつ強靭なアルゲリッチのピアノとアバド率いるマーラー・チェンバー・オーケストラの豊かな音色で強すぎないのだが、引き締まったややコンパクトな音色がよりこの第3番をすっきりとわかりやすいアプローチで演奏している。その点UHQCD盤であることが今回の録音に対してプラスになっているということだろう。
ピアノ協奏曲第2番、2000年3月録音
・・・アルゲリッチはシノーポリ&フィルハーモニア管弦楽団、小澤征爾&水戸室内楽団とも第2番の録音を残している。アルゲリッチが特に初期ピアノ協奏曲でもこだわり続けていた曲ということもあって、迷いのないピアノのタッチと全体像が演奏から感じ取ることができるようになっている。ダイナミックではっきりとより明確なタッチとマーラー・チェンバー・オーケストラの統一感ある引き締まった演奏は他の室内楽編成やピリオド楽器での録音では聴くことが出来ないのではないだろうか?また、余談ではあるが第3番よりも少々ノイズが目立つようになっているが、素晴らしいアルゲリッチらの演奏の前にはそれほど気にならないということは述べておきたい。
アルゲリッチのピアノは今でもなお失われることないその素晴らしい演奏を聴くことができるようになっている。今後はピアノ協奏曲はもちろんのこと、ピアノ曲録音を少しずつ聴いていければと考えることができるようになった。ひとまず昨年に当盤と同時発売したUHQCD盤でまだ購入していないものがあるので在庫があれば購入し、試聴したいと思う。
https://tower.jp/item/5158540/ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第2番・第3番<生産限定盤>