「真夏の夜の夢」といえばメンデルスゾーンの代表作の一つである。それ故に多くの指揮者やオーケストラがこぞって取り上げているわけだが、今回クレンペラーとフィルハーモニア管が録音した「真夏の夜の夢」は名盤の一つとして知られている。1960年に録音されているため、後の重く遅めのテンポで演奏されていないというのも注目すべき点かもしれない。
メンデルスゾーン:劇附随音楽「真夏の夜の夢」抜粋、1960年1月,2月録音
・・・まずは今回抜粋されている曲目をみていきたい。
1.序曲 作品21-1
2.スケルツォ 作品61-1
3.妖精たちの行進 作品61-1a
4.妖精たちの歌 作品61-3
5.間奏曲 作品61-5
6.夜想曲 作品61-7
7.行進曲 作品61-9
8.葬送行進曲 作品61-10a
9.無骨者の舞踏 作品61-11
10.終曲 作品61-13
が今回抜粋された曲である。各曲に合わせた緩急のある演奏は非常に優雅なもので、フィルハーモニア管の音色がキラキラ光っていて聴きやすい演奏となっている。発売当時の最新リマスターによるダイナミック・レンジの幅広さが功を奏しており、フィルハーモニア管だけでなく合唱や歌手の歌声もみずみずしく美しさがよくわかる。今回の演奏では特に木管楽器と弦楽器が生き生きとしたサウンドで演奏を行なっているので、一曲一曲の聴きごたえは抜群なものとなっていることは間違いない。また、有名な「結婚行進曲」のトランペットも芯のある力強い音色となっており、聴いているだけで勇気をもらえるような素晴らしさを秘めていると言えるだろう。
クレンペラーとフィルハーモニア管弦楽団によるメンデルスゾーンは他にも交響曲録音がいくつか残されているが、「真夏の夜の夢」はそれと肩を並べる決定盤に匹敵すると言ってもいい名盤の一つである。「真夏の夜の夢」に関しては一部の曲を抜粋して演奏されることが多い作品の一つだが、SACDハイブリッド仕様の高音質フォーマットで往年の時代における素晴らしい演奏を楽しむことができるのは非常に嬉しいことだ。あわよくば他の録音と同じようにタワーレコード企画の「Definition SACD Series」などで復刻してくれたならこれほどまでに嬉しいことはないだろう。
https://tower.jp/item/3002853/メンデルスゾーン:劇付随音楽≪真夏の夜の夢≫
![](https://ssl-stat.amebame.com/pub/content/9477400408/amebapick/item/picktag_autoAd_301.png)