弦楽四重奏曲は普段からあまり聴かないので、今回がきっかけで今後どんどん聴いていきたいという意味も込めてイタリア弦楽四重奏団による決定盤たるシューベルトの弦楽四重奏曲2曲を聴いていく。レパートリーは幅広く、ベートーヴェンやモーツァルト、ハイドン、シューベルト、ドビュッシー、ウェーベルンなどの録音を残している。
シューベルト:弦楽四重奏曲第14番「死と乙女」、1979年10月21〜24日録音
・・・マーラー編曲版の弦楽合奏版も存在しているシューベルトの代表的なこの曲。この曲における決定盤たる名盤の一つとして知られている今回のイタリア弦楽四重奏による演奏は各楽器の音色やアーティキレーションやダイナミクスなどがより明確なものとなっている。SACDハイブリッド仕様によるダイナミック・レンジの幅広さの向上によって、この曲の世界観をより幅広く楽しめるようになっていると言えるだろう。
シューベルト:弦楽四重奏曲第13番「ロザムンデ」、1976年11月16〜27日録音
・・・「ロザムンデ」は第2楽章変奏曲の主題が自身の作品である劇附随音楽「ロザムンデ」からとられているため「ロザムンデ」という名前が付けられている。全体的にやや遅めのテンポながら非常に安定感のある演奏となっており、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロの音がバランス良く奏でられている。そのため美しい世界観を演奏から通して聴くことができるようになっている。エソテリック盤ということもあって、室内楽とは思えないくらいのダイナミック・レンジの幅広さとなっているため、演奏全体が盛り上がりをみせるとダイナミクスの頂点が室内楽の域を超えているような衝撃を受けることができる。これには非常に良い意味で痺れた。
シューベルトの弦楽四重奏曲自体久しぶりに聴いたが、2曲とも非常に楽しめる演奏だったことは間違いない。今回をきっかけとして全集を聴いてみてもいいかもしれないというふうに聴いていて思った。今後はシューベルトだけではなく、ベートーヴェンやハイドンらの弦楽四重奏曲も少しずつ聴いていければと思える素晴らしいエソテリック盤だった。
http://www.ac2.jp/tp/au_esosacd88.html