第1149回「ジョージ・セル生誕125年、SACDで聴くシューマン交響曲全集」 | クラシック名盤ヒストリア@毎日投稿中!!

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 みなさんこんにちは😃本日6月7日はジョージ・セルの誕生日です。今年で生誕125年となります。そんな本日は明日6月8日が誕生日であるロベルト・シューマンの交響曲全集をみていきます。こちらは「マンフレッド」序曲とメンデルスゾーンの交響曲第4番「イタリア」、「フィンガルの洞窟」、「真夏の夜の夢」が収録されたSACDハイブリッド仕様の高音質盤となっています。タワーレコードとソニー・クラシカルのコラボによる「究極のSA-CDハイブリッドコレクション第7回」から取り上げています。


「ジョージ・セル指揮/クリーヴランド管弦楽団」

シューマン作曲:
交響曲第1番 変ロ長調作品38「春」

交響曲第2番 ハ長調作品61

交響曲第3番 変ホ長調作品97「ライン」

交響曲第4番 ニ短調作品120

「マンフレッド」序曲 作品115


メンデルスゾーン作曲:
交響曲第4番 イ長調作品60「イタリア」

「フィンガルの洞窟」序曲 作品60

劇附随音楽「真夏の夜の夢」作品61より



 1958年から1960年にかけて録音された。同時期でいえばクーベリックとベルリン・フィルやコンヴィチュニーとゲヴァントハウス管によるシューマン交響曲全集が有名だが、セルのシューマンはそれらと肩を並べた名盤である。それがメンデルスゾーンの交響曲、管弦楽曲とセットでSACDハイブリッド盤となって発売される。これは聴かないわけにはいかないだろう。


 シューマン:交響曲第1番「春」、1958年10月24,25日録音

・・・トランペットのファンファーレで始まるシューマン作品の中でも代表的なこの曲。今回演奏を聴いていただくとSACDハイブリッド仕様になったことによるリマスタリングの効果でダイナミック・レンジの幅広さが増しているということもあるのだろうが、より長大で重厚的かつ分厚い演奏となっている。特に弦楽器の厚みは中々だ。それも無理はないだろう、セルの指揮では一部分でマーラー版のオーケストレーションを採用している箇所も存在しているそれとしても、クリーヴランド管の広大で芯のある分厚い音には聴いていて驚かされること間違いなしだ。弦楽器群によるしっかりとした土台の上に金管楽器や木管楽器が安定感のあるサウンドを奏でていることもあってよりテンポの緩急やダイナミクスが明確なものとなっている。全集の一曲目から聴きごたえのある始まりと言えるだろう。


 シューマン:交響曲第2番、1958年10月21,24日録音

・・・ここでも重厚的で分厚い弦楽器による土台が仕上がっており、「緩→急」や「急→緩」といったような各楽章間の切り替わりはより一層効果的に描かれている。ダイナミック・レンジの幅広さが功を奏しており、美しくも壮大なスケールはこの交響曲をより長大で堂々とした姿にしていると言えるだろう。第4楽章終結部の追い込みなど中々に素晴らしい場面は多々ある。クリーヴランド管の演奏の中でも生き生きとしていてなおかつ豪快な演奏の部類として記憶しておきたい。そして何より金管楽器、特にトランペットの音色が特徴的で聴いていてこの曲を演奏したくなるような爽快感と存在感をあわせ持っていると言えるだろう。


 シューマン:交響曲第3番「ライン」、1960年10月21日録音

・・・第1番「春」と並んでシューマンの交響曲の中でも人気のある第3番「ライン」。この曲も含めてシューマンの交響曲はマーラー編曲版が存在している。第1番の際にも述べているが、セルはマーラー版のオーケストレーションを採用している部分が多く見られるため、普段とは違う壮大で重厚的な分厚いシューマンを聴くことができるようになっている。これはダイナミック・レンジの幅広さによってより一層クリーヴランド管の奥深いサウンドを楽しむことができる。響きとしても明るめの曲ではあるが楽章によってはやや暗い面も見せている。しかし、第5楽章では再び明るく軽快なリズムかつ音色になっていることもあって親しみやすいと言えるだろう。弦楽器と木管楽器、金管楽器それぞれが非常に良い音で演奏をしているのも素晴らしい点で、ブレのない第3番を期待して聴くことができるようになっている。


 シューマン:交響曲第4番、1960年3月12日録音

・・・近年では初稿が演奏されるケースも増えているが、今回セルとクリーヴランド管が演奏しているのは初稿ではなく改訂版である。ただマーラー版など独自のオーケストレーションなどを採用している部分もいくつかあるため、どちらにしても普段聴き慣れた第4番とはまた違うスタイルになっている。「急→緩」や「緩→急」の切り替えが非常にうまく作り込まれており、それぞれの場面で各楽器が美しく幅広く歌い上げている。弦楽器も変わらず素晴らしいのだが、活気ある金管楽器のサウンドや木管楽器の安らぎある豊かな音色には心打たれるものがあると言えるだろう。


 シューマン:「マンフレッド」序曲、1959年1月21日録音

・・・元々は合唱、独唱とオーケストラのために作られた劇音楽なのだが、今日においては序曲のみが頻繁に演奏、録音されている。劇音楽全曲版を録音しているものに関してもほとんど見ないので大分マニアックな曲と言えるだろう。シューマンの管弦楽曲の中でも特に人気の高い曲となっているこの曲、今回の演奏はダイナミック・レンジの向上によるスケールや音質改善などが功を奏しており、弦楽器や金管楽器、木管楽器全ての音を聴き込むことができるようになっている。とても1959年録音の演奏とは思えない代物だ。金管楽器の咆哮には思わず痺れてしまうかのようなカッコよさがあると私は感じた。


 メンデルスゾーン:交響曲第4番「イタリア」、1962年10月26日録音

・・・メンデルスゾーンの交響曲の中でも第3番「スコットランド」に並んで有名な名曲の一つである。親しみやすく活気のある明るいサウンドは非常に聴きやすく、演奏時間も短いためちょっとした時にも聴くことができる。テンポの緩急に関しても明確となっているくらいにわかりやすいアプローチで作り込まれているのはもちろんのこと、各楽章に適したアーティキレーションやダイナミクスなどに変化することができるのは非常に良い。特に第4楽章に入った瞬間の緊迫感と波のように押し寄せる流れに関してはダイナミック・レンジの幅広さも増しているため、より一層強い衝撃を受けたことは間違いないだろう。


 メンデルスゾーン:「フィンガルの洞窟」、1962年10月26日録音

・・・メンデルスゾーンの管弦楽曲の中でも「真夏の夜の夢」の次に演奏されるこの曲。幻想的でもありつつ、美しい世界観が広がっている。今回の演奏では特に弦楽器と木管楽器の音色が非常に美しく、各楽器が最高の音楽を奏でながら演奏を行なっている。私自身この曲はそれほど数を重ねるほど聴き込めてはいないかもしれないが、今回の演奏が透き通るような安定感のある弦楽器によるしっかりとした土台の上に各楽器が生き生きと演奏している様子を最初から最後まで聴くことができたと言えるだろう。リマスリングによるダイナミック・レンジの幅広さも非常に良いので、ぜひ一度はご試聴していただければと思う。


 メンデルスゾーン:劇附随音楽「真夏の夜の夢」より、1967年1月13日録音

・・・メンデルスゾーンといえばこの曲と言っても良いくらいに有名なこの曲。今回は全曲版ではなく、一部の曲を抜粋して構成している。


序曲 作品21

第1曲:スケルツォ

第7曲:夜想曲

第5曲:間奏曲

第9曲:結婚行進曲


 が今回収録されている曲だ。各曲非常に劇的で美しい音色を奏でている演奏ばかりとなっている。中でも「結婚行進曲」に関しては多くの人々が必ず一度は聴いたことがあるのではないだろうか?各楽器を細部まで聴き込むことができるのはもちろんのこと、豪快かつしなやかな美しい音色で演奏されているのはそれぞれの場面にぴたりと当てはまるキャラクターをうまく掴んでいるので全曲版ではなくとも聴きやすいのは間違いないだろう。


 シューマンとメンデルスゾーンという親交が深かった両者の作品をこうして聴くというのは非常に面白いし、聴いていて刺激になることは間違いないだろう。セルとクリーヴランド管によるコンビのシューマンとメンデルスゾーンは今回ようやく聴くことができたが、まだブラームスを聴くことができていない。これは後日ゆっくり聴くとして、本日と明日それぞれを存分に楽しみたいと思う。


https://tower.jp/item/4886235/シューマン:交響曲全集-メンデルスゾーン:交響曲第4番&真夏の夜の夢<完全生産限定盤>