同じ「DECCA」でいえばボールトが残したエルガーの交響曲第1番、第2番は好んで聴かれることが多い録音だが、ショルティも例外ではない。現在では少々手に入れづらくなった点はあるものの、その豪快ながら美しい演奏には多くの人々が魅了された。今では復刻もそれほどされてこなかった貴重な録音として知られている。今回、ショルティがロンドン・フィルと共に録音した「ロンドン管弦楽録音全集」から取り上げる形となった。
エルガー:交響曲第1番、1972年2月録音
・・・全体的に引き締まったやや固めなサウンドとなっている今回の演奏。ヴァイオリンを筆頭として鋭く研ぎ澄まされた音色となっているが、同じように金管楽器のサウンドも攻撃的な印象を受ける。それとしても各楽章におけるテンポの緩急などは非常に素晴らしく、気品を強く感じることができる場面も多く存在している。この演奏は素晴らしい名演だ。通常CD盤のためダイナミック・レンジの幅広さは少々物足りないのだが、仮にこれが最新マスタリングが施されて復刻されたとしたらそれなりの素晴らしい仕上がりになるのではないか?という想像をすることができるようになっている。豪快ながらスケールやしなやかさを備えたロンドン・フィルのエルガーを存分に楽しめるようになっている。
エルガー:交響曲第2番、1975年2月録音
・・・エルガー自身の指揮によって初演された第2番。各楽章で聴くことができるエネルギッシュなメロディーやスケールなどどれも聴きごたえのあるものばかり。ショルティはシカゴ交響楽団との相性も非常に良かったが、ロンドン・フィルとの相性も非常に良いということをこの録音でも体感させてくれる。一部分音割れが入ってしまっているが、ダイナミック・レンジの幅広さも多少あるため、「緩→急」や「急→緩」の変化をより聴き手に対してダイナミックに伝えられるようになっている。これは非常に素晴らしい演奏だ。エルガーの交響曲自体それほど数を重ねて聴いていないが、この豪快な力強さは他の録音にはない魅力と言えるだろう。
これまでエルガー作品の主要な曲は聴いているが、まだほとんどの曲を聴くことができていない。今後としてはそういった曲も聴いていきたいと考えることができた録音だった。差し当たってはエルガー作品全集を探したいところだが、他の指揮者による交響曲も聴いてみたい。ひとまずプレヴィンとボールトによるものを後日探したいと思う。
https://tower.jp/item/780200/エルガー:交響曲第1・2番-他