第1143回「レーグナー&ベルリン放送響のマーラー3番、6番が最新マスタリングで復刻」 | クラシック名盤ヒストリア@毎日投稿中!!

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 みなさんこんにちは😃本日ご紹介していくのは2021年9月に発売されたハインツ・レーグナーとベルリン放送交響楽団によるマーラー交響曲第3番、第6番「悲劇的」をみていきます。当盤は以前より手に入れることができた盤ではありますが、今回オリジナル・アナログ・マスターテープから2021年最新マスタリングが施されて復刻されました。SACDハイブリッド仕様ではなく、通常CD盤となっていますが、その音質はSACDハイブリッドに匹敵するほどの高音質盤と言ってもいいでしょう。


「ハインツ・レーグナー指揮/ベルリン放送交響楽団」

マーラー作曲:
交響曲第3番 ニ短調

交響曲第6番 イ短調「悲劇的」



 レーグナーとベルリン放送響によるマーラー交響曲第3番と第6番に関しては私がマーラーの交響曲CDを収集し始めてすぐに購入して試聴を終えていた。今回それが2021年最新マスタリングで復刻されるということを知って驚いた。「どうしてこのタイミングで?」という疑問もあったが、最新マスタリングがどれほどのものか気になっていたので購入した。


 マーラー:交響曲第3番、1983年1月25〜31日&10月4日録音

・・・聴き始めて感じたのはたしかに音質が以前の通常CD盤よりも多少良くなっている。マーラーの交響曲にしては混沌とした重厚的で重さのある演奏ではないものの、比較的他の録音と比べても聴きやすい第3番であると思う。その点は2021年最新マスタリングが功を奏している。第3楽章でポストホルンを演奏しているルートヴィヒ・ギュトラーの個性的ながらキャッチーな牧歌的な音色はもちろんのこと、第4楽章と第5楽章で登場するアルトのヤトヴィカ・ラッぺの伸びやかで美しい歌声は聴いていて非常に心地よいものを感じる。何よりベルリン放送響全体の作りが非常に軽いものとなっている。これは良い意味でも悪い意味でもとらえられるかもしれないが、マーラーの交響曲の中でも演奏時間を長時間かけて演奏する曲のサウンドではないと私は聴いていて感じた。これまで何十種類も第3番は聴いているが、演奏時間が他の交響曲と比べて長いため他とは違う覚悟の上で聴くことが多いわけだが、レーグナーとベルリン放送響の第3番はそこまでかたくなって聴く必要もないと思えたのである。ややパワー不足な面もあるかもしれないが、自然そのものを聴いているという意味ではパワーなどいらないのではないか?と感じる。なにより最新マスタリングによってこの録音の良さを再認識することができたのは間違いない。


 マーラー:交響曲第6番「悲劇的」、1981年1月28日〜2月1日録音

・・・やや遅めで重心もやや低い「悲劇的」。第2楽章にはアンダンテ楽章が置かれ、第3楽章にはスケルツォ楽章が置かれている。一見普通に思えるが、別の回でも話しているようにこの曲に関しては演奏される楽章の順番が度々変わることが多い。録音も「第2楽章スケルツォ→第3楽章アンダンテ」という形のものが非常に多く、今回のような「第2楽章アンダンテ→第3楽章スケルツォ」は今日においては少しずつ増えているものの、録音はそれほど多くない現状である。そういう意味では2021年最新マスタリングも施されている点も加えて当盤はそれなりに貴重な録音となっている。演奏として、スケールやダイナミクスは幅広く取られている演奏となっているが第3番と同じようにパワー的な演奏ではない。第3番ではそれほど違和感はなかったが、この曲に関してはもう少しばかりエネルギーが欲しかったようにも思える。しかし、壮大な弦楽器群による安定感のある土台が構築されているため、金管楽器や木管楽器はどっしりとした重めの演奏をすることができるようになっているので、全体の形としてはうまく作られているという風に感じた。また、第4楽章で登場するハンマーはやや弱めの印象である。


 さて、今回レーグナーとベルリン放送響のマーラー2曲をみてきた。レーグナーによる上記2曲の録音を聴いたのは大分久しぶりではあったが、最新マスタリングの効果によって高音質盤となって蘇った素晴らしいマーラーを楽しむことができた。SACDハイブリッド仕様でもよかったようにも思えるが、通常CD盤でも十二分に楽しめるマーラーだったことは間違いない。オリジナル・アナログ・マスターテープからマスタリングしているだけのことはある。過去に発売されたものを持っている方はぜひ一度ご試聴していただければと思う。


https://tower.jp/item/5251754/マーラー:-交響曲第3番&第6番「悲劇的」