第839回「サヴァール生誕80年記念、大好評となった古楽器によるベートーヴェン交響曲集」 | クラシック名盤ヒストリア@毎日投稿中!!

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 みなさんこんにちは😃本日8月1日はジョルディ・サヴァールの誕生日です。今年で80歳となります。おめでとうございます🎉近年サヴァールの演奏は、古楽器を用いたオーケストラでヘンデル、バッハ、クープランやモーツァルトの作品を高音質盤であるSACDハイブリッド仕様で発売されています。そんな中昨年10月30日に「Alia Vox」からベートーヴェンの交響曲第1番〜第5番までを収録した交響曲集が発売されました。私自身発売された当初存在は知っていたものの早い段階で店頭から並ばなくなり、入荷待ちとなっていました。そしてようやく手に入れたのは5月くらい。今回満を辞してサヴァールのベートーヴェンをサヴァールの誕生日にみていきたいと思います。


「ジョルディ・サヴァール指揮/ル・コンセール・デ・ナシオン」

ベートーヴェン作曲:
交響曲第1番

交響曲第2番

交響曲第3番「英雄」

交響曲第4番

交響曲第5番



 サヴァールは元々ヴィオラ・ダ・ガンバを学び、1987年には声楽アンサンブルのラ・カペイラ・レイアル、1989にはル・コンセール・デ・ナシオンを設立した。先ほど述べたがヘンデルやバッハ、モーツァルト、クープランなどの作品を多く録音している。サヴァールによるベートーヴェンは1994年に録音した交響曲第3番「英雄」があるのみで、今回ベートーヴェンの交響曲5曲は2019年6月5,6日に第2番と第4番、10月5〜9日に第1番、第3番、第5番を録音している。

 ベートーヴェン交響曲第1番、引き締められたサウンドで快活に進んでいくコンパクトな交響曲第1番。演奏時間も他の演奏と比べて極めて短いためちょっとした時間に聴きやすい印象。また常にキレ味があるわけではなく、「急→緩」の使い分けも上手くされている。古楽器の演奏はストレートかつ直球なものが多いが今回の演奏特に木管楽器の音色は非常に心地良い演奏だった。

 交響曲第2番、キレ味に抑揚が加えられており常に強いわけではなくダイナミクス変化がよりわかりやすい形で組まれている。そういうこともあり全体的にあっさりと聴きやすい演奏となっている。普段進んで聴かない作品だからこそだろうか?今回の5曲の中でも特に印象深く残っていることは間違いない。

 交響曲第3番「英雄」、ここのところ標準テンポのものや、やや遅かったりする演奏を聴いていたためか推進力と躍動感溢れる「英雄」は久しぶりだった。演奏時間は43:58と他の交響曲並みに短い。これで第1楽章はリピートありだというのだから驚きである。美味しさを凝縮したかのような演奏で、演奏時間は短くともその内容は非常に濃いものとなっている。過去に古楽器で演奏された「英雄」はガーディナー、ブリュッヘン、ロトなどを聴いたが、資料を改めて確認し直した上でメンバー数も当時と同じ人数で揃えるなど工夫している点が多い。今回私は「英雄」から聴きはじめたがそれが正解だったと聴き終えた今は感じている。

 交響曲第4番、「英雄」の後に聴いてみるとシンプルで短く聴きやすいといった印象を覚えた。ティンパニのトレモロが特徴的なものとなっておりこれまでの演奏とはまた違う顔を見ることができる。キレ味も程良い強さで、ダイナミクス変化も細かく行なっている。テンポはやや早いといった形で快調に進んでいく様子を聴くことができる。

 交響曲第5番、そして待ちに待った交響曲第5番。第1楽章は推進力があり気づいた時には第2楽章が始まっていたくらいの感覚だった。勢いに身を任せているようにも感じるが、古楽器による演奏はいつ聴いてもインパクト満載である。引き締まったサウンドと快調に進んでいくテンポ、コンパクトでインパクトのあるサウンドなど見どころは多い。そして第4楽章に入った瞬間のファンファーレは圧巻だ。

 今回サヴァールによるベートーヴェンは初めて聴いたが、すぐ店頭から並ばなくなった理由がわかった気がする。SACDハイブリッド仕様のため音質も非常に良い。現在サヴァールによるベートーヴェンの交響曲は今回取り上げた5曲のみで、まだ発売されていない残り4曲は発売されるのかわからない。個人的には非常に聴いてみたいところがある。古楽器及びピリオド楽器も今では浸透しているし、それによって現代のオーケストラとの比較もできて面白い。ちょうど最近タワーレコードで復刻したホグウッドのベートーヴェン交響曲全集をまだ聴いていないので後日そちらも聴きたいと思う。また、サヴァールはモーツァルト後期三大交響曲も録音しているのでそちらも購入したいところ。そしてあわよくば古楽器によるマーラーを聴きたいが…これはまた先の話かもしれない。(ロトによって「巨人」は演奏されている。)