第836回「没後165年、サヴァリッシュ&SKDによる旧EMIに残されたシューマン交響曲全集」 | クラシック名盤ヒストリア@毎日投稿中!!

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 みなさんこんにちは😃本日7月29日はロベルト・シューマンの命日です。今年で没後165年となります。有名なピアノ協奏曲は以前誕生日の際に取り上げたので本日取り上げていくのはシューマンの交響曲全集です。シューマンの交響曲全集といえばカラヤンはもちろんコンヴィチュニーの全集が名盤としてよく登場する。今回はもう一つの名盤であるサヴァリッシュとシュターツカペレ・ドレスデンによる交響曲全集をみていきたいと思う。旧EMIに残された名盤である。4つの交響曲と「マンフレッド」序曲、序曲、スケルツォ&フィナーレが収録されている。今回は2012年に発売されたSACDハイブリッド盤だ。


「ヴォルフガング・サヴァリッシュ指揮/シュターツカペレ・ドレスデン」

シューマン交響曲全集

シューマン作曲:
交響曲第1番「春」

交響曲第2番

交響曲第3番「ライン」

交響曲第4番

序曲、スケルツォとフィナーレ

「マンフレッド」序曲



 ドイツ音楽を得意としたサヴァリッシュによるシューマンだ。ベートーヴェン、ブラームス、ブルックナーの名盤を残したサヴァリッシュだが、その中でも1972年に録音されたシューマンの交響曲全集は別格で今でもなお人気を博している決定盤として名が上がる名盤である。ドレスデンルカ協会でステレオ録音されている。

 シューマン交響曲第1番「春」、冒頭のトランペットが好きで大学時代この曲をやりたくて仕方がなかった。結果として演奏できなかったのだが、いつ聴いても惚れ惚れしてしまう。今回の演奏はルカ協会の残響に演奏が大きく影響されているのだが、それを忘れてしまうくらいに曲が生き生きとしている。ここまで躍動感あふれる「春」は聴いたことがない。「急→緩」、「緩→急」の使い分けも見事で躍動的だった部分が終わると濃密に歌い上げている。ダイナミック・レンジの幅も広く交響曲全集一曲から想像以上の演奏に驚きを隠せない。

 交響曲第4番、シューマンによる2番目の交響曲。休みなく演奏されるためスタミナ勝負のようにも感じられるが、先ほどの交響曲同様にダイナミックな演奏が楽しめる。弦楽器と木管楽器のキレ味の良さ、金管楽器と打楽器による一発一発の重さは他の演奏にはないものだ。ここでも「急→緩」の使い方は非常に良く、特に第2楽章ではそれがよく目立っている。豊かな木管楽器と弦楽器のサウンドにも注目したいところだ。

 交響曲第2番、メンデルスゾーンの指揮によって初演されたこの曲。底抜けの明るさと重厚感あふれるサウンドはシュターツカペレ・ドレスデンだからこそ成せるサウンドであり、後味はスッキリとしていて聴きやすい。ダイナミクス及びダイナミック・レンジの幅も広く常にハイテンションのようにも感じられるが、SACDハイブリッド盤ということもあり高音質でこの名盤を楽しむことができる。

 交響曲第3番「ライン」、シューマンの交響曲の中でも人気度の高い作品。サウンドに関しては他の交響曲と同様のもので生き生きとした躍動感の溢れるサウンドとなっている。また、瑞々しさを感じることもできるようになっており、歯切れの良さも加わっている印象。聴くだけでテンションが上がることは間違いない。個人的にはティンパニの古風寄りな音が非常に好みである。

 序曲、スケルツォ&フィナーレ、「マンフレッド」序曲、一曲目の序曲、スケルツォとフィナーレは全体的に歯切れ良く演奏されている。軽快かつリズミックで聴きやすく底無しに明るい印象。シュターツカペレ・ドレスデンの音色とルカ協会の響きが重なってこれまでにない演奏が誕生している。「マンフレッド」序曲はシューマンの管弦楽曲の中でも頻繁に演奏される曲。今回の演奏では躍動的かつ繊細に描かれている。

 これまで数は多くないもののシューマンの交響曲全集に関してはそれなりの数を聴いてきたつもりだったが、ここまで生き生きと溌剌としたシューマンを聴いたのは中々ない気がしている。もちろんコンヴィチュニーやカラヤン盤も素晴らしいがそれらとはまた別視点のシューマンの交響曲だったと今回の演奏を聴き感じている。またSACDハイブリッド盤ということもあるが音質が非常に良い。奥行きや残響など全てを味わうことができる。シューマンの交響曲録音の中でも派手な演奏の部類に入るだろう。SACDハイブリッド盤のため値段が少々するが納得のいく代物となっている。