第760回「クレンペラー&フィルハーモニア管によるシューベルトとフランクの交響曲」 | クラシック名盤ヒストリア@毎日投稿中!!

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 みなさんこんにちは😃本日5月14日は20世紀を代表する指揮者であり作曲家のオットー・クレンペラーの誕生日です。今年で生誕136年となります。マーラー、ブルックナー、ベートーヴェン、モーツァルトなど幅広いジャンルを旧EMIでフィルハーモニア管弦楽団、ニュー・フィルハーモニア管弦楽団と録音を残してきました。今回はその中からそれぞれのオーケストラと録音したシューベルトの交響曲3種類とフランクの交響曲を取り上げていきます。なお当盤は、1月29日にタワーレコード企画で復刻された「DEFINITION SACD SERIES」によるものです。


「オットー・クレンペラー指揮/フィルハーモニア管弦楽団」

シューベルト作曲:
交響曲第5番

交響曲第8番「未完成」

交響曲第9番「ザ・グレイト」


「オットー・クレンペラー指揮/ニュー・フィルハーモニア管弦楽団」

フランク作曲:
交響曲 ニ短調



 クレンペラーの演奏は晩年になるとテンポが大分落ちるものがほとんどかと思うが、今回の演奏に関しては全体的に1960〜1966年の間に録音されているのでまだそこまで遅くは感じない。むしろ曲によっては躍動感を感じるものが多かったりする。

 シューベルト交響曲第5番、今回世界初SACD化となったこの曲。収録されている4曲の中で最も躍動感溢れる演奏といっても過言ではない。サウンドに関しては古き良き時代の空間芸術となっており、聴いているとどこか懐かしさを覚える。各楽章ごとに演奏時間は短く聴きやすい。自然的な豊かなサウンドを楽しめること間違いなしの演奏だ。

 シューベルト交響曲第8番「未完成」、クレンペラーが9種類も録音を残した作品とされるシューベルトの「未完成」。演奏はやや重心が低めの遅めのテンポだが、その重厚感溢れる演奏に加えてキレ味が凄まじい。おまけに美しさも兼ね備えている。クレンペラーのコンディションが良かった時期らしくそのエネルギーがこの演奏に大きく反映されていることが聴いていただくとよくわかるはずだ。

 シューベルト交響曲第9番「ザ・グレイト」、シューベルトの交響曲の中でも「未完成」と肩を並べる後に誕生した多くの交響曲に影響を及ぼした名作だ。これまで多くの指揮者の演奏を聴いていたが、今回の演奏は壮大さではピカイチと言っても良い。当盤を購入する前まで後ほど述べるがフランクの交響曲がメインディッシュと考えていたが、実際演奏を聴いてみたところフランクの交響曲も素晴らしかったが、この「ザ・グレイト」も負けていなかった。クレンペラーが得意としたマーラーやブルックナーの交響曲に匹敵する長大な交響曲である「ザ・グレイト」は、重厚的かつバランス良く奏でられる。演奏に関しても覇気が感じられるため、存在感はより大きいものとなっている。最近の演奏では前回取り上げた太田弦さんの演奏がよかったが、往年の時代の録音でよかった演奏としてはクレンペラーの演奏が一番良かった。

 フランク交響曲 ニ短調、この曲をいつも聴くと佐村河内守(新垣隆)の交響曲第1番「HIROSHIMA」を思い出す。2曲共に構成は3楽章となっているし、曲の雰囲気にも似ている点が多い。そんなことは置いておいて、今回の演奏に関してはすでに「エソテリックSACDシリーズ」にてSACDハイブリッド仕様で発売されている。その際に同時収録されている曲はシューマンの交響曲第4番だった。すでに廃盤となっており中古でも8000〜10000円する値段でよく中古CDショップでも並べられているが、値段でみても音質の良さでみても今回の「DEFINITION SACD SERIES」の方が優っていると言える。ノイズに関してはまだ残るものの、重厚感とダイナミック・レンジの幅広さは当盤が圧倒的に優っている。もちろんエソテリック盤も素晴らしい点は残されているが、コスパ的に良いのも当盤であると考えられる。

 1月29日に発売された「DEFINITION SACD SERIES」はクレンペラーの名盤が復刻された。あと一種類ご紹介できていないので、そちらに関してはまた後日ご紹介したいと思っている。クレンペラーの名盤の多くは重厚的でテンポも重く、大きな存在感を感じる演奏が多い。その分聴き終えた際に疲労感もあるが、最初から最後まで楽しむことができる演奏となっているので個人的には好みだ。今後もどんどんクレンペラーの名盤をこのシリーズで復刻してほしいというのが個人的な願望である。ハイドンの交響曲集もぜひ聴いてみたい。