第603回「外山雄三と大阪交響楽団によるチャイコフスキー〜その3〜交響曲第6番《悲愴》」 | クラシック名盤ヒストリア@毎日投稿中!!

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 みなさんこんにちは😃本日も大阪交響楽団創立40周年記念として発売されたチャイコフスキー後期三大交響曲を取り上げていきます。同時に本日が最後の3種類目をご紹介する回です。本日は交響曲第6番「悲愴」とムソルグスキーの交響詩「はげ山の一夜」。これまで聴いてきた演奏とはまた違う2曲をみていきたいと思います。


「外山雄三指揮/大阪交響楽団」


チャイコフスキー作曲:
交響曲第6番「悲愴」


ムソルグスキー作曲:
交響詩「はげ山の一夜」



 今回のシリーズ、聴き込んでいくにつれどんどん魅了されていく。現段階で両コンビのCDはあまりないのだが、今後どんどん発売してほしいという願いというか一種の欲が生まれてしまっている。ひとまずは近々発売されるベートーヴェン交響曲全集が楽しみで仕方がない。

 まず交響曲第6番「悲愴」、近年でいえばクルレンツィス&ムジカエテルナによる演奏が大分流行った印象を植え付けられる。あれはあれで凶暴性に満ちていたが、クルレンツィスらしさが出ていたと思う。今回の外山氏が指揮する「悲愴」はどうだったのか?今回も前の番号と変わらず、テンポは遅いしかし、緩やかな場面は多いこの曲としてはマッチしていたとも言える。特に第1楽章冒頭から始まるファゴットやクラリネットの音色は本当に悲観的なものを感じさせる。また、「Allegro vivo」に入っても加速することはなく基本一定のテンポで演奏されている。その際に若干のバラつきが感じられるものの、この曲の雰囲気的にマッチしているので良い。金管楽器はやや咆哮気味になっているが、大阪交響楽団の特にトロンボーンとチューバが芯があって非常に好みだ。今回の演奏も前回の5番と同じように曲調に音色が上手く当てはまっており非常に良い。テンポに関しては速くないため若干退屈に感じてしまうかもしれないが、第1楽章冒頭や第4楽章でその本領を発揮していると言える。チャイコフスキー後期三大交響曲は特にチャイコフスキーの作品の中でも比較的よく聴く作品だが、本当に新しい解釈を知れて良かったと思う。

 続くムソルグスキーの交響詩「禿山の一夜」、リムスキー=コルサコフ編のもので、原典版ではない。とはいえテンポの遅さとオーケストラが放つ怪異的な雰囲気はこの曲で一番マッチしている演奏だと言えることは間違いないはずだ。「悲愴」のカップリングとして収録されているということもあり、曲の繋ぎに関しても上手い選曲といえるだろう。ここまで禍々しい演奏を過去に私は聴いたことがない。今回はリムスキー=コルサコフ編の演奏だったが、両コンビによる原典版の演奏もぜひ聴いてみたいところだ。

 外山雄三&大阪交響楽団によるチャイコフスキー後期三大交響曲集はこれまで聴いてきた同曲とは全く別の演奏であり、新発見が多い演奏だった。作曲家である外山氏ならではの解釈と重厚的ではないが重めのテンポで演奏されるチャイコフスキー、これは想像以上に面白かった。創立40周年記念の発売にして衝撃的ものを出してきたと思う。次はベートーヴェン交響曲全集が発売されるので、そちらも早い段階で手に入れてブログでも取り上げたい。また、2020年で大阪交響楽団が創立40周年記念だったが、2021年には外山氏が90歳を迎える。その時の記念発売はあるのだろうか?気になるところだ。