第602回「外山雄三と大阪交響楽団によるチャイコフスキー〜その2〜交響曲第5番」 | クラシック名盤ヒストリア@毎日投稿中!!

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 みなさんこんにちは😃昨日ご紹介した外山雄三氏と大阪交響楽団によるチャイコフスキー後期三大交響曲を本日も取り上げていきます。本日は中間にあたる交響曲第5番です。カップリングにはボロディンの歌劇「イーゴリ公」よりだったん人の踊りが収録されています。大阪交響楽団創立40周年記念の第一弾として発売されたチャイコフスキー後期三大交響曲、当演奏でしか味わえない凄みがあると言えるでしょう。


「外山雄三指揮/大阪交響楽団」


チャイコフスキー作曲:
交響曲第5番


ボロディン作曲:
歌劇「イーゴリ公」よりだったん人の踊り



 前回の交響曲第4番と「ロメジュリ」は非常に遅いテンポで演奏されていたが、今回の演奏でも同様となっている。ただ個人的に思ったのは曲の雰囲気としてもベストマッチなテンポで演奏されているような気がした。

 まず交響曲第5番、後期三大交響曲の中でも人気筆頭格とも言える名曲。ベートーヴェン譲りの「暗→明」という多くの人々にとっても親しみやすい構成となっている作品。そのため第1楽章及び第2楽章は元からテンポも遅く、暗めに演奏されている。第1楽章として基本テンポはやはり遅めで、少し加速したかと思えばまたテンポが落ちるという繰り返しなのだが、この遅さと禍々しい雰囲気は外山氏の指揮だからこそ出せる音のような気がする。大阪交響楽団の演奏に関しても4番よりも安定感があり、前回薄く感じた点やスタミナ不足と感じた点などがあまり感じられない。第1楽章が終わると有名なホルンソロのある第2楽章へ移り変わる。禍々しい雰囲気はまだ完全に消えたわけではないが、ホルンソロのわずかな希望を願うその姿に美しさを感じさせる。第3楽章に入ると禍々しい雰囲気は消える。ややテンポも前向きとなる。木管楽器と弦楽器のバランスの良さが伺える良い演奏だ。この後に続く第4楽章が一体どのような演奏になるのかというと、最初は基本他の演奏たちと変わらないような悠然としたテンポで、弦楽器が今まで押し付けられていたかのような重圧から解き放たれ、伸び伸びと演奏している。その後は「Allegro vivace」に入るとすぐに加速するがここではテンポを遅くする。その後の「Più mosso」で通常よりもやや遅めのテンポに加速する。今まで上記の箇所でテンポを変えた指揮者の演奏を聴いたことは正直あまりなかったため、非常に新鮮で面白さを感じた。その後もあまりテンポの変化はなく、最後まで演奏されていく。刺激的な場面が多々あった演奏だった。

 ボロディンの代表作である「だったん人の踊り」。躍動的な演奏が多い印象のこの曲だが、今回の演奏は非常にゆったりと始まる。曲の美しさはそのままに「Allegro vivo」に入るとおそらく当盤で一番テンポが上がったとも言えるくらいにテンポも上がる。終曲に向かう「Presto」もわりかし速いテンポで進む。交響曲第5番とはまた違う響きをこの曲で出しており、どこか編成も先ほどよりも減った気もしなくはないが、より曲を上手く引き立てる演出が詰まったと言えるだろう。演奏もどこか余裕すら感じられる。

 前回の4番と5番まで聴き終えたが、徐々に大阪交響楽団の虜になってきたことは言うまでもない。この後にご紹介する6番「悲愴」もそうだし、後日発売されるベートーヴェン交響曲全集が楽しみになった。今後もこのコンビによるCDは発売されるのだろうか?そればかり頭で考えてしまう。創立40周年を迎えた大阪交響楽団は今後どこへ向かっていくのか?今後の活躍が楽しみだ。