第604回「ヤノフスキ&スイス・ロマンド管による圧巻のブルックナー交響曲全集〜その1〜」 | クラシック名盤ヒストリア@毎日投稿中!!

クラシック名盤ヒストリア@毎日投稿中!!

こちらはクラシック音楽のCDの名盤をレビューするブログです!
年間500枚以上クラシック音楽のCDを購入します。
好きな作曲家はマーラー、ストラヴィンスキー、ブルックナー、三善晃、ショスタコーヴィチなど
吹奏楽を中心にトランペット演奏の他、作曲なども行います。



 みなさんこんにちは😃今年、マーラーの交響曲と同じくらいにハマったブルックナーの交響曲。これまで歴史に残る名盤を多くご紹介してきましたが、本日取り上げていくのは新時代の名盤といえるべき演奏です。その演奏とは?マルク・ヤノフスキ&スイス・ロマンド管弦楽団によるブルックナー交響曲全集です。1番〜9番とミサ曲第3番を収録した全集は話題を呼び、その人気から廃盤となりました。今回私は各番号ごとにCDを購入して全集を完成させました。(ミサ曲第3番だけまだ手に入っていません。)本日は9つある交響曲の中からまず交響曲第1番、2番、3番「ワーグナー」をご紹介していきます。


「マルク・ヤノフスキ指揮/スイス・ロマンド管弦楽団」


ブルックナー作曲:

交響曲第1番(1866年リンツ稿、ノヴァーク版)

交響曲第2番(1877年稿、ウィリアム・キャラガン版)

交響曲第3番(1889年、ノヴァーク版)


 スイス・ロマンド管といえば思い出すのはアンセルメとの名盤の数々のこと。「DECCA」レーベルから発売されたフランス音楽、ロシア音楽の演奏は半世紀経った今でも多くのファンに愛されている。そして、今回そんなスイス・ロマンド管を指揮しているのはヤノフスキ、今回のブルックナー交響曲全集を発売した同レーベルである「PentaTone」から過去にワーグナー・オペラ全集を出したことで話題になった指揮者で、つい最近ケルンWDR響とのベートーヴェン交響曲全集が発売された。こちらはまた後日ご紹介したいと思う。


・交響曲第1番(1866年リンツ稿、ノヴァーク版)


 まず交響曲第1番。賛否両論分かれるウィーン稿ではなく、定番のリンツ稿が演奏されている。2011年にヴィクトリア・ホールにて録音された演奏で、まず聴いた瞬間に録音の良さに驚かされる。また、ケルンWDR響とのベートーヴェンの交響曲第5番、6番のような重厚的なテンポを想像して聴いてみたが、正反対の生き生きとした推進力に溢れた演奏だった。9つあるブルックナーの交響曲の中ではマイナーな作品の一つとして数えられがちだが、後年の番号付き交響曲とは比較できない別のタイプの美しさをこの演奏で体感することができる。スイス・ロマンド管の演奏も素晴らしく、まとまりのある弦楽器が印象的だ。金管楽器も強すぎずまろやかな演奏でまさに神々しさを感じる。第4楽章の始まりはいつ聴いても鳥肌が立つくらいのインパクトがある演奏だ。



・交響曲第2番(1877年稿、ウィリアム・キャラガン版)


 続く交響曲第2番、こちらは2012年に同じヴィクトリア・ホールにて録音されたもの。1番と同じくらいに統一された弦楽器と主張しすぎない金管楽器など、ブルックナーにしてはあっさりとしていて聴きやすい演奏だ。思えばアンセルメ時代のスイス・ロマンド管による演奏も主張しすぎず、色彩溢れる素晴らしい演奏が多かった。こうして半世紀経った今でもその時の名残が体感できるのは素晴らしいことだと思う。この2番もマイナーな作品に分類されがちだが、今回の演奏でそういった捉え方がなくなるのではないか?と個人的に考えていたりする。個人的にこの曲で印象的な美しさを感じさせるのは第1楽章の冒頭の始まりで、7番第1楽章の始まりに匹敵する美しさが感じられる。

・交響曲第3番(1889年、ノヴァーク版)


 そして交響曲第3番「ワーグナー」。今回の3曲の中では一番認知度が高い名曲だ。演奏時間も後々の作品と比べても1時間超えていないため聴きやすい。今回の演奏に限らず、第1楽章、第2楽章は演奏時間もたっぷりとしているが、第3楽章以降は意外とあっさりしている印象を受けるが、この時点で人気度の高い交響曲と同じ地位に立つくらいに曲として完成していることは言うまでもない。1番と同じ2011年に録音された今回、これまでの2曲と同じ美しさはそのままに、音に広がりが出た。それに加えて壮大な演奏で、余裕すら感じられる。金管楽器の音色もこの曲、ブルックナーのサウンドに上手く当てはまっていて耳も疲れない。

 ひとまずヤノフスキのブルックナー交響曲全集第一弾として今回のブログを締めくくりたいと思う。残りの6曲も3曲ずつに分けてご紹介していく予定だ。最近でいえばティーレマンがウィーン・フィルとのブルックナー・チクルスである第一弾として交響曲第8番を発売したが、来るブルックナー生誕200年が待ち遠しいようにも感じる。とはいえ、今から4年後のことなのでまずはベートーヴェン生誕250年である今年の締めくくりをしていきたいと考えている。つまりは今回指揮をしたヤノフスキ&ケルンWDR響とのベートーヴェン交響曲全集を近いうちに聴きたいと思っている。