第528回「幻に近い名盤、バーンスタイン&ウィーンフィルマーラー交響曲第5番プロムス・ライヴ!」 | クラシック名盤ヒストリア@毎日投稿中!!

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 みなさんこんにちは😃今日までに私個人でマーラーの交響曲を累計で546種類収集、及び聴いてきました。有名なものもあれば手に入れづらいものもあり、今見返してみれば非常にマニアックな演奏が多いようにも思えます。本日はそんなマーラーの交響曲の中からつい先日ようやく手に入れることができた貴重なCDを1つご紹介したいと思います。その曲とは数ある交響曲の中でも知名度の高い交響曲第5番。レナード・バーンスタインとウィーン・フィルハーモニー管弦楽団による演奏です。バーンスタインによるマーラーは複数種類がありますが、本日の演奏は1987年9月10日に行われたライヴ録音。いわゆるプロムス盤です。ドイツ・グラモフォン盤も同じ年、月に録音されています。ボーイ・ソプラノを起用した交響曲第4番も収録されていますが、個人的な衝撃としては5番のプロムス盤が大きかったため本日は5番のみ取り上げます。

 

 

「レナード・バーンスタイン指揮/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団」

 

 

マーラー作曲:

交響曲第5番

 

1987年9月10日プロムス・ライヴ

 

 

 

 今回のレーベルは毎度お馴染みの「Memories」。録音環境は当たり外れ激しいものの、多くの指揮者によるライヴ録音がこれまで販売されてきた。同じマーラーからいくとストコフスキーの世界初録音となった交響曲第8番「一千人の交響曲」なども録音されている。

 

 これまで個人的な決定盤としてはバルビローリのエソテリック盤だったものの、今回のプロムス盤が今では決定盤となっている。なんといっても「Memories」から発売されているマーラーをいくつもこれまで聴いてきたが、音質に難があるものがほとんどだった。しかし、今回のプロムス盤はどうだろう。咳や足音などは確かに聴きとることができるが、全体的に音質は非常に良いものとなっている。

 

 第一楽章、冒頭のトランペットから始まり全体的にテンポは遅めだ。しかし、迫力とスケールの大きさには初めて聴いた時には衝撃を受けたものだ。なにより迷いがない。ホールの残響もあいなって悲しくも美しい始まりとなっている。第二楽章、第一楽章と含めて第一部として扱われているため、曲の構成としては第一楽章の延長線上となる。荒々しくなったと思ったら急に冷静になって演奏する姿はまさに人間そのもの。個人的には「緩」の場面のチェロの音色が今回はグッときた。再びテンションは徐々に高まっていき、キレ味の良い弦楽器と共に演奏される様子はこれまでのウィーンフィルでもなかなかみたことのない演奏のような気もする。第三楽章、曲としては第二部の扱いをうける。第一部(第一楽章、第二楽章)から打って変わり曲調もやや明るくなるが、マーラー直伝のスケルツォである。荒々しい場面もなくなり、軽快で伸びやかなストレスフリーにも聴こえる演奏をウィーンフィルは奏でている。バランスも良く、美しいがアクセントもはっきりと聴こえる。そして第三部に入り、まずは有名な第四楽章「アダージェット」。これまで何度も聴いてきたが今回の演奏は非常に美しい。ドイツ・グラモフォン盤も素晴らしかったがより臨場感を味わいながら楽しむことができるのはプロムス盤以外にはないだろう。そして第五楽章、締め括りにふさわしい演奏だ。音にハリがあり、オーケストラ全体の音が生き生きとしている。ベートーヴェン由来の「暗→明」を見事なまでに曲の構成にいれているだけあり、演奏する側も聴き手も理解しやすい。最後の追い込みやテンポの細かい変化にはこれまで何度もマーラーを演奏したバーンスタインの力が光っている演奏だ。

 

 プロムス盤はマニアの中では知る人ぞ知る名盤なのだが、流通はあまりされていないため知名度は少ない。しかし、実際に今回の演奏を聴いてみると違いがよくわかる。バーンスタインのマラ5(交響曲第5番)では4種類目の演奏となる今回のプロムス盤、手に入れるのは中々難しいが手に入れた後の満足感などは大きいのでぜひ一度聴いてみていただきたい。もう一方の交響曲第4番もボーイ・ソプラノを起用した珍しい演奏となっているので、手元に置いておいて損はない素晴らしいマーラーだ。