第478回「生誕130周年、エーリヒ・クライバーが残した歴史的価値のあるベートーヴェン3番」 | クラシック名盤ヒストリア@毎日投稿中!!

クラシック名盤ヒストリア@毎日投稿中!!

こちらはクラシック音楽のCDの名盤をレビューするブログです!
年間500枚以上クラシック音楽のCDを購入します。
好きな作曲家はマーラー、ストラヴィンスキー、ブルックナー、三善晃、ショスタコーヴィチなど
吹奏楽を中心にトランペット演奏の他、作曲なども行います。



 みなさんこんにちは😃暑い日々が続いております。最近はなるべく歩く量を増やしている真っ最中でして、この夏こそは少しでも食を減らし、体重も減らせればと考えています。昨日話した通りもう大食いは出来ませんから、少しは変わると思うのであとは運動だけだなと、感じているわけです。ストレスこそ最高の味方だと私は考えていますので、どんどん自分自身を追い詰めていきたいと思います。

 さて、8月5日となりまして、本日はカルロス・クライバーの父であるエーリヒ・クライバーの誕生日となります。1890年に生まれて今年は生誕130年目。20世紀前半を代表する巨匠の名盤を一つみていきたいと思っています。その名盤とは、ベートーヴェンの交響曲第3番「英雄」です。今日まで、この曲は様々な指揮者が名盤を残してきました。今回の演奏は1950年にアムステルダム・コンセントヘボウ管弦楽団と録音し、今でもなお多くの人々が愛聴している歴史的価値のある演奏です。


「エーリヒ・クライバー指揮/アムステルダム・コンセントヘボウ管弦楽団」


ベートーヴェン作曲:
交響曲第3番「英雄」



 今回私は「エーリヒ・クライバーDECCAレコーディングズ」を購入した。この中にはリヒャルト・シュトラウスの名作オペラ「ばらの騎士」やモーツァルト・オペラの代表作である「フィガロの結婚」、ベートーヴェンの交響曲などを複数収録した素晴らしいBOXだ。当初目当てとしては「ばらの騎士」だったが、コンセントヘボウ管との「英雄」もあることを知り、大変得した気持ちとなった。ただ、個人的に気になったのは1950年代の録音のため、音質はどうなのか?とも気になっていた点はあったが、演奏を実際に聴いてみたところ驚かされた。

 この時代となるとフルトヴェングラーやクナ(クナッパーツブッシュ)、ワルターなどの巨匠達が活躍した時代となるが、ほとんどの録音はノイズが入ってしまっている。なおかつ、ライヴ録音が多く、聴衆達の席や足音など拍手が混ざってしまっている。昔の私ならあまり好まないかもしれないが、今の私はそういうものを含めて貴重な録音であると考えているため、あまり気にはしなくなった。このままだと、あまり録音状態が良くないように聴こえてしまうので訂正すると、録音状態は非常に良い。ノイズもほとんどなく、モノラル録音ながらのちのデジタルやステレオ録音に劣らない素晴らしさを誇っている。今回の演奏に関してはこれまで何度もリイシューされているが、ほとんどが廃盤となっており今では中々手に入れられないため、音質の違いは比べられないが、同じくらい素晴らしいのだろう。さすがはDECCAから発売されたCDだ。

 ベートーヴェン作品はベーレンライターの登場など、ピリオド楽器での演奏を境に演奏の仕方が見直されつつある。今回の演奏はそんなことが起きる大分前の時代に録音されているが、今の時代のベートーヴェンにより近いものを感じる気もしなくはない。エーリヒ・クライバーの息子であるカルロス・クライバーが残したベートーヴェン交響曲第5番、7番は今でもなお有名な録音。その研ぎ澄まされた感覚といい、これまでの大オーケストラとして演奏されてきたベートーヴェンの新しい一面をみることができた。そして今回のコンセントヘボウ管との演奏も同様の結果を見出すことができる。第1楽章、冒頭から疾走感溢れる演奏で幕が開ける。ベートーヴェンの交響曲の中でも比較的演奏時間が長いこの曲。今回の演奏時間は45分ほどだが、どんどん前のめりになるくらいに進んでいくためテンションもどんどん上がる。録音状態的にやや遠くに感じられるが、弦楽器の音のまとまりといい、鋭さといい全てにおいて段違いの素晴らしさを誇る演奏だ。ダイナミクスもはっきりとつけられていて素晴らしい。数あるベートーヴェンの交響曲の中でもカッコいい交響曲といえば「英雄」があがる。この演奏はまさにその代表格と言えるだろう。第2楽章となり、第1楽章の時の疾走感はなくなる。オーボエなど各楽器が鎮魂歌のように音色を変え演奏している。その中にも音楽的な美しさが存在し、響きに頼らない演奏スタイルがまさに功を指している。聴き方によっては近年の奏法に近しいものを感じる。第3楽章、再び疾走感が戻り始めて4楽章へと戻る橋渡しの役割を持つスケルツォらしい演奏だ。全体的に一音一音はっきり聴こえるように演奏されており、曲的に頂点に迎えた際の迫力は中々のものだ。中間部のホルンが峠から聞こえてくる角笛のように軽快で美しい。この楽章としては5分ほどしかないのが残念なくらいだ。そして、第4楽章。冒頭の迫力は圧倒され、その後にキャッチーな旋律へと変化していく。ベートーヴェンのバレエ音楽である「プロメテウスの創造物」の終曲から転用された主題が演奏されるが、4楽章で曲の終曲という点もあるのだろうか、1楽章から鋭さを誇っていたコンセントヘボウ管の弦楽器の音は更により強固なものへと変化している。それが他の管楽器へと移り変わり、クライマックスへと進んでいく。まさにエーリヒ・クライバーだからこそなせたのだろう。

 このBOXには他にも貴重な録音が多数収録されている。すでに廃盤となっており、手に入れるのは一苦労かもしれないが、購入して損はない代物だと私は考える。実際、このBOXを購入するまであまりエーリヒ・クライバーの演奏を聴いていなかったというのが事実。なので、今回こうして様々な演奏を聴くことができ非常に満足している。私が購入したのはAmazonだが、どこかでこのBOXを見かけることがあればぜひとも聴いていただきたい。とりあえず今日は一日中エーリヒ・クライバーが残した名盤の数々を聴いていきたいと思う。