みなさんこんにちは😃日曜劇場「半沢直樹」見てますか?私はもちろん見ています。前作から大分年月は経ちましたが、変わらない面白さがあって好きです。個人的には時間帯がクラシック音楽館とダブってしまうため、両方見ることはできないのが中々難所と言いますか…ただ、「半沢直樹」に関してはその日の途中から見るより初めからゆっくりと見たいので、いつも録画を行い見ています。うちの母も「半沢直樹」は大好きなので。
さて、8月になりましたが、ブルックナー・ブームはまだまだ終わっていません。本日はヨッフムとミュンヘンフィルによる晩年に録音された交響曲第9番をみていきます。マニアの方にとっては知る人ぞ知る名盤。ライヴ演奏ながらその音質は中々素晴らしいものです。今回カップリングにはワーグナーの楽劇「トリスタンとイゾルデ」から前奏曲が収録されています。
「オイゲン・ヨッフム指揮/ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団」
ブルックナー作曲:
交響曲第9番
ワーグナー作曲:
楽劇「トリスタンとイゾルデ」より第一幕への前奏曲、
さて、ヨッフムがミュンヘンフィルとの初公式ディスクを出したのがこの盤であり、多くのブルックナー・ファンの中でも有名な演奏である。ミュンヘンフィルといえば、チェリビダッケとのブルックナー交響曲選集が話題を呼んだが、今回の演奏はチェリビダッケの色がまだ残る中で、ヨッフムによって演奏されたブルックナー交響曲第9番だ。最後の来日ライヴと同様にヨッフムの晩年時の録音はどれも素晴らしい出来栄えで、ハズレがない。今回の演奏もそのような形となっている。
まず、第1楽章。若干カラッとした空間だが、音の響きよりも深みを感じることができる。特に冒頭の弦楽器のトレモロに対してホルンおよびトロンボーンの力強いサウンドはこれまでこの曲においてあまり体感できなかった。それくらいに圧倒される演奏である。ダイナミクスレンジも非常に広く、頂点にきた瞬間の金管楽器の咆哮はムラヴィンスキーとレニングラードフィルのヴィブラートの聴いた特徴的な音色にも引けを劣らない。弦楽器のピッツィカートの弾む音も非常に良い。近年では4楽章も含めた補筆版の演奏も盛んになりつつあるが、やはりブルックナーの交響曲第9番を聴くならば今回のように定番の3楽章での未完成を聴くのが一番かもしれない。ただ、補筆版にはまた別の良さがあると私は思う。インバルとラトルはそういった意味では補筆版の普及に大きく貢献している。続く第2楽章、冒頭のピッツィカートは非常に愛らしいが、トゥッティになった瞬間の破壊力は凄まじい。ミュンヘンフィルの金管楽器のサウンドがこんなにもカッコいいとは個人的には予想外だったかもしれない。トリオ部分はわりかし速く進んでいく。ブルックナーの交響曲の中で、スケルツォ楽章でもトリオを速くしているのは中々珍しいが、それを理想的な形に作り上げている点が良い。晩年だからといってヨッフムのブルックナーに対する熱意はまだまだ衰えていないという気迫も感じられる。そして、第3楽章。この曲の中で最も美しい楽章であり、まさに神域。これまで咆哮気味だった金管楽器もこの楽章ばかりは響きを上手く味方につけている。曲間でここまで音色に変化をつけた演奏はこれまであまり聴いたことがない気もする。弦楽器のトレモロが雲を印象付け、木管楽器やホルンなどの旋律が神域での対話のようにも感じられる。普段ブルックナーを聴かない人でもこれを聴けばブルックナーの虜になることは間違いないだろう。
また、カップリングにはワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」から前奏曲も収録されている。こちらは交響曲第9番の後にトラック順では流れるが、収録に際する選曲の相性が素晴らしい。ベストマッチと言えるだろう。聴き方によっては第4楽章として取り入れても良いくらいに美しい響きを持っている。
今回わりかし音質に関しては悪くはない仕上がりだ。ただ、まれに編集ミスなのか途中で分断されている箇所がいくつか見受けられる。それがあるたびにブルックナーの世界に入っている中で、一瞬現実に引き戻される。大学時代では録音関係も勉強していたため、こうした違和感のある編集は割と気になってしまう。公式CDならもう少し力を入れて欲しいと思うのだが、演奏が素晴らしいのでそういった気持ちに関しては蓋をすることとする。今回の盤はコンセントヘボウ管との最後の来日ライヴと、バンベルク響との交響曲第8番を同時に購入している。バンベルク響との演奏に関しては後日またご紹介するが、ヨッフムのブルックナーはどれをとっても名盤である。こんな指揮者は探しても中々いない。個人的にはタワーレコード限定のブルックナー交響曲全集の続編が待ち遠しい。