第251回「ベルリンフィルと8人の指揮者による新時代の名盤、ブルックナー交響曲全集〜その3〜」 | クラシック名盤ヒストリア@毎日投稿中!!

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みなさんおはようございます

先日ベルリン・フィル・レコーディングスから発売された大注目のブルックナー交響曲全集がリリースされました。

こちらの演奏は2009年〜2019年までの間に小澤征爾、パーヴォ・ヤルヴィ、ヘルベルト・ブロムシュテット、ベルナルド・ハイティンク、マリス・ヤンソンス、クリスティアン・ティーレマン、ズービン・メータそしてサイモン・ラトルら計8人の指揮者とベルリンフィルによるものです。


一挙に紹介していくのもいいですが、

今回は

1日目:交響曲第1番、2番、3番「ワーグナー」

2日目:交響曲第4番「ロマンティック」、5番、6

3日目:交響曲第7番、8番、9

この形で3曲ずつ3日間でご紹介していきます。

ということで最終日の3日目はクリスティアン・ティーレマンによる交響曲第7番、ズービン・メータの交響曲第8番、サイモン・ラトルの交響曲第9番をご紹介していきます。



「クリスティアン・ティーレマン、ズービン・メータ、サイモン・ラトル指揮/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団」



ブルックナー交響曲全集

交響曲第7番、8番、9番




さてお待たせ致しました!
本日で3日目。この全集を取り上げる最後の日となります。
最後に取り上げるのは7,8,9番の交響曲。
どの曲も演奏回数が多く注目度が高いものとなっています。

まずはティーレマンが演奏した7番。
1884年に初演されブルックナーの交響曲の中でも初演に成功を収めた作品。
2楽章は執筆中にブルックナーが敬愛していたリヒャルト・ワーグナーが死去したため、楽章の一部を「ワーグナーのための葬送音楽」としています。
また恒例に近い楽譜の版は1885年の初版、ハース版、ノヴァーク版という形で3種類存在し、今回は1885年版を使用しています。
7番はカラヤン、ハイティンク、朝比奈隆、マタチッチ、ヴァントなど名だたる指揮者が得意とし名盤を残した名作。
近年ベートーヴェンの交響曲全集、サントリーホールでのライヴ演奏を行なったシューマンの交響曲全集を完成させたりと8日の中でも最も年齢も若いティーレマン。
その自由気ままに捉えられる指揮と色彩豊かオーケストレーションを掴んでいく姿勢はまさに新時代のブルックナー交響曲を感じられます。
特に3楽章の細かなテンポの変化は聴いていて驚かれる方は多いかと思われます。

次にメータが指揮をした8番。
ブルックナーにおける最高傑作として名高いこの交響曲。
近年ではピーター・グレイアムスが作曲した「巨人の肩に乗って」の冒頭に4楽章のファンファーレがそのまま引用されたりもしています。
こちらもいくつか版が存在しますが今回のものは1890年版(第2稿にあたる。)が使用されています。
ロマン派音楽の中でも代表的な作品の一つとして名が挙げられるこの作品。
ブルックナーファンの方やそうでない方でも一度は聴いたことがあるでしょうし多くの人々が好きな作品でしょう。
指揮をしているズービン・メータは若い頃と近年とで演奏スタイルが全く異なる指揮者で若い頃は熱くエネルギッシュな名演、名盤が多かったです。特にウィーンフィルとのマーラーの交響曲第2番「復活」は今でも人気が高いです。
そしてつい最近では日本にベルリンフィルと来日しベートーヴェンの交響曲第3番、ドンキホーテ、ブルックナーの交響曲第8番を演奏しました。
今のメータの指揮や表現は若い頃ほどのパワースタイルではありませんが時よりその片鱗ともいえる瞬間が顔を出すため一瞬たりとも聴き逃すことができない。つまりは名演を誕生させるわけです。
今回の8番は2012年に演奏されたものですが最初から最後まで充実した気持ちで楽しめる演奏でした。

そしてお待ちかねのラトルが指揮をするブルックナーの交響曲第9番。
ブルックナーが完成させたのは3楽章までであり今日におけるほとんどの演奏は3楽章までが主流とされています。
今回ラトルは2011年、2012年に取り上げたサマーレ、フィリップス、コールス、マッズーカら4人による補筆版を使用しています。
誰も聴いたことがない4楽章。そして完成形となったブルックナー最後の交響曲第9番を2018年5月に録音した最新のもので楽しむことができます。
私自身この補筆版は初めて聴きましたが、全く違和感を覚えなかったです。
マーラーの交響曲第10番のクック補筆版も多く取り上げているラトルが非常に好むやり方で作られている気もしますが、長い年月をかけて完成させた曲に対しての重みが伝わってきます。
近い日にベートーヴェン交響曲第10番の補筆版が製作されるのも時間の問題かもしれませんね。

といった形で8人の指揮者のベルリンフィルによるブルックナー交響曲全集の特集が終わりました。
20世紀、21世期を代表する指揮者と最高峰のオーケストラが奏でるブルックナーの交響曲。
買ってまず損はしませんので、まずは試聴してみてください。今まで聴いたことのない演奏を聴くことができます。