第250回「ベルリンフィルと8人の指揮者による新時代の名盤、ブルックナー交響曲全集〜その2〜」 | クラシック名盤ヒストリア@毎日投稿中!!

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みなさんおはようございます

インフルエンザにかかってしまい前回のブログから4日ぶりの投稿となってしまいました。

申し訳ありません。

体調も元に戻りましたのでまた投稿していきたいと思います!

先日ベルリン・フィル・レコーディングスから発売された大注目のブルックナー交響曲全集がリリースされました。

こちらの演奏は2009年〜2019年までの間に小澤征爾、パーヴォ・ヤルヴィ、ヘルベルト・ブロムシュテット、ベルナルド・ハイティンク、マリス・ヤンソンス、クリスティアン・ティーレマン、ズービン・メータそしてサイモン・ラトルら計8人の指揮者とベルリンフィルによるものです。


一挙に紹介していくのもいいですが、

今回は

1日目:交響曲第1番、2番、3番「ワーグナー」

2日目:交響曲第4番「ロマンティック」、5番、6

3日目:交響曲第7番、8番、9

この形で3曲ずつ3日間でご紹介していきます。

ということで2日目となる本日はベルナルド・ハイティンクによる交響曲第4番、交響曲第5番、マリス・ヤンソンスによる交響曲第6番をご紹介していきます。



「ベルナルド・ハイティンク、マリス・ヤンソンス指揮/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団」



ブルックナー交響曲全集

交響曲第4番「ロマンティック」、5番、6番




今回の4番「ロマンティック」、5番、6番はハイティンクとヤンソンスの2人の指揮者による演奏。

2人とも過去にブルックナーの交響曲は全集を作ったり、個々で演奏をしたりしています。

まず、ハイティンクが指揮した4番「ロマンティック」。
ブルックナー交響曲作品の中で最も演奏される曲の一つ。冒頭のホルンなど美しくかつ親しみやすい旋律が豊富な点も人気の一つかと思われます。
版も数多く存在する作品でこれは私も調べているうちに知ったのですがマーラー版も存在するとのこと。
ベートーヴェンやシューマンの交響曲もマーラーは編曲をしましたが一体どのような仕上がりになっているのか非常に気になるところです。
ハイティンクとベルリンフィルは何度も共演する機会が多くマーラーやブルックナーをそのたびに演奏してきました。
タワーレコードの紹介文にはこの曲の録音は1996年以来18年ぶりのものと記載があります。
演奏を聴いてみて驚いたのはマーラーはテンポもガクンと遅く、重厚感たっぷりの全く違う演奏のような印象を与える表現をしていた近年の演奏とは裏腹にマーラーの時ほど遅くはなくごく自然に、しかし美しくこの曲の標題らしい表現で演奏されています。

続いてこちらもハイティンクが指揮する5番。
金管楽器による対位法がよく目立つ作品で、「対位法的交響曲」、「幻想風交響曲」などとブルックナーは呼んでいました。そのほかにも「悲劇的」、「教会風」、「ゴチック風」など様々な呼び名が存在する交響曲でもあります。
いずれにせよ後の7〜9番の三大交響曲の作風に近い部分が見え隠れしています。
先ほどの4番とは打って変わりより複雑に、しかし迫力満点な作品という形に姿を変えた5番。
冒頭の不穏な空気感も忠実に再現、すでにハイティンクは指揮者を引退してしまいましたがその出来事が改めて惜しいと感じられる演奏だったかと思われます。
ハイティンク自身過去にブルックナーの交響曲全集を完成させたりしているわけですし、この時のベルリンフィルとの共演を非常に楽しみにしていたのではないでしょうか?
その気持ちが演奏から伝わってくる。そんな演奏とも言えます。

最後につい先日に亡くなってしまったヤンソンスが指揮を務めた6番の演奏。
ブルックナー中期の作品ですが意外にも人気がない作品。初演は2楽章と3楽章のみ1883年に行われ、全楽章の初演はブルックナーの死後5年後である1901年に行われました。
ヤンソンスとベルリンフィルは共演している回数が多いですが、ブルックナーの作品を取り上げたのは今回の6番が初めて。
ヤンソンスの親しみやすさがその演奏から伝わってくるのがよくわかります。
重厚感たっぷりという演奏というよりは軽めに宙に浮いた雲のような印象を受けます。
なぜこの交響曲が人気ないのか?と改めて考えてしまうような演奏です。

さて本日ご紹介してきたブルックナーの4,5,6番。
ハイティンク、ヤンソンスの偉大さというものを改めて体感したような気がします。
明日はついにブルックナーの交響曲作品の中でも特に知られる3曲7,8,9番。
特に注目したいのは9番です。まだ認知度は低い気もしますが、2010年に完成した4楽章までの補筆版です。こちらについて詳しいことはまた次の回でご紹介しようと思います。