<ヒューマン・ミステリー>
監督:イ・チャンドン
出演:ユ・アイン、スティーヴン・ユァン
村上と言えば、春樹派ではなく龍派の私ではございますが。2時間半という長尺を飽きずに、最後まで楽しめましたわ。
『納屋を焼く』が原作ながら。全く別物としても鑑賞できると言う事でしょう。
登場人物もストーリーもそれなりに改変しているし。基本的に多くを語らないスタイルなので。
まさに。ハルキストさま達の大好物であろう、劇中にも出てくるキーワード、「メタファー」を。自分なりに理解するしかないのよ。
鑑賞後にお酒を飲みながら、相棒のお姉さまとあれやこれや、かなり語り合ってしまったわ。
製作者の意図がどうであれ、一度世間に発表されたなら、その作品をどんな風に楽しむのかは個人の自由だと思っているけれど。これは特にその色合いが強いよね。
お姉さまは映像美を一番楽しんだらしい。
夕焼けを背景にチョン・ジョンソさんが踊るシーンなんかはかなりお気に入りで。ちょっと涙が出るくらいだったって。
個人的には全編を通し、日本映画並みに暗いなぁという印象でしたけども。
「夕暮れ」もまたキーワードだと思うので。自然な夕暮れをそのまま使っていたりして。意味は分かるけど。見にくいっちゃ、とことん見にくい。。。←まるで芸術的センスが無いので。ごめんよ。
私はやっぱりユ・アインさん、スティーブン・ユァンさん、そしてチョン・ジョンソさんの演技だわ。素晴らしかった。本当に引き込まれました。
抽象的な流れの中で、主人公の性格や、2人の男の対比。女性の危うさ。。。その辺りだけが妙に具体的に浮かび上がるのは、3人の表現力があってこそだと思うのよ。
ユ・アインさん。。。チンチャ。良い俳優さんだわ。彼の映画を観る度に感動しているのですが。今回も間違いなく、素晴らしい演技でした。
性的な表現も多いんだけど。アインさん、完璧よ。
気が付けば、時にユ・アインさんに入っていたり。チョン・ジョンソさんに入っていたり。かなりどっぷりと世界観に浸っていた私ですが。
監督の『オアシス』や『ポエトリー』もそうなんだけど。。。重苦しい作品にどっぷりと浸かっちゃう私でありながら。観終わった後、なんだか気持ちが良いのだよ。どの辺がどう好きだとか、明確に説明するのは難しいんだけど。良いもの観たな感がとっても強いんだよね。
ラストシーンも好きなんだよなぁ~。。。『嘆きのピエタ』のラストも大好きだしなぁ~。。。やっぱり私って、ぴょんてなんだよなぁ~(笑)。