鎌倉散策 山崎 台峰緑地 | 鎌倉歳時記

鎌倉歳時記

定年後、大好きな鎌倉での生活に憧れ、移住計画や、その後の鎌倉での生活の日々を語ろうと思います。家族を大阪に置き、一人生活を鎌倉の歳時記を通し、趣味の歴史や寺社仏閣等を綴っていきす。

 

 私の自宅からすぐの所に山崎・大峰緑地が広がる。三年前の平成三十一年の五月に鎌倉に来てから自然に満ち溢れた場所である。その年の九月の台風で大きな樹々の倒木などがあり一昨年の秋位から整備がなされてきた。現在は、山崎小学校から台峰に入り、谷戸の池におり山崎小学校西側清の清水谷戸まで整備され通行可能となっている。 鎌倉散策でも何度か紹介させていただいているが、山崎小学校と青少年広場の間の急坂を上り山道に入ると地図の掲示板が設置され、従来よりも歩きやすく、また細い尾根道には柵が取り付けられ整備された。

 

 この地域に住む周辺の人々は、自然豊かな四季を感じさせてくれる台峰の道を散歩に歩かれる。また、この時期は、絶滅危惧種のキンラン・ギンランが生息し、キンランの開花を楽しみにしている。貴重な場所で、生息地の場所には、むやみに踏み込まないよう小学校の課外事業で「キンラン・ギンランを大切にしましょう」と書かれた十数枚の立札が立てられている。三月二十二日、三月二十九日と開花状況を見に行くと二十九日には、蕾がみられた。後、三日から一週間で咲くと思われる。今年は、昨年からの木々の伐採の整備などで日当たりがよくなり、土壌の変化により大変微妙な生育環境で育つために、開花を心配していたが、今年は昨年以上の開花になりそうだ。

 

 キンランは低山や山地の林の中に咲くラン科キンラン属の多年草である。大きさは三十センチから七十センチで、茎先に総状花序という柄のある花が花茎に均等につくりだし、三輪から十輪くらいの黄色の花をつける。花径は二センチぐらいで花の色は鮮やかな黄色である。花は平に開かず上向きに開花し、下から上へと咲きあがる。唇弁は上の唇下の唇と分かれる。上唇には赤い斑が入り、縦長の筋がある。下唇には浅い円錐状の距になっている。四月、五月、六月が開花月で、現在は絶滅危惧種に登録されている。花言葉は「眠れる才能」である。

キンランの人工栽培は非常に難しく、その理由としてキンランの菌根(きんこん:菌類が植物の根に侵入して形成する特有の構造を持った共生体)への依存が高いためと言われる。菌根によりキンランの栄養分が供給されるが、その菌種は限られており、共生関係を成立する事が出来る菌根がなければ生育させる事が出来ないからだ。

 

 

 台峰の道を進むと北鎌倉女子学園のグランドが見え、グランド脇を進むと晴れた透き通った日には富士山も見ることが出来る。さらに進むと円覚寺・六国見山展望台にでる。ここからの円覚寺の展望は季節に応じ写して暮れる。この季節は山桜に覆われる本堂を見ることが出来る。展望台の後ろの平地に休憩用テーブルが三基設置され、その道標が置かれ谷戸の池方面が記載されている。その道を下ってゆくと谷戸の池に下りることが出来る。静かな谷戸の空間の中にある池に注ぎ込む小川のせせらぎの音は気持ちを癒してくれる。谷戸の池の後ろにも休憩用のテーブルとベンチが設置され、ポットに入れたコーヒーを飲むには格別である。小鳥のさえずりも聞こえてくる。今日は、鴨のつがいが池を渡っていた。

 

 

 

 谷戸の池から山崎小学校方面の平坦な道が繋がり、小学校の裏に出てくる。ここは、清水谷と称し、魯山人の窯があった場所である。昨年秋まで放置されたままの状態であったが、市が買い取り山崎・大峰緑地の一つとして整備された。しかし現在は、まだ魯山人の宅とその窯跡の星岡窯跡は解放されていない。四月の中旬に業者との市との引き渡しが行われ、五月に開園が予定されているようだ。魯山人の邸宅と思える古い建物は、取り壊すのか、残されるのかは、まだ決められていないようだ。現在、工事の仕切りの金網にて囲まれている。大変貴重な遺跡であるため残していただきたいと思う。耐久性など考慮し、補強すれば、茶道教室や茶会、花道教室や花会、陶芸教室やギャラリーとして十分利用可能だと思われる。

 

 

 清水谷戸は、小学校の課外事業で水田による稲作を実施されており、古来からの鎌倉の谷戸での稲作を今も伝えてくれる。谷戸の奥は竹林となり、谷戸を覆う尾根道を探し上部まで登るが、見つける事が出来なかった。しかし、竹林の奥に岩窟が一つ開いているのを確認した。ここも静かで四季を感じさせてくれる美しい日本の風景が残されている。この山崎・大峰緑地の写真を撮りながら一回りするのに約一時間ほどである。今後、土日には賑わうことになるだろう。