大船駅西口から玉縄橋の交差点を北に行くと龍宝寺トンネルが見える。その手前を右に折れ玉縄三丁目方面の民家を歩くと玉泉寺にたどり着く、山門は無く見過ごすこともあるが、石柱に「真言宗聖天山玉泉寺」と刻まれている。山号寺号は:聖天山歓喜院(しょうてんざんかんぎいん)玉泉寺で真言宗、京都大覚寺派の寺院である。昔、本殿の背後に聖天の祠があった為、山号が聖天山と号したとされる。
宗派:真言宗大覚寺派。山号寺号:聖天山歓喜院玉泉寺。開基:小林若狭。本尊:不動明王。寺宝:本尊木造不動明王座像、秘仏胎内不動。
江戸時代の初期に一歩沙弥とよばれた小林若狭(玉縄城城主家臣とされる)と言う人が自身の土地を寄進して開かれ若狭氏は元和二年(1616)の没しているため、寺の創建はそれ以前と考えられる。本尊の不動明王の胎内には、鎌倉後期の僧、願行(がんぎょう=憲静)作とされる小さな不動尊が納められ胎内不動として秘仏とさている。元旦の秘仏開帳大護摩祈祷(午後一時から)で参拝することが出来る。
本堂の屋根には真言宗寺院に見られる唐獅子の飾り瓦が置かれている。また本堂右に弘法大師像があり、左手に祠におさまる地蔵、布袋さんの石像が置かれている。また墓地の前に一体の地蔵様と六地蔵が祀られ「よくばり地蔵」と書かれた立札が置かれ、参拝方法が記載されていた。内容は「だれの願い事でも、みんなかなえてあげようと頑張っておられます。祈願成就を願う時は、泥のだんごを七つずつお供えして七日間祈願し、願いが成就したときは、米の子のだんごを七つずつ七日間供えてお礼をします。ご霊験あらたかです。」
他に境内には稲荷社が置かれ、本堂裏には康応(北朝)応永の銘が刻まれた武将の墓石や貴重な墓石(仏様)が置かれている。また室町時代の武将二十数名が葬られているやぐらがあり三基の墓標が納められている。小林若狭の一族の墓とも言われているが、やぐら門柱には武将一族の墓と刻まれている。
隣のやぐらには当山歴代住職の御霊窟があり江戸時代初期に九十三歳で天寿を全うされた三代尊隆和尚、三名の墓標が並ぶ。玉縄の町の中にひっそりとたたずむ寺院であるが、その内容について興味をひかれる多くの遺物が残されている寺院である。この玉縄には玉泉寺、植木の龍宝寺、諏訪神社、玉縄城跡を巡るのもお薦めだ。
玉泉寺(ぎょくせんじ) 鎌倉市玉縄3-687 TEL0467(45)3149 拝観時間特に無し、拝観無料。大船西口より関谷インター行、藤沢駅北口行、南岡本行バス児童公園前下車三分。