二十四節気で夏至は一年で最も日が長く、夜が短い頃を言う。鎌倉では日の出が四時二十七分。日の入りが十九時になる。家族のいる大阪では日の出が四時四十五分、日の入りが十九時十四分になる。鎌倉、大阪間が約六百キロメートルで、太陽の移動時間で言うと十五分ほどであり、この時間の違いがまだ慣れる事が出来ない。しかし、夜寝るのが早くなり、朝が早い分、朝型人間になっていることは確かである。
初候は、乃東枯る(なつかれくさかれる)で六月六日から六月十日である。穂のような形で咲くうつぼくさが黒ずみ、枯れたように見える事から言われる。うつぼくさは薬草で夏枯草(かごそう)とも呼ばれ花を煎じて飲むと利尿、消炎作用がある。また、煎液は捻挫、腫れの塗り薬にも使われ、うがい役にも用いられた。この時期アロエや、どくだみ草も育ち、アロエは医者いらずと言われる薬草であるが、観葉植物として出回っているアロエは薬効としての成分は含まれていない。キダチアロエ・ケープアロエは外用で火傷、切り傷、虫刺され、内服では胃腸痛や便秘などに効果がある。またドクダミは外用にはおでき、蕁麻疹、煎じて飲むと高血圧、動脈硬化の予防効果があるとされるが、素人判断はやめた方がよい。副作用もあり、特に妊婦さんでは禁忌の物もある。
次候は菖蒲華さく(あやめはなさく)で六月二十六日から七月一日である。菖蒲が咲くと梅雨の季節が到来する目安であった。鎌倉では梅雨入りは六月五日から十日頃であるが今年は十一日であった。この時期、憂鬱な雨が続くが、これも作物が育つために大切な事である。しかし梅雨入り時の雨は、六月中はしとしと降り、青々と茂った樹木の葉に水がたまり、傘にぱたぱたと落ちる音に風情があり、それを青時雨(あおしぐれ)という。七月に入るとザァート強い雨が降るが、近年梅雨入りと同時に豪雨になり災害につながっている。今年はどうか災害が無いように祈りたいものだ。
この時期から夏の行事が始まり六月二十八日、材木座海岸で海開きが行われるが今年はコロナのせいで海の家が建てられないとの事だ。また、罪や穢れを落とす祓の行事あり六月の大祓いを夏越の祓いと言い、神社には茅草で作った輪が建てられ茅の輪くぐりが行われる。鶴岡八幡宮の大祓式は六月三十日に行われる。
末候は半夏生ず(はんげしょうず)で七月二日から七月六日である。半夏(鳥柄杓:からすびしゃく)サトイモ科の食物で生え始め、夏至から数えて十一日目が田植えを終わらせる農事の筋目とされる。この日に降る雨を半夏雨(はんげう)と言う。その日の天候により一年の収穫を占ったとされる。農事にひと段落し、労をねぎらう慣わしが各地方にあり、関西ではタコを食べる風習もある。
京都では祇園祭が七月一日から一月を通じ行われるが、悲しい事だが今年はコロナ対策上、安全確保が出来ないとの事で中止になった。大阪生まれ大阪育ちの私は山鉾巡行が行われる昼間よりも夜の鉾町を歩き御守りの「ちまき」を買って、コンコンチキチンが聞ける行きつけの店で過ごしたものだ。
旬の魚介類は鮎、かんぱち、はも。旬の果物は夏ミカン。旬の野菜はみょうが、おくら。鱧は祇園祭りが始まってから食卓に並び、梅雨が明け七月、八月に入ると無性に鱧鍋が食べたくなる。京都の人はこの祇園祭が始まると胡瓜、瓜類は食べない。八坂神社の紋所であるため、勿体無く、控えられる。