鎌倉散策 立夏(りっか) | 鎌倉歳時記

鎌倉歳時記

定年後、大好きな鎌倉での生活に憧れ、移住計画や、その後の鎌倉での生活の日々を語ろうと思います。家族を大阪に置き、一人生活を鎌倉の歳時記を通し、趣味の歴史や寺社仏閣等を綴っていきす。

 二十四節気を季節ごとに分けた場合、春夏秋冬が六節気ごとになる。新暦を春夏秋冬に分けると何時から夏と区切るのか個人によってさまざまである。異常気象により温暖化傾向になる今、一層難しくなる。また、春分、夏至、秋分、冬至を用い季節を感じ、衣替え等される方もいる。新暦、旧暦のどちらが優れているとかは別の話で、新暦、旧暦、二十四節気を用いる事で、一層の季節感やそれに伴う準備、行事が増え、楽しみも増える。

 

 二十四節気では立夏から夏が始まり、五月晴れの青い空、青々とした新緑、さわやかな風が漂う。鎌倉は立夏のから始まる夏の季節が一番似合う町と思う。それは、やはり海があるからだろう。青い空と青い海が一層青を鮮やかにし、他の古都にはない色彩を与えてくれる。そんな季節を楽しみたいものだ。

 初候、蛙始めて鳴く(かえるはじめてなく)は五月六日から五月十日で水辺や田んぼで、オスの蛙がメスの蛙を誘う為に鳴きだす頃を言う。ちょうど端午の節句の時期で子供の成長を願い、鯉のぼりを上げる。保温効果や血行促進の作用があると言われる菖蒲湯につかり健康を祈る。粽(ちまき)を食べる事は古の中国の詩人、屈原を悼む故事に由来する。また、柏餅は日本独自の風習で柏の木は新芽が出るまで葉が落ちないことから、家計が絶えないとされ、縁起物として端午の節句に食べられるようになったと言われる。この時、鎌倉宮では草鹿神事が行われる。

 次候、蚯蚓出ずる(みみずでずる)は 五月十一日から五月十五日で土を肥やす田畑の蚯蚓が土中から出てくる頃を言う。ゴールデンウイークも過ぎ五月の第二日曜日に母の日が来る。そもそもアメリカから来た記念日で、母を亡くした女性が追討の会で列席者に白いカーネーションを配り、それを知った大統領が国の記念日として定めた。健存な母に対しては赤いカーネーションを、お亡くなりになった母には白いカーネーションを捧げるようになった。いつまでも赤いカーネーションを届けたいものだ。

 

 末候、竹笋生ず(たけのこしょうず)は五月十六日から五月二十日で筍の芽が土中から現れる頃を言う。この時期に田植えが間近の為、田んぼの土を深く耕し、田水張りが行われる。稲を植えやすいようにする為に、水の張られた土をかき混ぜる代掻き(しろかき)が行われ、田植えの行える代田に整えられる。京都では葵祭が十五日に行われる。京都三大祭りに葵祭、祇園祭、時代まつりとあるが私は葵祭が一番好きである。葵祭は平安時代に行われていた祭で京都御所から賀茂御祖神社(かもみおや:下賀茂神社)を通り賀茂別雷神社(かもわけいかづち:上賀茂神社)の八キロを平安装束に身を纏い参列し「御所車」の牛車まで参列に加わる。葵祭は江戸時代に入り再開されたため行列には葵の葉が沢山飾られる。また、葵祭の前儀「加茂競馬(火も比べ馬)」流鏑馬、歩射神事(魔除け神事)等が行われる。京都三大祭りに葵祭、祇園祭、時代祭とあるが私は葵祭が一番好きである。季節的にも良いが、参列する多くの美しい女性が優雅さを楽しませてくれる。しかし今年はコロナウイルスの自粛で、この期間の行事はすべて中止となった。

 

この立夏の中で、旬の魚は金目鯛、いさき、アサリ。旬の野菜は人参、苺、筍。旬の草花は藤。高級魚の金目鯛は刺身、煮つけが最高である。いさきは本来足が速い魚で関西ではなかなか魚屋さんに出回らなかった。和歌山に行くと新鮮ないさきを食べる事が出来たが最近では流通や保冷技術の発展でスーパーにも並ぶが、それで鎌倉の様に多くはない。五月のいさきは刺身も美味しいが、私は塩焼きが大好きで焼きの入った皮の部分は甘さが絶妙に美味しい。アサリは酒蒸しが好きだがこの時期、小ぶりの筍とアサリの炊き込みご飯も最高である。冷酒に金目の刺身、いさきの塩焼き、金目の潮汁、筍とアサリの炊き込みご飯と贅沢をしたいものだが、鎌倉のお店も自粛している。呑み助にとっては辛い毎日だが、日々住居にて夕食造りに時間をかけ、美味しい物を楽しんでいる。この時期、人参は免疫力を高めるカロテン(食品標準成分表が三年前に変わり、以前のカロチン)が多く含まれるが、アスコルビナーゼと言うビタミンCを壊す成分があるため、加熱するか、サラダ等の生で食べる場合、お酢を用いたドレッシング等で食べると良いです。

 毎朝、雨以外、近くの神明神社にお参りする。お願いをする事は自身・家族の健康を願うが、この神明神社は疫病を鎮めるため伊勢まで神札を賜りに出て地元の人により建立された(詳細:平成三十一年六月十一日、鎌倉散策 神明神社と山道のキンランで記載)。四月からコロナ退散も願っている。多いお願い事であるが淡路社、諏訪社、第六天社が合祀されているので、聞き入れて頂けると思う。