鎌倉散策 妙典寺(みょうてんじ) | 鎌倉歳時記

鎌倉歳時記

定年後、大好きな鎌倉での生活に憧れ、移住計画や、その後の鎌倉での生活の日々を語ろうと思います。家族を大阪に置き、一人生活を鎌倉の歳時記を通し、趣味の歴史や寺社仏閣等を綴っていきす。

 龍口寺輪番八ヵ寺の一つで東漸寺から腰越駅方面へ南に少し行くと妙典寺がある。鎌倉の入り込んだ住宅街の、くねくねと曲がった道を行くのも楽しみの一つだ。周囲を低い山に囲まれ、通称「腰越の谷戸寺」とも言われる。

 

 妙典寺は日蓮上人の弟子、美濃阿闍梨天目によって開かれた寺院である。中老層(日蓮宗において六老僧に準ずる日蓮の直弟子)の一人で、日蓮の直弟子で日の名に付いていない僧である。日蓮没後、日弁と同じく、日蓮遺文の蒐集(しゅうしゅう)の必要性や本迹勝劣(ほんじゃくしょうれつ)の是非を巡って「六老僧(日昭、日郎、日興、日向、日頂、日持)」と争った。天目の協議は日弁の系統に引き継がれた。鎌倉本興寺、品川妙国寺、佐野妙顕寺(栃木県佐野市)、小勝本門寺(茨城県:現、修多羅寺に改名)を創建。

 

 宗派:日蓮宗。山号寺号:龍口山妙典寺。創建:延慶元年(1308)。開山:天目上人。本尊:久遠実成釈迦牟尼仏三宝祖師(妙典寺Webサイトより)。寺宝:日蓮上人像、天目上人像等。小辞典等では三宝祖師。でもとは妙本寺の末寺であったが現在は身延山圓久寺の末寺になっているようである。

 境内に入ると正面の本堂と左に庫裡があり十三重石塔と百日紅と思われる木が立っている。本堂前に妙典寺福徳大國尊典が置かれ、本堂に安置されている大黒様の御前立である。像横に置かれる縁起を記載させて頂く。

「御前立を拝むことにより本堂内の大黒様を拝むことと同じ後利益が得られます。大黒様の頭を撫で合掌し心静かに

壽福増進安穏絡(じゅふくぞうしんあんのんらく) 除病延命息災我(じょびょうえんめいそくさいが)

福我円満重果豊(ふくがえんまんじゅうかほう) 衆人愛敬従恭敬(しゅうじんあいけょうじゅうくぎょう)

入来衆人得七宝(にゅうらいしゅうにんとくしっぽう) 南無妙法蓮華経

の「大黒天神授文」を三回御唱えください。

開山は阿闍梨天目。創建は正和二年であり、もとは大町の妙本寺の末寺であった。

大黒様は仏法を護り、飯食を豊かに、福徳を賜雨神様として仏教では福徳円満自在菩薩の化身と説かれています。大黒様のお姿はいったい何を示されているのでしょうか。働いて働いて真っ黒になる。つまりつまり大黒になって働けば足元から『幸い』が盛り上がってくるのであろうと教えられています。大黒様は希望をかなえる小槌を持ち、この小槌で物をたたくと「コトコツ」音がします。つまりコツコツとたゆまず励むことが幸福への近道であるのです。つまり大黒様とは私たちの精神そのものの姿なのです。努力する事が愚かであるかのように考えられる今の世の中であればあるほど大黒様の精神は光り輝き、私たちの心の中に留めるべき相なのです。               龍口山妙典寺住職」

今の自粛もコツコツと一人一人が努力して、早々に平常の幸福を取り戻したいものだ。大黒様の背負う袋の中には多くの幸せが詰まっている。

 

妙典寺(みょうてんじ) 鎌倉市腰越2-20-5 ☎0467(31)1377 拝観時間9時~18時 拝観無料