日本橋にある日本銀行の分館に貨幣博物館が併設されていました。入館料は無料でした。日銀らしく,入場のチェックは厳重でした。検査は委託されているセコムが行っていました。他所の博物館では皆愛想がよいのですが,ここではお役人のような対応でした。実際にはセコムの社員ですが…。期待していたのは海外のコインなどもあるのではないかと言うことでした。例えばアメリカの25セント硬貨は全体が同じ材質ではなく,芯と外側が異なった複合材であったり,アメリカとカナダでは同じ形のコインを使っているが,ニッケル貨(5セント)のニッケルの含有率がことなるとか面白いことがあるからです。

 実際に展示されいたのは,日本の通貨の歴史でした。日本が開国した当時,不平等条約で,外国人には金と銀とで同じ価値で扱ったのだそうです。ぼろもうけした外国人がたくさんいたでしょう。日本政府も後で気づき,金の純度を落としてなんとか対応したのだそうです。江戸時代には実際に金,銀のお金が使われていて,値段を合わせるのに,端を切って調整されていたということも知りました(端が切られた貨幣も展示されていました)。最近新しくなった紙幣も展示されていました。もう少し経つと珍しくもなくなると思いますが…。

 神田駅の近くに絶滅メディア博物館があるということなので,行ってみました。これまで別の博物館で,行ってみたら休館日だったり,予約が必要だったりして無駄足だったことがあります。この日は休館日ではなく,予約も不要と言うことを確認して行きました。11:00から始まるとのことでしたが,開館時間より20分ほど前に着いてしまったので待つことにしました。入り口ではじゅん散歩が来た時のビデオを流していたので時間をつぶすことができました。しかし,11:00になっても空く気配がありません。そのとき館長さんが声をかけてくれました。「今日は取材があるので,19:00からです」とのことでした。入り口に掲げられたカレンダーのその日の所に19-23と書かれていました。これが19時から23時が開館時間とは思いませんでした。19時からというのが普通ではなかったからです。それでも,取材時間までといって無料で案内してくれました。古いカメラがたくさん展示されていました。他の博物館と異なるのは「手に持ってよい」ということでした。コンピュータは,シャープのZ-80を用いた最初のパソコンMZ-80kが展示されていました。これはシャープがクリーンコンピュータと呼んで,OSが入っておらず,カセットテープから読み込んで使うことを売りにしていたものです。実際にはそのOSを入れるのに8分もかかり不便だったことを思い出します。この博物館ではそのOSのテープがないことを残念に思っているとのことでした。私は家のどこかにしまっているはずなので,寄付する約束をしました。

 私が期待したのは,コンピュータ関係のメディアで今は使われていないものがもっとあるかと思いました。紙テープや紙カードなどのコレクションももっとあっても良いかと思いました。

 入場時に写真撮影の制限について訊いたところ,芝居は撮ってはいけないが,舞踏の部は撮っても構わないとのことでした。芝居が終わり,休憩時間に役者さんたちがグッツを売りまわっていました。記念品かと思いましたが,舞踏の部でそれらの使い方が分かりました。役者さんが踊って観客に近くに行くと,観客が寄って来て,帯に祝儀袋を入れていました。また,休憩時間に打っていた髪留めのようなものを帯に挿し,皆に見えるよう1万円札を挟んでいました。どうも舞踏の主目的はおひねり集めが目的の様でした。入場料は2千円とずいぶん安いと感じましたが,こちらの方が重要な収入源だったようです。支援したい人はたくさん支援できるし,経済的に余裕のない人も観れるという点では優しいシステムなのでしょうか。ちなみに写真は男優さんでしたが女優さんも踊りました。また,おひねりももらえていました。

 

帯に髪留めのようなものを使って1万円札が挟まれています

 劇は3幕からなっていました。スリ集団でちょっと足りない弟分の足抜けを手伝った兄貴分は,その時上役を傷つけてしまいます。上役はけがを負ったまま役人に捕らえられ島流しされます。

 2幕では兄貴分も堅気になり,旅館の板前として働いていました。そこの娘に惚れられて結婚することになっていたとき,島抜けしたスリの上役と仲間がたまたまその宿に泊まりました。元上役は金ずるを見つけたとゆすることにしました。ゆする尽くしたら弟分からのゆすると言われ,兄貴分と争いになり,元上役を殺めてしまいます。

 3幕では,役人から追われている兄貴分が弟分に会いに来ます。別れた時,互いに1文銭を持って,相手のことを思い2年後に会うことにしていたのです。弟分はしたっぴきをしていましたが,このことを話すと1日だけ十手を預からせてもらえます。結局は兄貴分を捕えなければならなくなります。

 背景は布に景色や建物を描いたものでした。わずかに形あるものもありましたが,一座が移動することが可能な範囲になっているようでした。歌舞伎の殺陣はあまりにも形式化されていますが,この劇では,テレビの時代劇で見るような見ごたえのあるものでした。この後の踊りについては写真撮影が許されていましたが,劇の所は撮影禁止でした。

 前に下見に行った立川けやき座に入るチャンスがありました。入って驚いたのは,ほとんどが年配のご婦人だったことです。男は私と,ご婦人のお供の2人,計3人のみでした。入場料は\2,000と非常に安かったです。舞台直前は桟敷席でした(料金は同じ)。後からギャル風の人たちが座りました。今考えてみると,他の劇団員の方々ではないかと思いました。その後ろ側に椅子が並んでいました。椅子の座った感じは固かったです。おしりが痛くなりそうだったので座布団を借りました。座布団の借り賃も\100と安かったです。2枚重ねて使っている人がいました。写真はまだ時間があるときですが,その後,意外と観客が増えてきました。それにしても,予約チケットに抽選があるというのはよくわかりません。壁にはゲスト予定として哀川昇とありました。哀川翔が来るのかと思いましたが,字が違いました。調べてみると,別の劇団員の方の様でした。ファンには有名な方なのでしょう。

 第1幕では,源頼朝兄弟を仲たがいさせ,権力を得たいと企てている左大臣が,義経に鼓を与えます。両側の皮を頼朝と義経に見立て,「頼朝を打て」との示唆でした。第3幕では再びこの鼓が登場します。義経に静御前を託された家臣の忠信は静御前とはぐれてしまいますが,静御前が鼓をたたくと忠信がすぐに現れました。実はその忠信は,鼓の両方の皮にされた父母の子の狐だったのです。事情を知った義経は子狐に鼓を与えます。子狐はうれしく天へと帰って行きます。ここで宙乗りが披露されました。同じような噺が落語にもあります。猫忠です。清元のお師匠さんが若者頭と良い仲になっているところを仲間に見られてしまいます。しかし指摘された若者頭が自分と仲良くやっているところを目撃します。仲良くやっていた若者頭は実は,皮が三味線にされた猫の子だったのです。落語と歌舞伎とどちらが先だったのでしょうか。それともどちらも昔からの言い伝えを作品にしたのかも知れません。

 グレていた いがみの権田は,父が恩義を感じている平重盛(清盛の子,しげもり)の子維盛(これもり)のため,維盛の妻子と偽り,源氏方に妻子を差し出します。維盛の首は,父が切られていた他の男の首を代わりに差し出そうとすし桶に隠しておいたものです。昔はこんな形の忠義が肯定されていたのでしょう。第2幕では,宙乗りの芸はありませんでした。フィリッピンの友人を連れてきた人がこの幕を選ばなかったのはラッキーだったようです。

 滅亡したはずの平家の内,息子知盛は生きていて平家の再興を企てているという設定でした。義経の一行との戦いの後,壮絶な最期を迎えます。もちろん団十郎が扮しています。海に飛び込んだ後,昇天するのに,ワイヤーを使った宙乗りを行います。照明が当たり,壁には影が映っていました。それを見るとあたかも幽霊のように足がないように見える工夫がなされていました。また,芝居の中では何度も團十郎が早替わりしました。子供の頃,歌舞伎のテレビ中継を観ながら父が,「ここで早替わりした」と説明してくれたのを思い出しました。向き合っている二人が入れ替わる早業も披露されました。これまでする必要はないだろうと思いましたが,13代目ということで,どうしても13役をやりたかった結果そうなったのだろうと想像しました。宙乗りや早替わりなどは,外連(ゲレン)と言うのだそうです。あまり良くない意味で言うこともあるそうですが,いろいろな方法で楽しませてくれるのはうれしいです。

 外国人の観客が多いので,休憩時間に話しかけてみました。3幕とも幸い一人の方でした。お二人で来ている場合はあまり話しかけては迷惑になると思うからです。

1幕目はUK(イギリス)からの若い女性でした。前日に日本に来たとのことです。歌舞伎を楽しみにやって来たとのこと。「今はロシア上空を通れないが,どのようなルートで来た?」と訊くと,イスタンブール経由でした。私はヨーロッパ旅行を計画していますが,ちょっと調べたところ,イスタンブール経由が出てきました。現在の典型的なルートの様です。「時差ぼけは?」と訊くと,2,3時間しか寝ていないとのこと。上演中様子を見たわけではありませんでしたが,居眠りする様子はありませんでした。幕が閉じた後,「すごく良かった。明日も来たい」などと言っていました。海外でも歌舞伎ファンで,観劇を目的に来日する人もあるのだと思いました。

 幕見席なので,毎回入場しなおします。2幕目の隣には,ちょっと変わった髪型の大柄の若い人でした。前の幕では私の前の席にいた人でした。やはり出身国を訊きました。何とロシアでした。「今微妙な関係にあるが,来れたのか」と訊くと大変だったが中国経由で来たとのこと。どうして来たのか,いろいろと訊きたかったのですが,時間があまりなくて訊けませんでした。国はひどくても個人に罪はないと思います。この方は私と同じく3幕通しでの観劇でした。

 最終幕では,隣の人は一人で来ているらしいご婦人でした。最終幕だけ来たのか訊くと,フィリッピン人の友人に観せるため比較的短い幕を選んだとのことでした。1幕目は宙乗りがありましたが,2幕目はなかったことを告げると,「見せたいところは終わってしまったか」と残念がっていました。しかし,3幕目でも宙乗りがありました。さらに,最後には何か所か,大筒から桜吹雪を噴き上げ,見事でした。友達には一番良い幕を見せたことになったようです。

 歌舞伎では「通は幕見席を好む」と言われているそうです。声がけも,C席や幕見席からなされるようです(今はコロナ対策から,C席の指定された場所に制限されているようです)。私は歌舞伎の初心者ですが,桟敷席,S席を何度か経験しましたが,幕見席が好きです。料金も安いのもその理由ですが,席の予約は前日の正午から始まるのでその時間に予約をすれば好きな所を取りやすいです。S席はかなり広い範囲で,かなり前から予約できます。前日に予約しようとすると良い場所はとれません。

 幕見席に入場するには予約した時に発行されるQRコードを装置にかざします。予約後,メールが来て,そのリンクをクリックするとQRコードが表示されます。入場する前に表示させようとするとネットに接続できないため,表示できませんでした。歌舞伎座館内ではネットがつながりにくいようにしているようです。係員に相談すると,「端の方ならつながるかもしれない」と教えてくれました。そして,なんとかQRコードを表示させることができました。係員のアドバイスでは「それをスクリーンショットしておくとよい」とのことでした。次回からは家でスクリーンショットしておきたいと思います。ただ,スマホが電池切れになったらどうしようという不安は払しょくできません。あらかじめQRコードを印刷して持っていくのが一番安心だと思いました。