この演目から落語の「お化け長屋」を連想しました。お化け長屋では,住民たちが空き部屋を物置替わりに使っていました。大家がこの部屋を貸そうとします。それを聞いた住民が,部屋を見に来た人に「幽霊が出る」と脅して帰してしまおうとするのです。1人目はうまくいきますが,2人目は怖がらず,最後には住民の財布まで持って帰ってしまうというオチです。貸家であること,幽霊の話題であることなどから,題名がよく似ています。ただよく見ると,貸家ではなく,貸屋なのです。幽霊を貸す商売と言うことで全くの別物でした。

 歌舞伎では,かみさんが,怠け者で桶屋の男を立ち直らせたくて,実家に帰ってしまいます。自分の稼ぎで食べさせてやっていたのを止めれば自分で働くだろうと思ったからです。それでもごろごろしていると,美人の幽霊が現れます。幽霊は恨みを晴らしてしまったが成仏できないで彷徨っているところ,この男を見かけて惚れてしまい,この男の家に現れたのです。幽霊は食べ物や酒をどこかから調達して男の所に運びます。男は食べ物はなんとかなったものの,家賃が払えません。そこで,美人幽霊は仲間を集めて,うらみのある人の代わりに化けて出て恨みを晴らしてやるという商売を始めたのです。最後は幽霊たちがむなしくなって止めてしまいます。男も生きている間にしっかりと暮らさなければと気づきます。そんな中かみさんも心配になり帰ってきます。美人幽霊は怒りますが,男がりん(仏壇鐘)を鳴らして成仏させてしまいます。えらい坊さんのお経でも成仏はできないが,身内(身内同然になっていた)にりん(仏壇鐘)を鳴らされると成仏するという布石が最初の方の場面でありました。

 この演目も落語にもなりそうですが,聴いたことも,そのような演目があるということも聞いたことはないのです。ネットで調べましたが見つかりませんでした。落語にするのは難しいのでしょうか。

 前に書いた通り,髪結新三の幕は最後の1席しか残っていませんでした。幕見席は最前列とその後ろの列しかありません。いつもは最前列の席を取っていました。見やすいと思ったからです。前に手すりがあります。しかし物は載せられません。ちなみに浅草演芸ホールの2階席の最前列のてすりには物を載せることができます。真下には1階席が並んでいるので,倒して落としたら大変と思いますが,対策がされています。。--脱線しましたが,歌舞伎の幕見席の前の手すりは観客が利用できるものではありません。反りかえると,手すりが観劇の邪魔になるくらいです。ところが2列目に座ってみると,下までよく見えるのです。段差があるので,前の人の頭は全く障害になりません。「他の人の視界を遮るので,前かがみにならないように」というアナウンスが時々ありますが,前の人が前かがみになっても視界を遮ることは全くありませんでした。今後は2列目を第一候補として予約を入れたいと思います。

 8月21日の歌舞伎座のお目当ては梅雨小袖昔八丈(髪結新三)でしたが,第一部の2つの演目も観ました。今回は納涼歌舞伎と銘打っていました。「暑い8月に少しでも涼しくなるような演目を」という目的で演目を決めているようです。今は,館内が冷房され心地よい中での観劇となりますが,江戸時代には暑い中,涼しくなるようなことはないかと,人々が歌舞伎座にやってきたのかも知れません。その伝統で,8月は納涼歌舞伎となっているのでしょう。涼しくなる演目としてはまずは怪談ものでしょう。幽霊貸屋がトップでした。そして,殿様が涼しい川での鵜飼の遊びをすると言うものでした。髪結新三は誘拐と言うスリルで涼しい気分になることを狙ったのでしょうか。

 歌舞伎座の幕見席の入場券は前日の正午から予約発売されます。落語で知っている髪結新三をやるということで,前日の正午に予約することにしていました。以前上演された文七元結の予約は正午ぎりぎりでないとダメでした。そこで,今回は正午から予約する予定でした。しかし,DIYに熱が入り,気づいたら12:30を回っていました。慌てて,予約作業を始めました。公演順に予約するつもりで,先ずはゆうれい貸屋の予約をとりました。お目当ては3幕目でした。しかし,先ずはお目当ての予約をとるべきだと,予約画面を見ると,なんと残席は1つだけでした。危ないところでした。なんとか,予定の3幕の予約ができました。

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 立川のシネマシティー シネマワンで「もしも徳川家康が総理大臣になったら」を予約して観に行きました。QRコードを読み取り機にかざせば入場できるとのことでした。以前,歌舞伎座でQRコードを提示しようとしたとき,ネットの接続が悪くて(客席ではネットがつながらなくなるような仕組みを作っているらしい。入り口でもその影響を受けることがある),QRコードの提示に困ったことがあります。その時,係員が「あらかじめスクリーンショットをとっておくとよい」とのアドバイスをくれました。それを思い出し,今回もQRコードをスクリーンショットして持参しました。しかし,このQRコードは表示されてから数分間しか有効ではなかったのです。あらかじめ家でスクリーンショットしました。その時,QRコードの上に有効期限が表示されていました。数分間しか有効ではなかったのです。「何だろう」程度しか思いませんでした。今回の映画は14:00から始まりますが,初めてだったので昼食前に,入場方について確認することにしました。係員から,「スクリーンショットしたものは有効期限が過ぎている」と言われました。昼を食べながら再ログインしてQRコードを表示させてみました。そして,シネマワンに着いてから,[最新のQRコードにする]のボタンを押してみました。すると有効期限が更新することが分かりました。したがって今後は,シネマワンに着く前にログインして,着いたところで[最新のQRコードにする]のボタンを押せばよいということが分かりました。

 “ん”のつく言葉を言うと“ん”の数だけ田楽をもらえるという遊びをしている噺でした。トリにしてはあっさりと終わってしまいました。この後に大喜利「にゅーおいらんず」があるので,時間的都合もあったのでしょう。別の公演で最後になぞかけをやったことがあります。その時のトリの噺家さんが自虐的に,「とりがしっかりしていないとき,それを補うために大喜利をやる」というようなことを言っていました。本当にしっかりしていなければそんなことは言えないでしょう。

 小すみさんの特徴は三味線で洋楽も演奏するところでしょう。今回はフランス語で歌うということでしたが,よく聞いていると日本語の言葉をフランス語っぽく歌っていました。ちょっと気づかずにいたら周りで笑い声が聞こえ,よく聞いたらそのことが分かりました。また,日本のものではさつまさを演奏してくれました。春風亭一之輔の出囃子がこれです。大変に調子のよい曲なので,出囃子が聞こえると一之輔だとすぐ分かります。初めて演奏として聴きました。小すみさんは大喜利のにゅーおいらんずでもエレクトーンの演奏を聴かせてくれます。楽器演奏に才能があると感じました。

 70歳,鯉昇さんのモットーは“熱演しないこと”だそうです。それが味をだすコツなのかも知れません。演目は粗忽の釘でしたが,ちょっとアレンジされていました。ホウキをかけるためではなく,ロザリオをかけるため釘を打つという話になっていました。薄い壁を突き抜けて刺さったのは,オリジナルと同じ阿弥陀様。阿弥陀様がクリスチャンになってしまうというへんてこなことになっていました。

 いきなり挨拶は「新年おめでとう」でした。何故かわかりません。何かの出来事を知っている人ならわかるのでしょう。初めて知った噺家でした。この方の名前は「ゆうし」ではありませんでした。「小諸なる古城のほとり 雲白く遊子悲しむ(島崎藤村)」の遊子(ゆうし)は旅人の意味ですが…。ゆうこだそうです。字が違いますが「そんな夕子にほれました(増位山太志郎)」のゆうこだそうです。噺家だったら玉川太福さんの「祐子のスマホ」の玉川祐子さんを出してほしかったですね。演目は「だくだく」でした。金がないので壁に家財道具を描いてもらって満足している男の所に泥棒が入ります。泥棒は目が悪く初めは本物かと思いましたが盗れません。最後には,泥棒が盗んだつもりの動作をするという噺でした。

 8月上席は大喜利として,恒例の噺家バンドにゅうおいらんずがあります。是非観に行きたいと思っていましたが,行くことができました。例年のメンバーです。三遊亭小遊三,春風亭昇太,春風亭柳橋,桂小すみに加えてプロの演奏家が加わっています。うち高橋徹さんは,本職のジャズドラマーですが,以前は客席で落語を聴いていたそうです。うずうずして参加を申し出たのでしょう。昨年は,桂宮治が「小遊三の座を狙っている」などと言われ,特別参加しましたが,今回は小遊三が体力の限界で休憩に入ったところの代役として現れました。そういう筋書きだったのだとは思います。宮治は「楽屋に帰ったらすぐトイレに駆け込みましたよ。(舞台の)この辺り濡れているなー」などと冗談を言っていました。若いだけあって盛り上げていました。