これから700 MHz帯を携帯,スマホに利用するのだそうです。テレビのUHF(地デジ)のブースターは,不要なこの周波数帯も増幅するため,700 MHz帯の強い電波が入ると,地デジのブースター動作に影響を与えるのだそうです。そのため,その周波数帯をカットするローパスフィルターをブースターの前に入れる作業を依頼業者がやって回っています。どうも詐欺ではなさそうなのでやってもらうことにしました。
我が家では,テレ玉受信用に専用のアンテナをテレ玉方向に向け,千葉テレビと東京民放の両方を見るために,もう一つのアンテナをスカイツリーと千葉テレビの間くらいに向けています。ブースターはそれぞれのアンテナ用に用いています。テレ玉用は700 MHz帯対策がされているものなので,ローパスフィルターは不要です。後者用にローパスフィルターを入れました(業者がやってくれました)。ところが,テレビではTokyo MXが見えなくなってしまいました。ビデオでは(ビデオから入力したテレビ画面の意)見えるので,それでよいと言うことで業者さんにはひきとっていただきました。なお,Tokyo MXは我が家から見えるスカイツリーからではなく,東京タワーから送信されているとのことです。
何故,ビデオで見えて,テレビで見えないのか考えてみます。下の図は,我が家のメインのテレビの所のアンテナ線の配線です。ブースターからここの壁の端子まで来る間には,各部屋に配線するため,混合器,分配器などを経ています。また,この壁から他の壁まで送りが入っています。そんなわけで,ブースター出力はかなり減衰しているはずです。壁の端子からテレビ,ビデオまではさらに分配による減衰があります。2分配器では原理的に電波の強さは1/2になります(実際には素子の損失分,更に弱くなります)。分配器からの1つはメインビデオに入り,そこからテレビに送られます。ビデオからは1/10しか送られないとのことです。すると,壁端子からは1/20だけ減衰してしまうのです。700 MHz対策をする前までは,それでも何とか実用に耐える電波強度がありました。今回700 MHz対策用のローパスフィルターの損失が増えたため,Tokyo MXの受信が不安定になったと考えられます。
そこで,2分配器を3分配器に変え,テレビにも分配器から直接入力させることにしました。これで,壁からテレビまでの損失は(素子の損失を無視すると)1/3となり,電波は1/20よりずっと強くなるはずです。なお,古いビデオの入力は,以前のテレビの入力と同じくらいと考えられますが,このビデオでTokyo MXを録画することはないと思うので,このままにします。
上で述べた対策をする前に,ブースターのゲインを調整することで,一応Tokyo MXは見える様になりました。しかしその後,ブロックノイズが出るようになってしまいました。下は3分配器を用いる前に出ていたブロックノイズと,アンテナレベルです。
下は,3分配器方式に変えた後の,安定した受像画面とアンテナレベルです。49(単位は書かれていませんがたぶんdB)にまで上がりました。原理的な減衰を比べてみると,対策前が1/20,対策後は1/3ですから,強さは10log((1/3)/(1/20))=8.2 dBとなります。対策前後の画像での差は9 dBですが,素子の損失の違い,電波状況の変動などを考えれば,理にかなった値となりました。