変圧器(トランス)は,一次コイルと二次コイルとからなっていて,[二次側の電圧V(2)]=[一次側の電圧V(1)]÷[一次側のコイルの巻き数n(1)]×[二次側の巻き数n(2)]の関係式で電圧を変換します。同時に,[二次側の電流I(1)]=[一次側の電流I(1)]÷[二次側の巻き数]×[一次側の巻き数]となることから,電流を変換できます。これを変圧器に対して変流器と呼びます。
実は,トリマの電源スイッチを入れたとき,連動して木工用集塵機の電源を入れる電流センサーを作りたいと考えているのです。トリマのスイッチが入れられ,電流が流れたとき,それを感知して,リレーを作動させ,集塵機をONにすることを考えています。トリマのスイッチを入れると,5 A程電流が流れます。この電流経路に抵抗器を入れて,その電圧降下を検知する方法も考えられますが,ここでは変流器を用いたいと思います。
5 Aを20 mA程に変える変流器を手持ちの変圧器を用いて作ってみることにしました。電子回路の用いる手持ちの変圧器の電流は数百mAから1, 2 A程度ですので,5 A流せるものがありません。そこで,隙間のある変圧器にビニルコードを7巻きほどし,一次側としました。実験用に700 Wのホットプレートに流れる電流を7巻きしたビニルコードに流し,二次側の電流を測りました(電圧の場合,何もつながないときが無負荷ですが,電流の場合はショートした場合が無負荷です。テスタの電流計モードはほぼショートと同じです)。下の写真の様に,24 mA流れました。一次側を7 Aとすると,二次の巻き数はほぼ2,000回となります。トリマは約500 Wですので,17 mA流れることになります。
二次側に100 Ωの抵抗を入れると,2.4 Vの電圧が現れました(計算通りです)。この電圧をTTLレベルに変換してリレーを駆動する回路を考えたいと思います。このとき,計算では,一次側の電圧降下は8.5 mVです。変流器を用いないで抵抗器で2.4 Vの電圧降下を生じさせると,センサーのため16 Wも損失しなければなりません(電圧降下を小さくして,半導体で増幅する手もあるが,極低抵抗の特殊な抵抗器が必要になる)。変流器用いた場合の損失は約60 mWで無視できる値となります。今後,これを電流センサーとしてリレー回路を考えたいと思います。