-定電流電源の考え方-
(入門者向け説明になっています)
トランジスタにはコレクタ,ベース,エミッタの端子が出ています。エミッタのところの矢印が外向きのものと内向きのものがあります。先ずは前者で説明します(その種類のトランジスタの型番は2SC, 2SDで始まります)。コレクタ-エミッタ間に電圧をかけても電流は流れません。ところが,ベースからエミッタに電流(I(B))を流すとコレクタ-エミッタ間にも電流(I(C))が流れる様になります。I(B)が微量の時,I(C)はI(B)の数十倍流れます(これを電流増幅率hfeと言います)。
Zはツェナーダイオードと呼ばれる部品です。ある程度の電流を流すと,Zの両端子間の電圧はほぼ一定になります(ツェナー電圧)。ここでは2.2 Vのツェナーダイオードを用いました。R(Z)はその,“ある程度の電流”を流すための抵抗器です。ツェナー電圧により,I(B)が流れます。すると,それよりずっと大きいI(C)が流れます。その電流はR(E)に流れるので,R(E)にはV(E) ( =(I(C)+I(B))×R(E) )の電圧がかかります。ベースからエミッタに電流を流すと0.5 V(ゲルマニウムトランジスタでは0.2 Vくらい,単純なシリコントランジスタで0.7 Vくらい)くらいの電圧降下が起こります。これはオームの法則には従わず,ほぼ一定です。したがってこの回路では,V(E)は常に2 V(弱)くらいになります。つまりR(E)に流れる電流はV(E)/R(E)でほぼ一定になります。I(C)はR(E)に流れる電流からI(B)を引いた値ですが,I(B)<<I(C)ですので,ほぼR(E)に流れる電流に一致します。○印にAで示した記号は電流計ですが,ここに何(抵抗器や,低い電圧の電池)を置いても,常に一定の電流が流れます。すなわち,これが定電流電源ということになります。電流計の位置が負荷(充電する電気二重層キャパシタ)になります。