WBC優勝、2009年以来の感激を味わいました。1次ラウンドから、大谷がトラウトを打ち取った優勝決定まで、多くの場面が伝説となり、次の世代に語り継がれていくと思います。
勝因を考えてみると、まず、メジャー選手を含めたこのようなオールジャパンを編成できたことが第一にあると思います。ダルビッシュ、大谷、吉田を口説き、さらにはヌートバーという日本では無名の日系選手まで探し出した、栗山監督をはじめとする侍ジャパンスタッフの作戦が功を奏しました。
さらには、普通は参加しないであろう、就任１年目の大事な時期であるロッテ新監督の吉井理人まで投手コーチとして引き入れ、旧知のダル、大谷、佐々木朗希らへの対応を任せました。米国選手のデータなど情報収集に走った裏方の努力も大きいでしょう。ファイターズファンとしては、多くのファイターズ関係者で首脳陣が構成されたこともうれしいことでした。
当然ながら、こういった編成のもとで十二分に力を発揮した選手
たちの頑張りを大いに称えたいと思います。その中でリーダー的
な役割を果たしたのがダルビッシュ。豊富な経験を国内組の選手
たちに伝えていたことが報道されていました。今の若い選手たち
はダルビッシュを小学生のころにあこがれのスターとして見てい
ます。そのダルから、いろいろなことを教えてもらったことは、
短期間で選手たちを成長させたはずです。
また、大谷は決勝戦の前、「(メジャーリーガーへの)あこがれはやめましょう。あこがれてしまったら超えられない。あこがれを捨てて勝つことだけを考えよう」と声出しでチームメートを奮い立たせたと言います。おそらく、自分がメジャーに足を踏み入れ
た際、自身にかけた言葉ではなかったでしょうか。
大谷とダルビッシュが世界一奪還に大きな役割を果たしたことに、送り出したファイターズファンとして誇りに思います。さらに、２点リードの緊迫した六回に登板し、三者凡退に切って取った伊藤大海の快投も道内ファンの記憶に長く残るでしょう。
米国チームの選手たちの年俸は、スタメンを見てもトラウトの約
48億円を筆頭に、20憶円台、30憶円台がずらりと並びます。決勝では、そのスーパースター軍団を相手に村上宗隆が「日本の三冠王をなめんよ」とばかりに同点ホームランを放って完全復活。日本の伝統球団・巨人の４番を張る岡本和真も３点目となるホームランを打つなど日本プロ野球の底力を見せました。
九回表は１点差のしびれる場面で大谷をクローザーとして起用しましたが、こういう使い方をわれわれファイターズファンは過去に１度見ています。2016年のクライマックスシリーズ・ファイナルステージ第5戦です。
DHで先発出場した大谷が、3点リードの九回にマウンドに立ち、ソフトバンク打線を抑えてプロ初セーブを挙げました。今回も栗山監督はこの時と同じ起用法を取るのではと予想していました。その通りになり、思わずほくそえみました。
ついでながら、プロ野球ファンやそうではない人たちの応援も大きな後押しになったと思います。宮崎や大阪での強化試合、東京での１次ラウンドとも、大いに盛り上がりましたね。
もちろん、そのプレッシャーに負けなかった選手たちはたいした
ものでした。そういったことを背景に、必死で世界一のタイトル
を取りに行った日本。対して米国は、勝って当然、普通にやれば
負けることはないと思っていたでしょう。その差が、決勝戦での
１点差になったのではないかと勝手に思っています。
技術論で言うと、宮本信也氏がこんな評論を書いていました。「日本野球は従来のきめ細かさに加え、パワーという点で米国との差を詰めた。しかし、米国はきめ細かさという点で変わっていなかった。その差が出た」。確かにそんな感じがします。
ともあれ、しばらくはWBCロスになるかもしれないなあ。いやいや、来週はもう開幕です。そんな暇はないですね。24日には、WBCに参戦した伊藤大海、アリエル・マルティネス両選手がチームに合流します。いよいよ本番です。
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