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ポッドキャスト韓国語マガジン“サランヘヨ・ハングンマル”の編集長が、韓国と韓国文化の見つめ方を伝授します。

「2020年新年!皆さんの夢を応援します」

 

 

●米席巻した『パラサイト』の快挙

 

映画『パラサイト 半地下の家族』(ポン・ジュノ監督)が、外国語映画、アジア映画として初めてのアカデミー賞作品賞に輝きましたね!何よりすごいのが、純粋な韓国人だけの手による韓国資本、オール韓国語のふつうの韓国映画が、おそらく世界で最も字幕映画を見慣れていないだろう米国を席巻したこと。『スノーピアサー』(2013)のように世界を狙って英語で作られたポン・ジュノ作品もあったのに、なぜ100%の純韓国映画がアカデミー賞なのか。それはBTSの快挙にもいえますが、韓国カルチャーに対する関心の高さなのでしょうね。それが、これまでは音楽だったけれど、今度は映画ということなのだろうと思います。♪ヽ(´▽`)/

 

ということで、個人的にも昨年の1本であった『パラサイト』の快挙に押されて、今日も韓国映画紹介をしてみたいと思いますが、これは今年一番最初に観た映画『天文:空に問う(천문:하늘에 묻는다)』(ホ・ジノ監督)です。今のところ今年に入って観た映画の中で一番であり、このまま私の今年の映画になる可能性もあります。

 

少し前にサムソンが提供する短編映画の名作『二つの光:リルミノ(두개의 빛: 릴루미노)』をここでご紹介しましたが、実はその時、その映画を観ることになった理由が、同じホ・ジノ監督のこの映画を観たからでした。感動して私が見落とした作品はないかと調べたら、その短編作がネットで公開されているのを見つけたわけですよね。

 

『天文:空に問う』は、ホ・ジノ監督の代表作であった『8月のクリスマス(8월의 크리스마스)』(1998年)の主演俳優であるハン・ソッキュさんを再び起用し、2016年に『徳恵翁主(덕혜옹주)』を撮った歴史映画の流れとして、ソッキュさんが最も似合う世宗(セジョン)を取り上げたものだといえます。“ハン・ソッキュ世宗”というと、2011年の歴史ドラマ『根の深い木(뿌리깊은 나무)』(チャン・テギュ、シン・ギョンス監督)が大傑作でしたが、私は今回のホ・ジノ監督版のほうが演技の完熟度が高かったと思います。

 

 

●“ハン・ソッキュ世宗”のシンクロ率

 

世宗大王のハングル創製の映画としては、昨年夏の、それこそ『パラサイト』と同じソン・ガンホさん主演『わが国の語音(原題:나랏말싸미)』(チョ・チョリョン監督)がありましたが、でも今回また“ハン・ソッキュ世宗”を見てしまうと、残念ながら“ソン・ガンホ世宗”のほうがすっかり色あせてしまいます。そちらの映画は、「ハングルは世宗が決して一人でつくったわけではない」という俗説を描きたかったので、ガンホさんが適切だったのかもしれませんが。

 

しかし、実際のところは、当時、漢文を崇拝し、漢字を士大夫の特権と考えていた儒教バリバリ臣下たちの激しい反対を説き伏せるために、言語学をもとに論争し、論破しながら、その研究の結果として世宗大王が独りで作った、という説のほうがほぼ間違いないだろうと思うため、やっぱり世宗はハン・ソッキュさんのようなタイプでなければならないだろうと感じます。

 

さらに、今回の演技が到達している境地をみれば、これはやはり実在の歴史的な世宗大王とのシンクロ率がハンパないのではないかと感じざるを得ないし、“ハン・ソッキュ世宗”像こそが歴史的真実に近い、いや、ぜひそうあってほしいとさえ思えてくるわけですよね。本当にこの人の表情演技、台詞演技、声色演技、呼吸演技は神業です。

 

さらには紹介が遅れましたが、今回、“ハン・ソッキュ世宗”のパートナーが、これまた名優のチェ・ミンシクさん演じる朝鮮前期の科学者、技術者、発明家であった蒋英実(チャン・ヨンシル)ですからね。『鳴梁(명량)』の時には、王に理解されず、捨てられながらも国のために命を捧げた不遇の英雄・李舜臣将軍を演じたチェ・ミンシクさんですが、今度は王に最も愛された立場で、命がけの忠誠のかぎりを尽くす役というのが何よりの感動でした。王と臣下の愛と信頼の世界を描いた作品として最高であり、ある意味、“ブロマンス”的極致としての二人のタッグが何より理想的だったと思います。

 

 

●全編を通して名場面、名台詞が

 

ということで、今作の実質的主人公である蒋英実がどういう人物であったかというと、1434年に国内の標準時計になる自動仕掛けの水時計「自撃漏」を作ったことで最も有名であり、他にもさまざまな日時計や、緯度計測器である「簡儀」、天体を見極めるための天球儀「渾天儀」、測雨器など、さまざまな発明をした朝鮮最高の科学者兼技術者であったとされます。

 

中国移民の子孫として高麗の高官であった父親は、高麗王朝滅亡とともに身分を奪われ、両班の家の奴婢である「官奴」に転落、母は同じく「妓生」という身分で、蒋英実自身も「官奴」として生まれます。しかし、朝鮮3代王太宗の時にその能力が買われることで、4代世宗の時には明に留学して天文観測施設に関する資料を収集して戻り、それらによって数々の発明品を生み出しながら、最初は王宮の宮奴婢だったのが、役職を与えられて、王室の財物を管理する尙衣院の別坐(従六品)から、護軍(正四品)を経て、最後は大護軍(従三品)にまで上るという、出生身分を超えた異例の出世を遂げています。

 

問題はその後、蒋英実が製作を監督した世宗の乗る輿が壊れたということで、不敬罪に問われて官職から罷免され、杖刑を受けて後、歴史の記録からは忽然と消息が絶たれているわけです。それほどまでの功績を立てた人物の生涯として、あるいは世宗の数々の構想を実現した、王寵愛の臣下として、実に腑に落ちない結末であり、一つの謎であるわけですが、この映画はその謎を、一つの想像ではありますが、実にドラマチックに、納得が行くように解明をしてみせています。

 

「なるほど、そういうことか!そりゃそうだよなあ」と思いました。なぜなら史実としてその2年後に朝鮮独自の暦書である「七政算」が頒布され、そのさらに2年後にハングル「訓民正音」が頒布されているわけです。世宗大王が蒋英実と共に目指していた理想が成される直前に、わざわざそれを共に目指していた一番の忠臣を捨てた、なぜかと考える時、そのような解釈にならざるを得ないし、偉大な業績は時代に反しているがゆえに、そこには犠牲が必要であると考えるのが妥当だからです。まさに、「ハングル創製」の背景を描く作品としては、むしろ文字の創製自体にこだわった『根の深い木』や『わが国の語音』よりも本質的ではるかに感動的だったと思います。

 

題名の『天文:空に問う』は、原題が漢字のないハングルなので「天文」を「天問」と掛けているわけですよね。劇中、夜空の星を愛する主人公2人の姿が描かれますが、それは「星は万民に平等である」という世宗大王の理想を表しています。近くは、その星を共に見上げる2人の、身分を超えた友情を表しており、遠くはその後、世宗が成し遂げる知的万民平等のための「ハングル創製」の偉業を表しており、さらに遠くは現代に至って成し遂げられた制度的平等、まさに二人の夢の実現を表しているわけです。

 

全編を通して名場面、名台詞が多いですが、世宗が蒋英実と過ごした時間、2人だけで描いた理想的世の話、世宗が蒋英実に送った眼差し、語った言葉、蒋英実が世宗に返した眼差し、返した言葉、皆胸に深く残りました。特に、号泣せざるを得ない台詞が、「どうしてそんなに難しい道を一人で行こうとされるのですか?」「こいつ何をいうか、私にはお前という友がいるじゃないか…」――おススメです!ヾ(≧∇≦)〃♪

 

 

【あらすじ】 歴史上最も偉大な王とされる世宗。官奴婢として生まれ、従三品大護軍にまでなった天才科学者チャン・ヨンシル。20年間、夢を共にしながら偉大なる業績を成し遂げた二人だったが、王が乗る輿が壊れた事件によって。世宗はチャン・ヨンシルに責任を問い、王宮から追い出す。その後、チャン・ヨンシルは姿を消すが…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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