どんより曇り空の神戸
今朝は雨が降っていたが回復して、青空が見えてきた。
朝一に緊急事態宣言延長の見込みということで、
数件の中止メールが入り、散歩に行きそびれてしまった。
二日家にいなかったので、家事を終わらせてから、
後で近場散歩でもするか。。。
さて・・・月曜日に訪れた森林植物園の長谷池の傍で、
群生するタデの仲間を見つけたんです。
この時期よく見かける、
パッと見、ヤナギタデ(ホンタデ)とボントクタデと迷うこと多く、
見たところ区別はなかなかつかず、眺めていた。
わかる人には、お分かりかと。。。
この写真を見て、すぐ名前の出てくる方は素晴らしい!!
ご一緒の師匠 「迷ったら、噛んでみたらわかるやろ~」って。
そりゃそうだ。。。その違いは、なんと。。。
葉を採って噛んでみると辛い味がするかしないか、
なんよね~~
おっ、辛ないわ。。。というか、味が無くて、美味しくない。
ヤナギタデ(ホンタデ)の場合は、葉を採って噛むと、辛い!辛い!!
普通の辛さやないねん。
本種は、全く辛くない。。。ということで、ボントクタデ。
いやいや。。。植物の同定を味で調べるというのは、
他にもあるんやろうかねぇ。。。
そうそう。。。余談ですが。。。
『蓼食う虫も好き好き』ということわざがあって、
そのタデ(蓼)なんやけどね、
若い頃はお恥ずかしながら、
『田で食う虫も好き好き』と勘違いしてて、
田んぼは、いろんな虫がいるからそのたとえで、
人それぞれなんだ~と思い込んでたんよね~
蓼のように苦い植物を好きこのんで食う虫もいる。
という意味だと、ずいぶん経ってから知ったのであります。
辛くなかったので。。。
ボントクタデ(凡篤蓼) タデ科 イヌタデ属
かの植物界の父であり植物学者の牧野富太郎センセは、
ボントクはポンツク(愚鈍)の意味で愚鈍者のことをいい、
同じ仲間の葉に辛みがあり香辛料として利用される
ヤナギタデに似ているが、
葉に辛みが無く役に立たないことから名付けられたとされている。
また同じ意味で、凡俗(ぼんぞく)がなまって、
ボントクになったとも考えられる説もある。
凡は「ぼやけている」「呆けている」、篤は「重症」って。。。
あわせると、呆けが重症?なんやのそれ?
語源は違うけど、「ボンクラ」や「ポンツク」「ぼんやり」なども
同様の意味合いがあると言える。
いやぁ~酷い言われようやん。。。ひどくない?
あらまっ わからなかった自分は愚か者かいな。。。
ボントクでも愚か者と言われても、
私、けっこう好きなんです、この花
英名は、Drooping knotweed(垂れ下がるタデ)
それにしても、なかなかの美人さんのタデだと思いません?
京都の舞妓さんのかんざしにいいかも。
先斗町の先斗蓼(ポントタデ)と呼ぼうかしら。。。
なんともいえぬ楚々とした美しさがあります
一つ一つの花は小さいけれど、
姿かたちはサクラタデの花に劣らない。
ところがなんと、その名はボントク(凡篤)って。。。
花の姿はとても役立たずには見えません。
小さな花、お近づきになってルーペでのぞくと。。。
まぁ なんと美しい。。。
いやいや、そうじゃなくて。。。
雄しべは8本 雌しべは3つに分かれていますね。
花びらに透明な腺点があるようです。
葉の中央部に八の字形の黒い斑紋がある。
葉裏の脈に伏し毛が見られましたよ。
毛が見られますね。。。托葉鞘にも伏し毛があります。
・・・棚からひとつかみ・・・
そうそう、この本にあったよ、ボントクタデの話。
牧野富太郎センセの 植物一日一題
かの牧野富太郎センセは、
ボントクタデを見ながら言葉の歴史を考えてみたり、
句作をしてみたりするんですな。。。
「秋深けて冴え残りけり蓼の花」とよんだりして。。。
次のように述べて、ボントクタデを絶賛しています。
しかしこの蓼はその味からいえばポンツクだが、
その姿からいえばまことに雅趣掬すべき野蓼で、
優に蓼花の秋にふさわしいものである。
茎は日に照り赤色を呈して緑葉と相映じ、
枝端に垂れ下がる花穂の花は調和よく紅緑相雑わり、
それが水辺に垂れている風姿はじつに秋のシンボルであって、
他の凡蓼の及ぶところではない。
私はこの蓼がこの上もなく好きである。
あまり好きなので、柄にもなく拙吟を試みたが、
無論落第もの標本であろう。
(「植物一日一題」 ちくま学芸文庫より)